死亡者数「冬」が最も多い?…高血圧が引き金“脳梗塞”や“心筋梗塞”!日常に潜む血圧上昇の罠
サマリーSummary
ドクター:東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科 教授 医学博士 市原淳弘
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科 教授 医学博士 市原淳弘先生です。
今回のテーマは「〜基準値内でも油断禁物!〜日常に潜む血圧上昇の罠」
冬は血圧が上がりやすい季節。高血圧が引き金になりやすい脳梗塞や心筋梗塞による死亡者数はこの時期が最も多いと言われています。普段は数値が基準値内の人も、血圧を急に上げてしまう生活習慣があるため油断は禁物。その習慣を繰り返すと徐々に血管壁が傷つき、動脈硬化を始め様々な病気のリスクが上がると言います。そこで今回は、血圧の急上昇を招く行動や対策を専門医に教えてもらいました。
血圧の基礎知識
<冬は血圧が急上昇しやすい?>
冬は寒さによって血管が収縮してしまうため、血圧が急上昇しやすいといわれています。特に暖かい部屋から寒い外に出た瞬間などは、血圧が急上昇しやすいので危険な病気につながる可能性があるそうです。
<高血圧基準値>
・診察室血圧(※病院内で測定した数値)
上 140mmHg以上
下 90mmHg以上
・家庭血圧(※自宅で測定した数値)
上 135mmHg以上
下 85mmHg以上
<生活習慣で血圧が急上昇する!?>
血圧は1日同じ数値が続くのではなく、生活のさまざまな活動によって上下しており、生活習慣によっては急上昇する事もあるそうです。1日に3回血圧の急上昇を招く生活を続けると、1か月で約100回、1年間で約1200回にものぼります。すると、血管が傷ついて動脈硬化につながり、突然死を招く危険因子になるのだとか。そのため、高血圧の方はもちろん普段基準値内の人も注意が必要だそうです。
日常生活に潜む血圧の急上昇
<血圧の急上昇を招く原因(1)二度寝&朝起きてすぐ行動>
人は目が覚める時に血圧が上昇します。二度寝をすると、目覚めが二度ある事で血圧が二段重ねで急上昇を起こすため、血圧が高くなりやすいそうです。また、朝起きてすぐ活動するのもNG。心臓が急いで血液を送ろうとして、血圧が急上昇する可能性があるそうです。
<血圧の急上昇を招く原因(2)夜目が覚めた時も注意!>
夜中に目が覚めた時、照明の光などで目が強い刺激を受けると、脳がお昼の時間帯と勘違いして血圧の急上昇を招いてしまうそうです。
<血圧の急上昇を招く原因(3)排便時の力み>
先生曰く、排便時の力みは血圧上昇の大きな原因の1つ。トイレで力んだだけで、上の血圧が200mmHgを超える事もあるそうです。
<血圧の急上昇を招く原因(4)悪い姿勢>
膝・背中・腰などが曲がっていると、血流が悪くなり血液が心臓に戻りにくくなります。すると、心臓は血液が足りないと勘違いして過剰に働き、血圧が上昇してしまうのだとか。実際に20代の番組スタッフが良い姿勢と悪い姿勢で座った場合の血圧を比較したところ、姿勢を悪くして1分程度で血圧が20も急上昇していました。
<血圧の急上昇を招く原因(5)飲酒>
体内に吸収されたアルコールは、分解されてアセトアルデヒドという物質に変化します。アセトアルデヒドには血管拡張作用があり血圧は一時的に下がりますが、酔いがさめる頃にその反動で血管が収縮し血圧が上昇してしまうのだとか。飲酒を長く続けると、その状態が当たり前になってしまうそうです。実際、毎日のアルコール摂取量が多ければ多いほど血圧が高くなるという研究データもあります。推奨されるアルコール量は、ビールなら中瓶1本程度。また、お酒に欠かせないおつまみには塩分を多く含むものがあるため、血圧が気になる人は1日の塩分量を6g以下に留めるようにしましょう。
<血圧の急上昇を招く原因(6)ストレス>
ストレスを感じると交感神経が活性化されます。すると、血管が収縮し血圧が急上昇するそうです。
血圧と塩分の意外な関係
人は、塩分を摂取すると血液中の塩分濃度が高まります。それを薄めるため血管内に水分を取り込むので血液量が増加し、高血圧につながるのだとか。例えば、8gの塩分を摂った場合身体全体の血液量は約1Lも増えるそうです。
高血圧は遺伝する?
先生によると、高血圧の発症において遺伝が関与する割合は約3〜6割。残りは生活習慣や環境因子などが関わってくると言われているそうです。
先生オススメ!血圧の急上昇を防ぐ「時間帯別4つのポイント」
先生がオススメする4つのポイント、まずは1つから始めてみましょう。
<ポイント(1)寝床で手足ブラブラ>
寝起きは血管が収縮して血圧が上がりますが、手足をブラブラさせる事で手足の先にある末梢血管にまで血液が行き渡り、血圧の急上昇を抑える効果が期待できるそうです。朝起きたらすぐに起き上がらず、布団の中で1〜2分手足をブラブラしてから起き上がるようにしましょう。
<ポイント(2)朝バナナ>
バナナにはカリウムが多く含まれており、体内の塩分を尿として排出する「塩出し効果」が期待できるそうです(※腎臓病や腎臓病の薬を服用中の方は主治医の指示に従ってください)。さらに、バナナは食物繊維が豊富なのでお通じが良くなり、力みによる血圧上昇の予防にもつながるそうです。
<ポイント(3)王様座り>
長い時間座る事が多いに人にオススメなのが「王様座り」。1時間に1〜2分程度足先を伸ばし、背もたれに背中をくっつけ頭から足先まで一直線にしましょう。心臓への血液の戻りが良くなり、血圧の急上昇を防ぐ効果が期待できるそうです。
<ポイント(4)夜スクワット>
夜は太ももやふくらはぎなどの筋肉に血液が滞りやすい時間帯。夜スクワットをする事によって血管の中の血液が動き、血管の内側に内皮細胞が刺激を受けて一酸化窒素(NO)の産生が促されるそうです。NOが産生されると、血管が柔らかさを取り戻し血圧の急上昇を防ぐ効果が期待できるのだとか。NOは軽い運動でも分泌されるので、スクワットが難しい場合は座って軽く足を上げるだけでもOK!運動を行うと交感神経が優位になってしまうため、寝る1時間前に行うのがオススメだそうです。
〜寒さ対策もお忘れなく!〜
冬は、血圧の上がりやすい季節。今回ご紹介した対策だけでなく、寒さ対策にも気をつける事が大切だそうです。
(2023年12月17日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)