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捕まらなければ強盗殺人になっていた可能性も 「繰り返すうちに罪悪感もなくなった」 闇バイトに手を染めてしまった少年たちの声

捕まらなければ強盗殺人になっていた可能性も 「繰り返すうちに罪悪感もなくなった」 闇バイトに手を染めてしまった少年たちの声
CBCテレビ「チャント!」

少年院で自らの罪と向き合う10代の少年たち。彼らが関わったのは、「受け子」や「出し子」といった特殊詐欺です。なぜ犯罪へ引き込まれていったのか。その実態に迫ります。

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きっかけはSNS 報酬に目がくらみ引き返せない

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愛知・瀬戸市の瀬戸少年院。ここには家庭裁判所の審判で保護処分として少年院送致の決定を受けた14歳~23歳までの約90人が生活し、更生と社会復帰を目指しています。

翔太さん(仮名・17歳)は、特殊詐欺の被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」をした詐欺の容疑で、2024年9月からここで暮らしています。

きっかけはSNSの闇バイト。「高額案件で稼ぎませんか」「月100万は余裕」など、多額の報酬をうたう書き込みの中に多数出てくるのが「UD」という文字。Uは受け子、Dは出し子を意味しています。

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(翔太さん)
「インスタグラムで応募しました。『日給5万円』と書いてあって。仕事も見つからなくて、自分の将来も不安だらけで、投げやりになりました」

翔太さんは、当時所属していた非行グループの知り合いから勧誘され、SNSで身分証を送ると、「何時何分までに、この駅のロータリーに来てほしい」と指示を受けました。

(翔太さん)
「弁護士事務所の人間として、違う名字を名乗って。自分がうそをついている時点で、まともな仕事ではないと思いました」

それでも、目先の報酬に目がくらんでしまい、やめようとは思わなかったと言います。

(翔太さん)
「1・2回目が100万円受け取って、報酬が交通費込みで8万円。3回目は70万円受け取って、交通費込みで5万円もらいました」

逮捕は4回目の受け子で岐阜県内の駅に行った時でした。被害者から現金を受け取った直後に、警官に囲まれて手錠をかけられました。捕まった今は、後悔しかないと言います。

(翔太さん)
「(被害者が)若い頃から老後のための資金を汗水垂らしてためてきたのに、自分が見栄を張るために、都合のいいことだけ考えてしまった」

犯行を繰り返すも、周囲への相談は一切なし

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高校生だった雄平さん(仮名・19歳)も、受け子や出し子を繰り返していました。

(雄平さん)
「何も考えていなかったかもしれない『ごめんね』くらいに思っていました」

警察の捜査の手が及ぶまで、家族や友人に辞めたいと相談することはありませんでした。

(雄平さん)
「家にはいませんでしたが、たまたま戻ったら前日に警察が来ていて。親に捕まって話して、そのまま警察へ。自分がしたことなので仕方がない」

個人情報を握る脅迫 詐欺と確信するも“辞められない”

CBCテレビ「チャント!」

半ば強制的に犯罪に引きずり込まれた少年も。通信制高校に通っていた健太郎さん(仮名・17歳)は、卒業を間近に控え、就職先も内定していました。

(健太郎さん)
「仕事を8月くらいから始める前に、闇バイトに引っかかった。『その間までの仕事もあるけどやる?』と言われて、やると答えました」

履歴書の名目で、身分証の写真に生年月日や住所・両親の電話番号など10項目近くを送るよう指示され、従うと「9時に駅に来て」と連絡が来ました。

(健太郎さん)
「駅に行くと、また別の人から電話がかかってきて、『今から、どこどこに行ってもらいます』と。3人くらい見張り役がいた。見張り役兼お金の受け取り役みたいな」

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指示によって銀行員を装い、高齢者の自宅を訪れてキャッシュカードを受け取った健太郎さんは、詐欺だと確信しました。

(健太郎さん)
「『こういう仕事だったら辞めます』と言ったんですけど、(指示役に)個人情報を送っていたので、『親の方にも行くぞ』とも言われました」

健太郎さんは、その後も脅迫されながら受け子や出し子を繰り返すことに。キャッシュカードを受け取り、ATMで現金を引き出し、駅のトイレなどで仲間に渡す。犯行を繰り返すうちに、罪悪感もなくなりました。

(健太郎さん)
「やっている時は何も考えていなくて。(バイトが)終わってから、どこ行こうかくらいしか考えていなかった。もうどうしようもないので、やるしかない」

報酬は1日3万円。交通費を除くと2万円程度です。9回繰り返したところで、警察に声をかけられました。

(健太郎さん)
「『なんで声をかけられたか分かるよね』と10人ぐらいに囲まれて、『ああ、終わった』みたいな」

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健太郎さんは、さらに凶悪な犯罪に関わる恐れもあったと振り返ります。

(健太郎さん)
「僕の場合が詐欺だっただけで、そのまま捕まらずに続けていたら、強盗殺人になっていた可能性もあります」

今回取材に応じた少年3人が関わった特殊詐欺の被害は総額1200万円余り。愛知県内の特殊詐欺の被害額は37憶9274円(2024年1月~11月)で、過去10年間で最悪の拡大を見せています。それに加担し、闇の世界に引き込まれていく少年もまた、増え続けています。

CBCテレビ「チャント!」2025年1月9日放送より

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