土田もきた!若竜が続々と活躍の立浪ドラゴンズ ラストスパートへの課題は?

土田もきた!若竜が続々と活躍の立浪ドラゴンズ ラストスパートへの課題は?

シーズンも残り30試合余りになってきた。立浪和義新監督が率いる中日ドラゴンズは、多くのけが人あり、多くの新型コロナ感染者あり、ほぼ2か月も最下位低迷が続いている。しかし、ようやく待ちに待った“波”が寄せ始めたようだ。若竜の台頭である。(成績や年齢は2022年8月21日現在)

若手選手が並んだ先発スタメン

「サンデードラゴンズ」より土田龍空選手©CBCテレビ

本拠地バンテリンドームに、首位の東京ヤクルトスワローズを迎えての3連戦。その真ん中の試合、2022年8月20日のゲームは先発オーダーを見て、思わず嬉しくなった。

1番の岡林勇希、3年目20歳。2番の三好大倫、2年目24歳。7番の石垣雅海、6年目23歳、そして8番の土田龍空、2年目の19歳。おっと“助っ人”も忘れてはいけない、6番のペドロ・レビーラ、1年目の23歳。

スタメン野手8人の内、実に5人が24歳以下の若さである。こんなに若い顔ぶれが揃うのは、いつ以来だろうかと感慨深い。そしてこの時を待ち望んでいた。

ゲームは“村神様”ことスワローズ主砲の村上宗隆選手に特大のホームランを2本も打たれて敗れたが、ドラゴンズも三好選手のプロ初、そして石垣選手の今季2本目、合わせて2本のホームランが飛び出した。

土田龍空が魅せた!

「サンデードラゴンズ」より土田龍空選手©CBCテレビ

そして、この試合の前後のゲームで決勝打を打ったのはどちらも土田選手だった。8月19日には、9回裏の無死満塁からライト前へタイムリー。この日53歳の誕生日を迎えた立浪監督に選手を代表して“プレゼント”を届けた。

そして8月21日の試合でも、2点リードを追いつかれた直後に、センターやや左へクリーンヒットを放ち、またまた決勝点となった。3連戦で2度のヒーローインタビューお立ち台登壇となった。立浪監督も褒めている守備力に加えて、打撃にも勝負強さが加わってきた。

2022年シーズンは開幕から若手が積極的に起用されてきたが、石川昂弥選手そして鵜飼航丞選手がけがで離脱して、岡林選手の孤軍奮闘状態だった。

「サンデードラゴンズ」より©CBCテレビ

そこへいよいよ土田選手が飛び出してきた。「龍空」という名前の通り、ドラゴンズブルーの空をファンの真上に大きく広げてほしい。

熱投!19歳同期の髙橋と上田

「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督と上田洸太朗投手©CBCテレビ

投手では、この土田選手の同期である2年目19歳の2人がローテーションに加わった。髙橋宏斗投手の好投が続く。投げる度に成長している姿がたのもしい。すでにシーズン奪三振は100個を超えている。

このペースは、松坂大輔さん、田中将大投手、大谷翔平選手を上回っているのだから見事としかいう他はない。その髙橋投手はドラフト1位だったが、育成選手として入団した上田洸太朗投手の奮投は目ざましい。

物おじしないマウンドさばきと、堂々とインコースへの投げ込む思い切りの良さ。こちらも登板ごとに好投が続く。待望のプロ初勝利もいずれやって来るだろう。

中堅ベテラン意地の見せ場だ!

ここ数年のドラゴンズは、新旧交代が大きな課題だった。慣れたメンバーで上位をめざすか?若手を起用して将来へ備えるか?こんな2つの方針があり、2020年はコロナ禍の中で各球団が新旧交代にシフトした中、ドラゴンズは既存メンバーを中心にAクラスを取りにいった。

しかし、この二者択一には当時から納得できなかった。どちらかではなく「若手を起用して勝つ」それをめざすことが最善なのである。2022年シーズン、日程も8割以上過ぎたところで、それができ始めてきた。

しかし強いチームには、ここで存在感を見せてくる中堅やベテランがいる。まだまた若い後輩には負けないと、経験と意地を披露するのである。しかし寂しいことに、ドラゴンズにはその姿があまり多く見られない。

2軍で調整中の選手、1軍に上がってスタメン起用されても相変わらずの凡打の選手、唯一、2軍のデーゲームで真っ黒に日焼けしてきた平田良介選手の活躍だけが頼もしい。中堅以上の選手たちは、若手が活躍すれば、来季にも自分たちの居場所がなくなるという危機感をどうか忘れないでほしい。その点での立浪采配は相当に厳しいはずだ。

2022年夏の終わり、東京ドームでの讀賣ジャイアンツ3連戦がやって来る。5位の巨人とのゲーム差は1.5に縮まった。若い力にはますますの勢いを、そして中堅とベテランには世代交代に抗う意地を、この2つの力を結束させて、ファン納得の戦いを見せてほしい。                           

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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