三重県大紀町・錦の愛されフード『べっこうちらし寿司』を調査! 魚の照りが“べっこう”のような漁師町ならではのちらし寿司
その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている! その町で生まれ、町に根づく愛されフード。CBCの加藤愛アナウンサーが全力で調査します。
今回は、豊かな自然に恵まれた『三重県大紀町(たいきちょう)』の漁師町『錦』の『べっこうちらし寿司』です。調査をすると、「錦の味」「ここの名物」という自慢の声が聞かれた、醬油などで“べっこう色”に漬け込んだ魚を、野菜を混ぜたすし飯の上にのせたちらし寿司で、昔からお祝いの席など人が集まる時に作る定番料理のよう。町では、『たこきよ』という店で販売しているとか。
『中食家 たこきよ』は、錦で生まれ育った仲良し姉妹が切り盛りする、惣菜と弁当の持ち帰り専門店。10時半の開店と同時に地元の人が買いに来る人気のお店で、昼頃にはほぼ売り切れてしまうそうです。加藤アナがおじゃました午後1時にはやはり商品はほとんどなく、お目当ての『べっこうちらし寿司』も「今日の分は売れ切れちゃいました…」と残念な一言。しかし、運よくいい魚も入っていて、改めて作ってくれることに。
使う魚は、季節や仕入れによって変わります。初夏の今は近海で獲れたカツオで、それを味が染み込みやすいように薄めにカット。地元で造られる甘めの醬油とみりん、酒、砂糖を煮詰めて一晩寝かせた特製ダレに、切ったカツオを入れて20~30分ほど漬けておきます。
そして、大きな桶に入ったすし飯に、人参やシイタケなど野菜の炊き合わせを混ぜ込み、錦糸卵、紅しょうが、大葉、海苔をトッピング。そこに、特製ダレに漬け込んだ、茶色く照りのあるカツオをたっぷりのせて完成です。「魚を漬け込むことによって“べっこう色”に見えるので、べっこうちらし寿司」と教えてくれました。漁師町のごちそうをいただくと、すし飯もカツオもやや甘めに味つけされていて、両方で調和のとれた「甘くておししいちらし寿司」と加藤アナ。この味付けにも、それぞれの家庭の味があるそうです。
そして「もうひとつあるよ」と出してくれたのが、『ごっつぉめし』。いわゆる炊き込みご飯ですが、漁師町・錦では魚が入るのが当たり前。焼いたサバなどを骨ごと入れて味を染み込ませ、炊き上がったら身をほぐして混ぜ込みます。こちらも「味がシミシミ」といただきました。
『べっこうちらし寿司』と『ごっつぉめし』は、錦の定番の愛されフード。2種類置いて「どっち食べる?ごっつぉめし?ちらし?」と聞くのが集まりの時の姿で、昔は冠婚葬祭など何かあると町のお母さんたちが総出で作ったそう。
人が集まる場所に必ずあった『べっこうちらし寿司』は特にごちそうで、この味を懐かしく思う人たちのために、仲良し姉妹は毎日作っているのです。「次の世代に残せるか分からないけど、町の子どもたちに食べさせたいと思って始めたことなので、元気なうちは頑張って作ろうかな」と二人は語りました。
(6月15日(木) CBCテレビ「チャント!」より)