やればできる!井上ドラゴンズが沖縄で見せるファンサービスに竜党は大拍手
![やればできる!井上ドラゴンズが沖縄で見せるファンサービスに竜党は大拍手](/magazine/assets/images/dragons-post-8615/1739350170w308i-scaled.jpg)
これまでもドラゴンズの春季キャンプ地を、毎年のように訪れてきたが、2025年(令和7年)の沖縄、北谷町と読谷村には「ドラゴンズファンはこんなに多かったのか」と驚くほど、大勢のファンが詰めかけ熱気に包まれている。(敬称略)
グッズ売り場に並んだ
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今年も楽しい品揃えとなった。ファン待望のキャンプ限定グッズである。北谷の球場横に設けられたグッズ売り場は、以前に比べるとかなり拡充された。しかし、連日、グッズを買い求めるファンが殺到している。午前10時の開店を前に、敷地の外の歩道にまで並ぶ行列ができている。
列の最後の人は「グッズ販売 最後尾」と書かれたダンボール製のプレートを持つように依頼され、それを後ろの人にバトンタッチしていく。筆者もそれを受け取り、しばらく後に、愛知県豊橋市から来たという一家に手渡した。高校生の息子さんが高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)のファンだという。そんな会話を交わしながら順番を待つことも楽しい。ちなみに1時間20分後に、グッズを買うことができた。グッズ売り場には度々、ドアラも登場して販売に一役買っていた。ファンは大喜びである。
松坂・根尾フィーバー再び
球団にとって、グッズ販売は大切な収入源である。かつて、松坂大輔さんがドラゴンズに入団した2年目の2019年キャンプは、ルーキー根尾昂の人気も重なって、キャンプグッズが売れに売れた。それ以来、球団も商品の種類やデザインにも力を入れてきた。井上一樹新監督を迎えた2025年(令和7年)、キャンプの前半を終えて、売り上げは前の年の1.5倍に増えているとのことである。
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その背景には、グッズを買ったり身に付けたりして応援したくなる、新生ドラゴンズの楽しいムードがある。ちなみに背番号グッズの売れ筋ベスト3は「19」「21」「7」と聞いた。高橋宏斗、金丸夢斗、そして福永裕基、納得の3選手だ。
臨時のサイン会が続々
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キャンプ地で球場に出入りする選手が、ファンの求めに応じてサインをする風景は、これまでも見られたが、今年はまったく“レベルが違う”。1軍キャンプ地の北谷でも、グランドや屋内練習場などの近くで、午後になると選手による臨時のサイン会場が“開設”されるのだ。時には球団スタッフによって、テーブルまで用意される。自らが率先してサインに応じている井上新監督の指示もあるのだが、ファンにとってはこれほど嬉しいことはない。
ファンにとっての宝物
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岡林勇希が、屋内練習場を出たところで始めたサイン会には、練習場を取り巻こうかというほどの長い行列ができた。サブグラウンド近くでの松山晋也のサイン会も同じ、求めに応じて、結婚早々のカップル宛てに丁寧に名前も書き込んでいた。高橋宏斗や清水達也の臨時サイン会も見た。大野雄大はサインをしながら、自らの写真カード(チェキ)を子どもたち中心に配っていた。ドアラも度々登場して、サインや写真撮影に応じていた。
かつて、ドラゴンズのキャンプ地でサインをもらったひとりの少年が、それが嬉しくて、その選手が“歩んだ道”に続いた。選手は立浪和義さん、そして、同じPL学園高校に進み、やがてドラゴンズにも入団したのは、当時は少年だった福留孝介さん。選手のサインは、ファンの胸を躍らせるのだ、昔も今も。そして、そのことをよく理解しているのが井上新監督であり、監督方針によってドラゴンズは明らかに変わった。
紅白戦でのサプライズ
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驚きのファンサービスは、キャンプ第2クールの週末に、予定になかった紅白戦が組まれたことだった。先発は仲地礼亜と根尾昂と事前に発表された。地元の沖縄出身の仲地、そして人気の根尾、大勢のファンがスタンドに詰めかけた。
ゲーム終了後、さらなる嬉しいサプライズがあった。井上監督の指示を受けて、2軍の小田幸平バッテリーコーチがマイクを持ち、ファンへのプレゼントを発表。3塁側の紅組が勝ったため、バックネットから左側のスタンドに対し、選手たちによってサインボールが投げ込まれた。
「タイガースやファイターズも紅白戦をやっている中、よくぞドラゴンズを見るために、北谷へおいで下さいました。ありがとうございます!」
小田コーチのマイク挨拶を聞きながら、これがファンに寄り添うということなのだと、あらためて確信した。ゲーム以上に、いいものを見せてもらった思いだった。
そんなファンの熱気に包まれて、井上ドラゴンズのキャンプは続く。だた、最も大切なファンサービスは「勝つこと」である。3年連続最下位の屈辱を日々噛みしめて、思い切り厳しい練習に打ち込んでほしい。竜党の熱い応援は続く。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。