温泉が湧く廃道!?硫黄の香りが立ち込める廃トンネルの内部へ…北海道の林道に埋もれた「層雲峡隧道」とは
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、北海道にある“廃道”を巡りました。※ロケを行った層雲峡の廃道・廃隧道は、一般の方は立ち入ることはできません。許可を得た上で、安全を考慮して撮影しています。
レールやホームの遺構が残る!旧国鉄士幌線の幌加駅跡
上士幌町(かみしほろちょう)には、昭和14年に十勝三俣(とかちみつまた)から帯広まで全線開通した「国鉄士幌線」の廃線跡が残っています。
当初は多くの人が利用していましたが、次第に乗降客が減少し、昭和62年には全線廃止に。かつての「幌加駅(ほろかえき)」は遊歩道として整備されており、今も残るレールやホームの遺構、切り替えポイントに触れることができます。
実は林道!?有名観光地に眠る不思議な廃道&廃隧道
上川町の層雲峡(そううんきょう)地区は、有名な温泉地。国道39号沿いには、温泉街があります。そんな層雲峡地区やその周辺には膨大な木材資源があり、林業が盛んだったそう。
昭和初期、現在の国道39号のルーツとなる道と並行して、石狩川を挟んだ通称「地獄谷」と呼ばれる対岸に、切り出した木材をスムーズに運搬するための林道が造られました。その林道には森林鉄道が敷かれたものの、わずか2年で廃止に。その後は鉄道が撤去され、トラック輸送に切り替えられたのだとか。
廃道となったその林道の奥には、昭和29年8月竣工の「層雲峡隧道」がひっそりと眠っています。入口は中が見られないほど土砂で埋もれていますが、隧道の反対側は塞がれておらず、「層雲峡隧道」と書かれた扁額も残っています。
昭和29年9月、洞爺丸(とうやまる)台風で大きな被害を受けた際、倒木処理や倒壊した家屋の建て直しのために必要な木材の運搬に、この「層雲峡隧道」が活躍したそう。台風の1か月前に完成していたことが幸いし、迅速に木材を運搬することができ、復興に大きく貢献したそうです。
隧道の中は硫黄の香りが漂い、熱気や蒸気で高温多湿の状態。約400mある隧道の中間あたりには、なんと温泉が湧き出ています。他にも隧道内では、人が退避できるように造られた待避所や、壁にこびりついた温泉成分の白い結晶が見られます。
9月19日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より