竜が変わった!沖縄キャンプで目撃した井上ドラゴンズ逆襲への手応え
![竜が変わった!沖縄キャンプで目撃した井上ドラゴンズ逆襲への手応え](/magazine/assets/images/dragons-post-8614/1739345906av0b1.jpg)
桜も咲いた沖縄の地で、新監督を迎えた中日ドラゴンズも開花しようとしている。新たなリーダーである井上一樹監督によって、2025年(令和7年)沖縄の北谷そして読谷、2つのキャンプ地の空気は一変した。とにかく明るく元気だ。(敬称略)
金丸へのバースデーソング
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キャンプ初日の2月1日、2軍キャンプ地である読谷村の球場に響いたのは、ドラフト1位ルーキー金丸夢斗の誕生日を祝う歌だった。背番号「21」の真新しいユニホームにそでを通した初日は、金丸にとって22歳の誕生日だった。練習前に落合英二2軍監督が、それを紹介して、先輩後輩の選手たちが「ハッピーバースデー」を合唱した。金丸にとっては思いがけない誕生プレゼントであり、一生忘れられない思い出になったことだろう。
2月3日には、北谷の球場で同じようにバースデーソングの合唱があった。主役はオルランド・カリステ、電光掲示板にもお祝いの言葉が映し出される、何とも粋な演出だった。
泥だらけのノックに酔う
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井上新監督が、このキャンプで始めたのが、自らがノックを打つ特訓。名づけて「Dirty Hustle 99(ダーティー・ハッスル・ナインティナイン)」。1軍のメニュー表に書き込まれ、同時に対象となる投手3人の背番号も記入されている。2月7日は、藤嶋健人、高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)、そして松木平優太が、3人1組でノックを受けた。
さすがに井上監督のバットコントールは巧みで、サブグラウンドの三遊間に立つ3選手を右へ左へ、時に前へと走らせる。取り損ねると、その場でスクワットの罰則付き。脚を使う特訓内容もさることながら、監督と選手の“言葉のキャッチボール”が最高に楽しいのだ。多くのファンがネット越しにそれを見守ったが、大爆笑の連続だった。井上監督は選手たちとコミュニケーションを取りながら、同時にファンとの交流も深めているようだった。
オーラを醸し出す宏斗
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1軍の北谷で最も目立っていたのは、高橋宏斗である。23歳で迎えるシーズンになるが、前のシーズンに最優秀防御率のタイトルを取ったこともあってか、彼に大きな変化があった。どこにいるのか、その居場所が何となく分かるのである。すなわち、周囲にオーラを発揮する選手に成長していた。
以前、松坂大輔さんがドラゴンズの一員となったキャンプで、同じような体験をした。「松坂がどこにいるのか分かる」という空気感。それを高橋宏斗も“身にまとって”いた。それだけではない。ブルペンで88球の投げ込みを目撃したが、投げるボールの威力は凄まじく力強い。明らかに“1ランク上の選手”に成長していた。
福永と中田翔の打球
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野手では、背番号が「68」から「7」に替わった3年目の福永裕基が元気だ。新しい背番号が、これほどピッタリ合うとはと驚いた。そして、本人も生き生きと練習と向き合っている。シート打撃でレフトスタンドに、チーム第1号のホームランを打ったが、そのスイングの思い切りの良さには、ますます磨きがかかっていた。
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そして、もうひとりが中田翔。ドラゴンズに移籍した前年は、本人も不本意なシーズンだったはず。このオフに15キロという大減量をしてキャンプ地入りした。初日の打撃練習で、いきなり打球を外野の芝生席に放り込む。スタンドのファンからの拍手に、両手を突き上げてのパフォーマンスを見せた。自分でも手応えを感じているのだろう。
今年の沖縄は、地元の人も「寒い」と言う気候になっているが、ここまで大きなケガ人もなく、春季キャンプも折り返しを迎えた。3年連続の最下位という厳しい位置からの逆襲のために、最も必要なことは“現状を脱け出すこと”である。井上新監督は「殻を破る」と表現したが、まさに沖縄の地では、竜が“脱皮”の姿を見せている。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。