宏斗と夢斗を“侍ジャパンに取られて”どうなる?竜の開幕ローテーション
名古屋での強化試合、“大谷翔平フィーバー”の余熱も冷めやらぬ中、いよいよWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が開幕する。しかし、竜党として心配なのが、その後に続くペナントレースである。今季のドラゴンズの趨勢を担う大切な左右の若き両輪が、日本代表チームに招集されたからだ。(敬称略)
宏斗は2度目の代表入り

高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)の侍ジャパン入りは、言うなれば“想定内”だった。ドラゴンズOBで野球解説者の権藤博さんをして「日本代表に選ばれるべき素晴らしい投手」と評価される高橋宏斗。3年前の前回大会でも、リリーフとして登板して、胃がキリキリする場面でも、立派に役目を果たした。代表経験がある23歳右腕を、ジャパンの井端弘和監督も放っておくはずはなかった。沖縄キャンプでも、大会公式ボールで投球練習を続けるなど、本人も2度目のWBCに意欲満々だった。
そこに夢斗が急きょ参戦

2025年(令和7年)はペナントレースの開幕投手をつとめた高橋宏斗。さすがにWBCから戻ってすぐの開幕投手はないだろうと、それに代わる投手として、同じ23歳、2年目の左腕、金丸夢斗が浮上した。金丸本人も「開幕をめざす」と公言するなど、候補の筆頭だったのだが。代表メンバーに選ばれていた左腕の松井裕樹(現・サンディエゴ・パドレス)が左脚の不調で出場を辞退し、代わりに選ばれたのが金丸だった。金丸自身、大学3年時に井端ジャパンに呼ばれて、大好投を見せただけに、当然と言えば当然の選出だろう。
竜党の本音は「痛いなあ」
誤解を恐れずに言えば、ここからは「日の丸よりもドラゴンズブルー」という、熱いドラゴンズファンの立場として述べる。ご容赦いただきたい。宏斗と夢斗、先発として2026年(令和8年)シーズンに先発として大車輪の活躍を期待される2人が、この時期にドラゴンズを離れることは、ものすごく痛い。3月27日から広島のマツダスタジアムで開催される開幕3連戦には、調整が間に合わないという見方が濃厚だ。日本代表投手という名誉ある立場を十分理解するし、WBCの晴れ舞台での好投も見たいのだが、複雑な本音を吐露したい。痛い。これは相当に痛い。
開幕投手・柳への期待と不安

ドラゴンズの井上一樹監督は、3月1日に「開幕投手は柳裕也」と公表した。“立候補”していた大野雄大も「あり」かと思っていたが、FA宣言をしながらもドラゴンズに残留し、沖縄キャンプでも、黙々と練習してきた柳に白羽の矢を立てた。ただ心配なこともある。ここ2~3年、柳は立ち上がりの失点が多い。2月27日にバンテリンドームで行われた日本代表との強化試合でも、先発して初回に3点を取られている。シーズン開幕戦は、やはり“ただの1試合”ではなく、その初回は“ただの初回”ではない。心してカープ打線に向かってほしい。
飛び出せ!ドラフト1位の中西

高橋宏斗と金丸夢斗がチームに帰ってきて先発ローテーションに加わるのは、続く本拠地での讀賣ジャイアンツ3連戦になるのだろうか。あるいは、もう少し後になるかもしれない。柳の他、大野雄大と松葉貴大という左腕、そして、22年目の今シーズン中に不惑の40歳を迎える涌井秀章ら、ここはベテラン陣に頑張ってもらうしかない。来日2年目のカイル・マラーにも注目したいが、最も期待するのが、ドラフト1位の中西聖輝、2位の櫻井頼之介、2人のルーキーだ。春季キャンプのブルペンでも光るものを見せていた。オープン戦で成果を出し、一気に開幕ローテ入りするくらいの勢いを見せてほしい。
球団創設90周年を迎えたドラゴンズ。注目の開幕ローテーションは、ベテランと新人がキーマンとなって、柱となる宏斗と夢斗を待つ陣立てとなる。2人には、世界を相手に活躍し、それを土産にドラゴンズに帰ってきてほしい。もちろんコンディションを崩すことは絶対にあってほしくない。「侍ジャパンも大切だがドラゴンズも大切」いや、やっぱり「日の丸よりもドラゴンズブルー」か。悩ましい3月が始まった。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











