次にブレイクする竜戦士は誰だ!苦戦が続く一軍へ戦力を送り続けるドラ片岡二軍監督が本音を語る
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
若竜にとっては千載一遇のチャンス!
終わりよければすべてよし!とまでは、なかなか割り切れる話ではないが、先週のドラゴンズは大雨続きの中、最後にようやくドラゴンズブルーの青空が広がった!そんな一週間の戦いだった。
7月29日からのマツダスタジアム3連戦で10年ぶりとなる3連勝を記録し、オールスター明け後半戦を最高のスタートダッシュで走り出したドラゴンズ。
そして先週8月1日、神宮球場で行われたプロアマ記念試合のNPB選抜の先発投手に指名された根尾昂投手は最速153キロのストレートを投げ、詰めかけた観客をうならせた。1イニングを三者凡退に封じ込める快投を見せ、ドラゴンズファンにとって前半戦のうっ憤を晴らす、最高の時間を過ごすことができた。
しかしその後スワローズ、ベイスターズ相手に4連敗。“もうダメか”と、沈む心を救ってくれたのが7日のベイスターズ戦で見せてくれた髙橋宏斗投手の快投や岡林勇希、石垣雅海両選手の攻守による活躍。依然として借金12を抱える最下位は変らないものの、若竜の躍動するプレーから一服の清涼剤を与えてもらえた。
とはいえ不振やケガ、そして新型コロナウイルスによる主力の離脱が相次ぎ、なかなか思い通りの采配ができず、苦しい戦いが強いられている立浪ドラゴンズ。そんな時こそファームの選手たちにとっては今が千載一遇のチャンス!そこで今週のサンドラは、ファームを指揮する片岡二軍監督を直撃し、若竜たちの現状について話を聞いた。
“頼む!”の一言で通じ合う二人
ファームの選手が一軍で活躍する。その活躍がファームにいる選手の刺激になる。競争の原理が働いて、チームの底上げにつなげていく。
低迷するドラゴンズを再建すべく、今シーズンからファームを任された片岡篤史二軍監督。就任は三代目ミスタードラゴンズ、そして高校時代のチームメイトでもあった立浪和義監督の強い希望だった。
片岡二軍監督「立浪監督とは同じユニホームを着る以前から一緒に電話でよく話す仲でしたしね。(立浪監督の就任時に)二軍の底上げというか、若い選手の教育や勝つことに対する執念をしっかり選手に伝えて欲しいと言われ、“頼む!”と言われました」
一から十まで通じ合う仲だからこその“頼む”という言葉。男気が通じ合う二人だけの深い意味を持つ二文字である。
一軍へ推薦する際の重要ポイントとは?
苦戦が続く一軍を支えるべく、片岡二軍監督がファームの選手を推薦する際に、重要視するポイントがあるという。それは何か?
片岡二軍監督「一軍の戦力で欠けているところですよね。内野手がいなければ内野手になるし、打つ方とか左右のバランスなど。立浪監督とはお互いここが足らないなとか、大体意見が一致しますね。チームの現状と、どういう方向に進めていくかという具体的なことを聞いて、僕たちもその希望に沿えるように話はよくしています」
まさにホットライン。どんな時でも何かあれば連絡を取り合う。立浪監督にとってこれほど頼りになる相棒はいない。
そうして昇格を果たした選手たちには出場機会がすぐに与えられる。チャンスを得た昇格組が結果を残すケースが多いのは偶然ではないだろう。
それは立浪監督が薫陶を受けた恩師・星野仙一監督から授かった起用法であることは間違いない。
その最たる例が、二年目の土田龍空選手。土田にとっては千載一遇のチャンス。主力の離脱によって掴んだレギュラーポジションは決して離さない覚悟でいよう。
片岡二軍監督「京田のケガや不調によって巡ってきたチャンスなんですけど、プロ野球というのは、そのチャンスを活かさないといけないわけです。それによって京田も頑張らないといけない」
そしてキューバの新外国人二人についてもチームを変える起爆剤になって欲しいと指揮官は願う。
片岡二軍監督「レビーラやガルシアも一緒で、育成から支配下選手にして、すぐにスタメンで起用してくれました。そしてすぐにホームランを打って、長打でチームの流れを変えてくれたり、またビシエドの刺激になる相乗効果もあると思います。昇格してくれたら、すぐにゲームで使ってもらえる。選手にとってはやりがいがあると思います」
気になる投打の若竜
昇格組の活躍によって、チーム内に流れ始めた“競争の空気”。
右の先発・勝野昌慶投手にはその競争に割って入る可能性があると、片岡二軍監督は期待する。
片岡二軍監督「今年はボールに力がありますね。しっかり腕が振れ、真っ直ぐに力があって、変化球を低めにコントロールできる。柳、髙橋宏に続く右のパワーピッチャーが入ることで非常に戦力になると思います」
野手に目を向けてみよう。大きな期待が寄せられるドラ1ルーキーのブライト健太選手。現時点どのような評価を得ているのか気になるところだ。
片岡二軍監督「ブライトはすべての面において成長段階。まだまだできないことが多いので、各担当コーチから指導されていることが多いです。大学の即戦力というより、来年、再来年に向けて力をつけ、戦力になってもらいたいですね」
どんなことでもポジティブに捉え、行動に移し、自らのポテンシャルを高めていくのがブライトの流儀。一回りも二回りもプロの身体に成長したブライト健太の進化を楽しみに待ちたい。
強竜復活には若手の力が必要不可欠
強竜復活へ。我慢の時が続く立浪ドラゴンズ。新体制が促す競争が少しずつチームを変えていく。
片岡二軍監督「選手は一軍で活躍してもらうことが一番。いつ一軍に呼ばれてもいいように準備してもらうということです」
ただ残念なのは、一軍入りを狙う若竜たちの層の薄さ。ケガで離脱中の梅津晃大投手、そして石川昂弥、鵜飼航丞両選手を除けば、髙橋宏斗、岡林に続く活きの良い投打の若手は誰?と尋ねてもなかなか名前が挙げられないのが現状だ。
今後のドラフト戦略、そしてこの先、指導者が変わってもしっかり伝承されるファーム育成プランの確立が花開いた時、必ずや強いドラゴンズは復活するだろう。
誰よりも負けることが嫌いな立浪監督が目を光らせているのだ。数年後には逞しい若竜の雄叫びがバンテリンドームで聞こえてくるはずだ。まだまだ我慢の時が続くだろうが、信じて応援していきたい!
がんばれドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜