ショート争いが激化するドラゴンズで、京田陽太選手が掲げる「4つの公約」
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム」
「もがき、苦しんだ」2年目のシーズンで得たもの
元旦から母校の日大グラウンドでトレーニングに励む、京田陽太選手の姿。
今年は根尾昂選手の加入によりショートのポジションを争うことになる。
ファンやメディアによる根尾選手への注目度は相当なもので、同じショートのポジションを昨年1年間守ってきた京田選手にとっては根尾選手以上にプレッシャーを感じることとなるだろう。
「ここ2年間は試合に使ってもらった立場なので、最後までグラウンドに立っていたい!」と番組冒頭で語っていた。
思い出されるのは、オールスター戦前自身ワーストの31打席連続の無安打から、ようやくヒットが出た夏の日に、ベンチで感情が溢れるのをこらえた姿だった。
不調時にも起用され続けることとは、未来を期待された有望な選手であることの証しだが、
時にその期待は重くのしかかり、自身を苦しめることもある。その苦しさを味わってきたからこその言葉だったのではないか。
ドラフトで話題の新人をいきなり抜擢して一軍の舞台で実践を積ませる。ふたを開けてみないとわからないが、起用法のひとつとしてはあり得る話だ。
自分の掴みかけていたポジションが脅かされている。めちゃくちゃなピンチだ。
私が京田選手の立場であったら「穏やかにやらせてくれよ」と思うだろう。
でも、それこそが京田選手の新たなスタートの起爆剤となるのではないか。
京田選手は昨年2番打者として起用されたことで打者としての新たな課題を実感することとなったはずだ。
それは番組でも挙げられていたように、バントや右打ちについてだ。試合前の練習にいち早くやってきて、バントや右打ちの練習を行なう。毎日積み重ねる中で着実に成功率を上げ、九割以上の高い数字を残した。
課題を自ら分析すること、練習においては努力の積み重ねを追求する事が、求められる期待に対する京田選手の答えだ。
根尾選手だけじゃない?!ショートのライバルは…
そんな折に勃発したショート争い。根尾選手だけではなく、「神主打法」に取り組み虎視眈々とポジションを狙い、平田良介選手もオフのトークショーで
『来シーズンの開幕スタメンには守備がチームNo.1の堂上を』
と推す、堂上直倫選手もいる。内野のどこを守らせても華麗にアウトをとっていく姿、どっしり腰を落とし打球に正対する姿、同じフィールドから見てその守備は一際頼もしく見えるのだろう。突出した能力の高さは、チームメイトの信頼に繋がる。
チームプレイにおいて重要なスキルを磨くことや、自らのスランプなどにどう対処していくかなど、今、京田選手は主力としての必要な技術を土台から築きつつある。
だからこそ、私は新しい京田選手を見せてほしいと思う。レギュラー選手としての自力をつけた3年目。京田選手の長所を伸ばしたプレイでし烈なポジション争いを盛り上げてほしい。
2019年の公約から浮かび上がる目指す姿とは?
“4月月間MVP“
“全試合フルイニング出場“
“ゴールデングラブ賞“
京田選手のあげたこの公約から、開幕でしっかり足場固めをしようという意欲がうかがえる。さらにはレギュラーで一年間戦い抜くというここ2年守ってきたポジションに対する自信と覚悟を感じる。
そんな3年目をむかえる京田選手と同じような状況を体験した人物がいる。それが赤星憲広氏だ。
赤星氏は新人王獲得後、2年目にはケガで苦しみ思うような成績を上げられず、3年目はFAでやってきた金本選手とのポジション争いを余儀なくされた。そんな境遇も相まってか、以前のサンドラの対談でも惜しみない京田愛を爆発させた。あまい愛の言葉だけではなく、プロとしての冷静な分析による言葉にこそ、京田選手を成長させるものがあるだろう。
「1,2番にこだわれ!」
「開幕カードにこだわれ!」
「40盗塁にこだわれ!」
赤星氏が京田選手に送ったこの目標からは「3年目のポジションを確立して行け!」と言う強い思いが感じられる。同じ勝負の3年目に結果を残した赤星氏の言葉は、「毎日球場にアドバイスしにきてほしいくらい」と喜ぶ京田選手にとって、より鮮明なメッセージとなるだろう。
目標の”40盗塁”がもたらす新たな武器
そして私が着目するのは“40盗塁“という目標である。
京田選手は守備率の指標でセリーグトップを誇っているが、守備範囲の指標をあらわすデータでは巨人・坂本勇人選手の方が上である。
この指標では足の速さを武器とする選手が高い傾向にあるが、ミスをしないという意識やポジショニングの徹底など、地道なレベルアップを重要視してそのような結果になったのではないだろうか。
京田選手の魅力がひときわ輝くのはその足の速さ。そして、その利点が発揮されるのが盗塁である。
盗塁で評価された足を守備にも活かしていく。果敢に挑戦することで最初はエラーもあるだろうが、この課題を自分でつくり、自分で解決していく。根尾選手も、堂上選手も敵わない京田選手の足という武器を磨いてポジション争いを魅せてほしい。ライバルたちも一層己の武器を磨き上げて戦っていくことだろうが、速さのアドバンテージが加われば、まごう事なきセリーグNo.1のショートになれるのではないか。
そんな展開を深読みしつつ、公約を見事果たした来シーズンのオフには、「4つ目」の公約
“赤星さんとお食事(ハート)“
で存分に新たなステージの個人指導を受け、京田選手の止まらぬ成長を期待したい!
(ドラゴンズ妄想文筆家 澤村桃)