竜未完の大器・鵜飼航丞 泥臭くバットを振り続けてきた5年 覚醒への手がかりとなったコーチ2人からの助言とは
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
竜が昇る日はいつ来るのか

交流戦開始早々の4連勝に、いよいよ竜の季節到来か!と心がときめいたものの、いやいや待てよ、ここ数年連勝のあとは必ずといってよいほど連敗地獄が待っている!そんな嫌な予感はなにかと的中するもので、あれやあれやの5連敗。そして3カード連続負け越しと、やはり地力というか底力が今のチームにはないのだなとつくづく感じさせられた先週のドラゴンズ。残る交流戦もアウェイでの6連戦のみ。それも苦手意識が強い千葉ロッテマリーンズ、北海道日本ハムファイターズだけに厳しい戦いは免れないか(ため息)。
しかしパ・リーグの各球団、どこもかしこも新しい戦力の活躍が目立ち、うらやましい気持ちになったドラファンは多いはず。レギュラー陣のケガ人が多い今シーズン、今こそ控えの選手や二軍でプレーする若竜らにとっては絶好のチャンス。レギュラーを奪うつもりで死に物狂いとなって結果を残してもらいたいものだ。
今回のサンドラは今まさに殻を破りつつあるドラファン期待のロマン砲・鵜飼航丞選手をピックアップ。入団時から人並外れたパンチ力に期待が高かった和製大砲候補。入団5年目にしてようやく開花宣言となるか。覚醒間近、鵜飼選手本人に現状の思いを語ってもらった。
ロマン砲を卒業します

2026年シーズン、ドラゴンズは開幕早々からケガ人続出でメンバー固定のオーダーを組むことが難しかった。ただ得てしてこのような非常時にニュースターは出現するものであり、チームのピンチを救うべく、持ち前である長打力を発揮し始めたのが未完の大砲・鵜飼航丞選手である。
今年2月の沖縄キャンプでのこと。監督、コーチ、そして選手を前にしての朝礼挨拶で彼は決意表明を発した。
“ロマン砲を卒業します”
当たればどこまでも遠くへ飛んでいくボール。ただ待ってもなかなか大成しない。いつしかドラファンの間では鵜飼選手を“ロマン砲”と称し始めた。本人からしてみれば嬉しくない愛称。チーム関係者を前にしての一声はまさに決別宣言ともとれる発言であった。
そう口にして迎えた今シーズン。開幕一軍こそ逃したものの、2026年6月6日終了時点で32試合出場、96打数27安打4本塁打12打点、打率.281と自慢の長打力を武器にここまで合格点を与えられる成績を残している。
“バットにさえ当たれば”
鵜飼選手にはそんなイメージをつい持ちがち。しかし今のところ打率もまずまず。ズバリ、何が変わったのか?
鵜飼選手「(バットの)ヘッドが自分の思っているところで走るようになってきているので、打球も飛ぶようになって、(打球)音も良くなっています」
今まで力ずくで打っていたものが、徐々にではあるが上手くバットを利用できるようになってきたと、進化した自身の姿を口にした。昨年の高知秋季キャンプでバットを振り込む中でその“気づき”を感じ取ったという。“量からやらないと分からないタイプ”と自身を語る鵜飼選手。振って、振って、振り抜く中でようやく見つけることができた鉱脈であった。
軽く振る

力みなくバットを振る。言葉では簡単だが、実践するとなるとなかなか厄介な打撃理論。スポーツニュースで見たというパワーヒッターでありながら、しっかり率を残す阪神タイガース・佐藤輝明選手の“軽く振っている”という言葉が頭の中にこびりついて離れない。軽く振るイメージで打席に入れることに鵜飼選手は憧れを感じつつ、自分の思い描く理想のバッティング像が間違っていないと確信しているようだ。
“軽く振る”といった中で起こった変化は左投手への対応に表れ始めた。2022年から昨年までの4年間、対左投手の打率はわずか.134。そして今年は.284と克服傾向に。ルーキーイヤーからの課題をひとつ解決しつつある。
鵜飼選手「緩急でかわされることが多かった。今は割り切りを大事にして、引っ張れるボールは見逃さないようにしています」
割り切れるようになった要因。それは落合英二投手コーチや小池正晃一軍打撃コーチの助言が大きかったという。落合コーチからは低めに投げ切ったら投手の勝ち、浮いてきたボールをしっかりスイングするようアドバイスを受け、小池コーチからももっとインコースを打っていけとの言葉に迷いがすっと消えた。今まで全部打とうとしていたのをやめて、打てるボール、打てないボールをしっかり割り切って打席に立てるように変化していった。
儀式のような空振り

思い返せば2021年のドラフト、大型外野手としてドラゴンズに入団。ルーキーイヤーは4本塁打を放つなど上々の滑り出しを見せ、多くのドラファン、そして当時の指揮官であった立浪和義前監督も大きな期待を寄せた。立浪前監督が残した名言、初球から見せる“儀式のような空振り”。それは彼の持ち味である思いっきり振れることへの賞賛の言葉でもあった。当時からとんでもないボールを見られるようになれば、確率・チャンスは増えると言われ続けてきただけに、まだまだとんでもない空振りを見せることはあっても確実性はかなり増してきたように思える。結果がなかなか思うように出なくても、腐ることなく自分を磨き続けた彼の実直さを野球の神様は見放さなかった。キャンプで遅くまで振り続ける中、汗を流す姿をずっと見守り続けてくれたファンのためにも必ずバットでお返しをする。とにかく技を身に着けるまでバットを振り続けた。そしてようやくスポットライトが彼の勇姿を照らし始めたのだ。
上林さん、岡林、川越さんが帰ってきても

時間がかかってしまう不器用さはあるのかもしれない。それでもボールを飛ばす才能は紛れもない本物であり、彼にしか描くことができない打球の放物線を多くのドラファンは待ち望んでいる。練習を積み上げ、自身を磨いてきたことで訪れた覚醒の兆し。
鵜飼選手「ボクの長所は長打力。それを活かし、上林(誠知)さん、岡林(勇希)、川越(誠司)さんが帰ってきても“鵜飼は使えるぞ”と言ってもらえるように努力していきたい」
春に誓ったロマン砲卒業。しかしまだまだ道半ば。ホームランを二けた以上打った時、お立ち台で華々しく叫んでもらおうじゃないか。
“今日で完全にロマン砲を卒業することができました!”と。
しっかり振れる持ち味を忘れず、ボールを見極める力を高めること。日々その徹底を続けるべし。実直で泥臭い。しかし一度その形をモノにした時、ドラゴンズの主軸として欠かすことができないバッターとして成長しているはず。まさにその姿はOBである大豊泰昭さん(故人)を彷彿させる。これからもバットを振って、振って、振りまくって、オーバーフェンスする打球を数多く見せてくれ!
がんばれ航丞!
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜










