町長席にドアラが座る!ドラゴンズ北谷キャンプ30年目、優勝を願う熱き地元
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30年目の春を迎えた。中日ドラゴンズが、沖縄県北谷町で春季キャンプを行うようになったのは1996年(平成8年)、星野仙一監督の時代だった。アメリカンビレッジを中心に、沖縄県内の人気観光スポットとなった北谷町は、同時に長年の“ドラゴンズタウン”でもある。
星野仙一監督の「夢」
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北谷町役場3階にある町長室には、今も「夢」と書かれた色紙が飾ってある。石川市(現・うるま市)からキャンプ地を北谷町に変更した、当時の星野仙一監督が直筆のサインと言葉を贈ったものである。2018年(平成30年)に星野さんが急逝した直後の春季キャンプでは、球場の入り口近くにメモリアルブースが設けられて、写真パネルが展示された。北谷の人々に愛された星野さんに導かれ、ドラゴンズは北谷町の人たちの温かいエールの中で、30年目の2025年(令和7年)も1軍の春季キャンプを行っている。
ユニホーム姿あふれる町役場
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役場を訪れると、ドラゴンズファンとしてホッとした気持ちになる。窓口業務の担当を中心に多くの職員たちが、様々なドラゴンズのユニホーム姿なのだ。毎年のキャンプ期間中に「ドラゴンズのキャンプを盛り上げよう」と始まった恒例の習慣である。本拠地の名古屋市役所でも、またバンテリンドームがある東区役所でも、こうした風景にはお目にかかれない。
北谷町内の小学校では、キャンプに合わせて「名古屋めし給食」が用意されて、味噌カツなどが登場する。一体どちらがドラゴンズのホームタウンなのか、正直分からないほど、北谷町はドラゴンズ色に染まっている。嬉しいことだ。そして、名古屋市も見習ってほしい。
町長もトートバッグ愛用
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渡久地政志(とぐち・まさし)町長を訪ねた。今年は、例年以上に大勢のファンが、北谷町に詰めかけていると言う。町長は、毎年、キャンプグッズのトートバッグを購入して、それを1年間持ち歩くそうだ。しかし、初日の歓迎セレモニーを終えた後にグッズ売り場に行くと長い行列ができていて、公務の時間も迫っていたため、その日はバッグ購入を断念したそうだ。グッズ売り場も連日かつてない賑わいであるだけに、ちゃんと手元にトートバッグが届けばいいと願う。
井上・藤嶋コンビの明るさ
去年までは、キャンプの際に立浪和義前監督に会って、チーム作りについていろいろ話を聞いていたという渡久地町長。3年連続の最下位をとても残念がって、ここ最近はシーズンが秋も早々に終わってしまうことが淋しいと話す。
その上で、プロ野球選手はそれぞれに才能が見出されて“選ばれた”人材だけに、何かのきっかけで一気に開花する可能性があると分析する。
「お会いした井上一樹・新監督と藤嶋健人・新選手会長、この2人の明るさと元気さがあれば、ドラゴンズのAクラス、そして優勝も夢ではない」
と期待を熱く語った。
町長室でドアラが大活躍?
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そんな北谷町の町長室で“活躍”しているのが、大きなドアラ人形である。渡久地町長が公務の出張や休暇で、役場を不在にして戻らない日は、自分の町長席にドアラを座らせているそうだ。もちろん町長のスケジュールは町長室の秘書担当が把握しているが、決済が必要で町長室にやって来る職員たちも、部屋を覗いて一目瞭然でトップの動向を把握できるそうだ。
「ドアラにこんな役割をさせて申し訳ないですが・・・」
しかし、町長席に座ったドアラ人形も、どこか嬉しそうだった。こうした日常の場面にも、北谷町が町を挙げて、ドラゴンズを心から愛していることがうかがえる。
3年連続最下位という屈辱からの逆襲を、至上命題とする井上ドラゴンズ。本拠地の名古屋だけではなく、沖縄の地でも温かい応援が続いていることを“追い風”に、勝負のペナントレース開幕に向かってほしい。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。