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いつまで続くのか?ペナント折り返しを迎えた与田ドラゴンズの残念な“乱高下”

いつまで続くのか?ペナント折り返しを迎えた与田ドラゴンズの残念な“乱高下”

シーズンもあっという間に折り返し点72試合を迎えた。中日ドラゴンズは28勝34敗10分で、負け越し6。3位に大きく差をつけられてのBクラス4位、首位の阪神タイガースの後ろ姿は霞んでいる。「めざすは優勝しかない」3年目を迎えた与田剛監督はシーズン前に宣言したが、現時点ファンにとっては大きく期待外れである。
(成績は2021年6月28日現在)

相変わらずの「投高打低」

3年連続での開幕ダッシュに失敗したドラゴンズ。ここまでシーズン半分の戦いをふり返る四字熟語は「投高打低」に尽きる。チーム防御率3.14は、リーグトップどころか12球団でも1位。セ・リーグの規定投球回数に達している投手は現在11人いるが、ドラゴンズからは柳裕也、小笠原慎之介、大野雄大、そして福谷浩司と、実に4人の投手が名を連ねている。見事である。5年前の2016年シーズン、規定投球回数に達した投手はゼロだったことを思い出せば、隔世の感がある充実ぶりだ。
その一方で、攻撃面の課題は昨シーズンから何も解消されていない。チーム打率.239はリーグ最下位、本塁打数39本もリーグ最下位。大島洋平とダヤン・ビシエドの2選手は打撃ベストテンに入っているものの、チーム全体の印象は「あと1本が出ない」。リリーフ含めた投手陣の頑張りがあるからこそ、まだ4位にとどまっているとも言える。

根尾と柳の心に残る大活躍

ファンとしてここまで印象に残った試合を2つ挙げたい。いずれも舞台は本拠地バンテリンドーム、まず、根尾昂選手が自身プロ入り初のホームランを満塁弾で飾った5月4日の横浜DeNAベイスターズ戦。新型コロナウイルス感染警戒への自粛で悶々としたゴールデンウィークだったが、3年目を迎えた背番号「7」のバット一閃、日本中のプロ野球ファンが沸いた。個数限定で発売された記念プレートなどは“瞬殺”で売り切れた。ファンが待っていたヒーロー誕生かと思わせた。
もう1試合は4月17日の広島東洋カープ戦での柳裕也投手の快投。1安打完封した交流戦の試合も見事だったが、8回を投げて自己最多14奪三振の投球は圧巻だった。久しぶりに溜飲が下がる、いや「竜飲」が下がる試合を見せてもらった。

勝ち切れないベンチ采配

しかし、実はこの2試合に今のドラゴンズが抱える課題が潜んでいる。快勝の後に惨敗。勢いに乗り切れない打線に、若い力が登場してこない。一気にレギュラーを掴むかと期待された根尾選手もその後は失速、守備でこそ魅せるもののスタメンを外れることが多くなった。6月27日の試合で27打席ぶりのヒットが話題になったが、そんなレベルでは困る。根尾選手に限らず、相変わらず、ドラゴンズの1軍戦に活きのいい若竜は登場しない。
だからチームも波に乗れない。
一方、柳投手には奪三振ショーを完封で飾ってほしかった。8回まで116球、シーズンは長いし無理は禁物とはいえ、左の大野投手と並び“右のエース”として投手陣を背負ってもらわねばならない投手。5点差の9回は続投ではなかったか。時としてドラゴンズのベンチ采配は優しい。ただその優しさが、勝負どころで勝ち切れない甘さにつながっていないか。

今季のリセット期間を活かせ!

「サンデードラゴンズ」より加藤翔平選手(C)CBCテレビ

ドラゴンズにとっては厳しいペナントレース折り返しだが、実は2021年は特別なシーズンである。オールスターゲームに続く東京オリンピック開催によって、ほぼ1か月にわたって公式戦が中断する。極論するならば、もう一度シーズン開幕を迎えるようなものだ。投手陣の好調さを維持しながら、打線を整備し直す絶好のチャンスである。ひたすら打撃練習に費やすもよし。1軍と2軍の入れ替えが少ないチームだけに育成選手含めて、再度打撃好調なメンバーでスタメンを組み直すもよし。もっと言うならばトレードもありだろう。千葉ロッテマリーンズから加わった加藤翔平選手のスタメンでの活躍は続くが、他球団を見渡した時、ドラゴンズ打線に足りない“大砲”だって存在している。トレード可能期間も例年より長い。戦力補強を果敢に仕掛ける時かと拝察する。この五輪休みは、まさにラストチャンス。フロントとベンチ、一丸となって臨戦態勢を再度整えてほしい。

ドラゴンズファンの間では、来季以降のチームに期待する声が出始めているのも事実だが、しかしまだ早い。上位3球団にだって好不調の波もあればスキも出る。竜が必死に戦い続ける限り、ファンは一喜一憂しながらも熱い応援を約束する。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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