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「立浪監督の理想が高すぎたのかな」竜の球団トップが語る低迷の理由と今季展望

「立浪監督の理想が高すぎたのかな」竜の球団トップが語る低迷の理由と今季展望
立浪和義前監督(C)CBCテレビ

日本一になった横浜DeNAベイスターズのオーナー、南場智子さんは球団の経営トップでありながら“ベイスターズ大ファン”としても注目されるが、中日ドラゴンズも負けてはいない。球団社長である吉川克也さんも、幼い頃からの“筋金入り”の竜党である。球春を迎えた中でのインタビューで、その熱き思いを語ってもらった。(敬称略)

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生粋のドラゴンズファン人生

吉川克也社長インタビュー(提供)ドラゴンズBros.

吉川克也さんは、愛知県名古屋市中村区生まれの68歳。自宅は中日スタヂアム(現・ナゴヤ球場)に近く、父親に球場に連れて行かれたことをきっかけに、ドラゴンズファンとしての道を歩むことになった。

思い出の試合は、1974年(昭和49年)に讀賣ジャイアンツの10連覇を阻止して、ドラゴンズが20年ぶりのリーグ優勝を決めたダブルヘッダーである。エース星野仙一が投げて、サードの島谷金二がライナーを取って歓喜の時が訪れた瞬間を懐かしむ。あの優勝ほど嬉しいものはないと思い出す感動の秋だった。

「あの王(貞治)や長嶋(茂雄)がいた巨人に勝ったんですよ。すごいことだった」

胴上げを見るため仕事も休んだ

中日新聞社に入社した後も、ドラゴンズへの愛はますます燃えさかる。広告担当だった若き時代、“野武士野球”と呼ばれた近藤貞雄監督に率いられたドラゴンズがリーグ優勝した1982年(昭和57年)の最終戦は、会社を休んで横浜スタジアムに駆けつけた。胴上げを見まもり、深夜に車を飛ばして名古屋に戻った吉川さんを待っていたのは、上司による叱責だった。球団の親会社であっても、そこの一線は厳しかったようだ。

「横浜に行っていました、と説明したけれど、残念ながら勘弁してもらえませんでした」

球団社長としての苦悩

吉川克也社長インタビュー(提供)ドラゴンズBros.

そんな熱烈なドラゴンズファンが、めぐりめぐって球団トップに就任したのは、2021年(令和3年)の春だった。当時は与田剛監督の3年目、そして、それに続いて3代目「ミスター・ドラゴンズ」立浪和義さんの監督就任に尽力した。

しかし、与田監督も成績が上がらず退任し、立浪監督にいたっては、球団史上かつてなかった3年連続の最下位に低迷した。長年ファンとしてドラゴンズを愛してきただけに、吉川さんも個人の思いと責任ある立場の“また裂き状態”に苛まれたのではないだろうか。

「厳しい電話を受けたり、夜も眠れなかったり、つらい部分がありました。外から言いたいことを言って応援している方が気楽でした」

立浪監督なぜ失敗した?

立浪和義前監督(C)CBCテレビ

ドラゴンズファンが待ちに待った“切り札”立浪監督は、なぜ結果を残せなかったのだろうか。球団トップの評価は?ファンとして最も聞きたい質問をぶつけてみた。

「今思うと、立浪監督の理想が高すぎたのかな。選手たちに求める技量も、立浪さん自身がすごい選手だったので、『あの人が言うことは絶対だ』みたいになって、逆に周囲が忖度してしまったと思います。ヘッドコーチになった片岡篤史さんは、PL学園時代の同級生なので『違うものは違う』とバランスよく、監督とコミュニケーションを取ってもらうことをお願いしたけれど、それもうまくいかなかった」

その上で、得点力の不足、さらにビジター球場で勝てなさ過ぎたことを敗因として挙げた。
同時にそれは2025年シーズンの課題でもある。

井上新監督への期待

井上一樹監督(C)CBCテレビ

吉川さんら球団フロントは、長きにわたる低迷からの脱出を託すリーダーとして、井上一樹監督を選んだ。新しい指揮官への期待は大きい。

「井上監督は声も大きいし、立浪監督と比べると話が長くなりがちな部分もありますが、自分の考えを持っている。そういう点は非常に良いと思います。井上監督には、細かい部分ではなく、全体を見てもらえばいいと思っています」

「選手が自主性を持ってやってくれればいい。『監督、この1試合は監督なしで、選手だけでやらせてほしい』そんなことを言えと、村松(開人)選手に言った。井上監督も『いいんじゃないの。やらせてみたら』と言っていた。去年までで気になっていたのは、選手たちが“指示待ち”状態になっていたことだった」

2025年井上ドラゴンズのスローガンは「ドラポジ」。春季キャンプからここまで、ベンチなどでの選手たちの声も元気に出ていて、新監督の方針が浸透していると目を細めた。

ドラゴンズが次にリーグ優勝すると通算10回目となる。球団創設90周年も来年に迫る中、今季のドラゴンズはどう戦っていくのか。さらにその先、100周年に向けて将来の構想とは?球団トップの熱きインタビューは『ドラゴンズBros.2025』(東京ニュース通信社・3月21日発売)でも詳しく紹介している。

※インタビューは2025年2月9日に、沖縄の北谷町にて取材しました。
                        
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。

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