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オリンピック年のドラゴンズは最下位が多い?「昇竜復活」で不吉なジンクス振り払え!

オリンピック年のドラゴンズは最下位が多い?「昇竜復活」で不吉なジンクス振り払え!

東京五輪・パラリンピックが開催される2020年がスタートした。
前回の東京大会から実に56年ぶりの開催、世界の目がTOKYOに注がれる中、過去のオリンピック開催年での中日ドラゴンズの成績を振り返ってみた。

五輪イヤーに目立つ最下位

中日ドラゴンズ歴代オリンピック開催年の成績一覧(C)CBCテレビ

大変ショックな結果であった。1964年(昭和39年)アジアで初の開催となった東京大会から、2016年のリオデジャネイロまでの全14回を対象に歴史をたどったのだが、この内ドラゴンズは5回も最下位だった。5回の内、シーズン途中での監督交代は3回もある。記憶に新しいのは、リオ五輪の2016年。前年に27年間の現役を終えて兼任監督から専任監督となった谷繁元信さんが成績不振によって、森繁和ヘッドコーチに交代した。

シーズン途中の監督交代に涙

目を背けず五輪イヤーと最下位の因果関係を続ける。
そもそも1964年の東京大会の年に、杉浦清さんから西沢道夫さんに監督交代。
その4年後の1968年、メキシコ大会の年には全球団に負け越し。杉下茂さんから本田逸郎さんへ監督が途中交代している。いすれもシーズン最下位だった。メキシコ五輪では男子体操団体が金メダルを獲得し「体操ニッポン」の名が世界にとどろいただけに、竜にとっては残念な年だった。

五輪ボイコット年も最下位

1980年(昭和55年)はモスクワでの大会だった。
しかし開催国であるソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して米国など西側諸国が相次いで五輪不参加、日本も追随してモスクワ五輪をボイコットした。金メダルが確実視されていた男子柔道の山下泰裕選手の悔し涙は忘れられない。国内は初の衆参同日選挙が進む中、大平正芳首相が急死、鈴木善幸内閣が誕生するなど大きな節目の年だったが、中利夫監督率いたドラゴンズは球団史上最低の勝率.372で12年ぶりの最下位に沈んだ。谷沢健一選手の2度目の首位打者獲得だけがファンにとっての救いだった。

1・2番コンビ監督の苦しみ

女子競泳200m平泳ぎで新星・岩崎恭子選手が金メダルを取り、「今まで生きてきた中で、一番幸せ」という14歳の言葉に日本中が微笑んだ1992年のバルセロナ大会。
この年のドラゴンズは高木守道監督の1年目だったが、エース今中慎二投手や立浪和義選手ら主力選手にけがが相次ぐなどして最下位。「中・高木」という往年の「1・2番コンビ」がそれぞれ監督として辛酸をなめることになった。

雌伏の時代からの優勝道

五輪イヤーに5回も重なった竜の最下位を振り返ったが、そこには明るい光も感じられる。最下位への反発からのジャンプである。
1968年メキシコ五輪の年、そのシーズンオフには讀賣ジャイアンツで監督をつとめた水原茂さんがドラゴンズの監督に就任し、翌年から星野仙一投手や島谷金二内野手ら、20年ぶりの優勝に向けての主力選手が台頭していく。
さらに顕著なのは1980年最下位からの逆襲である。中監督からバトンを受けた近藤貞雄監督は豪快なゲーム運びで多くのファンの支持を得た「野武士野球」によって2年後にリーグ優勝を果たしている。

実は優勝もAクラスも多い!

「五輪イヤーに最下位が多い」という悲しい現実もあれば、その一方で、実は明るい現実もある。最下位以外の年は、1976年モントリオール大会のシーズンを除いて、すべてAクラス。その内2回もリーグ優勝している。この2回は星野仙一、落合博満というドラゴンズ球団史にその名が輝く2人の名監督によってもたらされたものだが、その印象は強烈だ。
1988年(昭和63年)ソウル大会の年は星野監督の2年目。高卒ルーキー立浪選手の新人王獲得に象徴される勢いでの優勝だった。
2004年(平成16年)アテネ大会の年は落合監督の初年度だったが、けがに苦しんできた川崎憲次郎投手を開幕戦でいきなり先発させる「オレ流」采配で野球ファンをあっと言わせながらも、堅実な「王道」采配でリーグ優勝、翌年からも続く竜の黄金期に突入したのだった。

現実と向き合ってペナントめざせ!

こうして歴史を振り返ってみると、五輪イヤーのドラゴンズは「最下位かAクラスか」すなわち「ゼロか100か」と言えるだろうか。
年明け2020年1月6日の球団年賀式でドラゴンズの矢野博也社長は「勝ちにいける態勢は整った。優勝をめざしたい」と力強く宣言した。
東京五輪・パラリンピックでシーズン途中に長期休みが入る変則日程のシーズン。歴史が示す因果関係をスルーするか、または敢然と向き合うかは別として、新春のドラゴンズが背負っている現実は球団ワーストの7連続Bクラスという立ち位置である。

オリンピックそしてパラリンピックの数多くのアスリートたちに決して負けない練習量、そして勝利をめざす強き思いを胸に、2月1日からのキャンプインに向かってほしい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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