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ドラゴンズよ!いよいよ始まる後半戦は背番号「98」を背負って戦い抜け!

ドラゴンズよ!いよいよ始まる後半戦は背番号「98」を背負って戦い抜け!

東京五輪が終わった。野球の侍ジャパンは金メダルを手にした。中日ドラゴンズにはチームメートとのあまりに悲しすぎる別れがあった。1か月の五輪中断期間を終えて、いよいよプロ野球のペナントレースが再開される。

戦力の再検証は抜かりないか?

球団創設85周年の2021年シーズン、ドラゴンズは「昇竜復活 その先へ」をスローガンに戦っている。ここまで86試合で32勝42敗12分、負け越し10、3位とは10ゲーム差という大差をつけられての4位に低迷している。応援するファンは「その先」を見せてもらっていないばかりか、前シーズンのAクラスですら遠い過去として忘れてしまいそうな気持ちである。しかし、これまでにはなかった公式戦中断1か月という時間、当コラムでは以前「神様からの“ラストチャンス”」と名づけてみたが、立ち止まって戦力を再検証した上で次なる態勢を整えるには、重要な日々だったはずである。

後半戦の反撃は「打つこと」

低迷の原因でもあり、同時に浮上への課題は「打」であることは明らかだ。オリンピック期間に大島宇一郎オーナーに対して与田剛監督が前半戦の報告をしたが、オーナーからは「あと1本が出ず、接戦を落とす試合が目立った」という指摘があった。侍ジャパンのラインアップを見るとため息が出た。東京ヤクルトスワローズ4番の村上宗隆選手が8番を打った。さすが日本代表、どこからでも点が取れる打線、何よりも力強い。そしてその中にドラゴンズの打者が誰も加わっていないことに、二度目のため息が出た。中断期間中のエキシビションマッチでは、けがから復帰のアリエル・マルティネス選手と、来日以来不調だったマイク・ガーバー選手が力強い打棒を見せたが、「あと1本」貧打解消への期待は大きい。

鉄壁の投手陣に死角なし

「打」ばかりに目が向いてしまうが、それは好調な「投」があってこそのことである。
チーム防御率3.31、リーグどころか12球団でもトップクラスという竜の投手陣だが、これが維持されていて初めて、浮上の可能性がある。充実している先発陣の顔ぶれに加えて、前半戦の最後にけがから戦列に戻った田島慎二投手、そして再びキレのある投球を取り戻した岡田俊哉投手が本格的に参画すれば、ただでも鉄壁と言われるリリーフ陣は相当な厚みを増す。けがなどコンディションに注意すれば、シーズン後半戦でのフル回転も可能な厚い投手層である。投手陣の整備は、油断することなくきちんと仕上げてほしい。

出でよ!チームに勢いをつける若竜

「サンデードラゴンズ」より岡林勇希選手(C)CBCテレビ

待たれるのは新鮮な“起爆剤”である。長いペナントレース、チームに勢いを与え、波に乗せるのは、やはり若い新戦力である。2021年シーズンは、開幕から3年目の根尾昂選手がその役割を果たすかと期待されたが、時おり光は放つもののレギュラー定着までは達せず現時点は2軍にいる。五輪中断期間のエキシビションマッチでは、4年目の伊藤康祐選手がスタメンとして起用されて活躍し“起爆剤”に名乗りを上げた。ランニングホームランを打った岡林勇希選手共々、ファンの期待は高い。前半戦が終わった時に与田監督は「1、2軍どんどん入れ替えができるようにする」と語ったが、後半戦を戦う中でも常に“起爆剤”を求めて積極的に動いてほしい。

巨人戦のスタメンに期待する

ペナントレースが1か月も中断すると、再開というよりも「新たなスタート」と言える。
8月13日に東京ドームの讀賣ジャイアンツ戦から始まる戦いを、福谷浩司投手が「2021.5年のシーズン」と表現したが、的確なとらえ方だろう。その意味で、再開初戦の先発オーダーには大いに注目したい。「これが後半戦を戦い抜く竜の打線」という勢いのある姿を見せてほしい。前半戦と同じ顔ぶれで打順を入れ替えただけならば、どんなに上積みしたとしても首位に駆け上がるほどの急上昇は難しいだろう。借金10、3位に10ゲーム差の4位というマイナスからのスタートだからこそ「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」。大胆な決断、ベンチ采配の腕の見せどころだ。

木下雄介投手の思いと共に

「サンデードラゴンズ」より木下雄介投手(C)CBCテレビ

そして、大切な仲間が天に召された。背番号「98」木下雄介投手である。育成出身ながら150キロを超える力強いストレートを武器に、2021年シーズンは中継ぎとして期待されていた。しかし、オープン戦での登板中に右肩を脱臼、復帰をめざしてリハビリ中の急逝だった。入団5年目の27歳。チームもドラゴンズファンも突然の悲報に言葉をなくした。侍ジャパンのメンバーだった大野雄大投手は、大切な仲間だった木下さんに見せるべく、手にした金メダルを横浜スタジアムの夜空に高く掲げた。ペナントレース再開の東京ドーム初戦は、全員が背番号「98」のユニホームを着てグラウンドに立ってほしいぐらいだ。野球をしたくても、それはもうかなわない。そんな木下さんの無念を一身に受け、残り57試合一戦一戦を大切に戦ってほしい。

東京五輪の前に紹介した川柳を再度かみしめる。「捨てはせぬ 竜が捨て身で あるかぎり」。侍ジャパンのユニホームがすっかり目に焼きついてしまったが、それを待ち遠しく思っている竜党としてドラゴンズナインの全力プレーを切望したい。ドラゴンズブルーの空から見守っているはずの背番号「98」と共に、熱いエールを送る。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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