ヤンチャで律儀なドラゴンズ土田龍空。実力でつかんだ一軍デビューと仁村徹二軍監督の信念

ヤンチャで律儀なドラゴンズ土田龍空。実力でつかんだ一軍デビューと仁村徹二軍監督の信念

♪遠い夜空にこだまする、龍の叫びを耳にして♪

まさに「燃えよドラゴンズ」の歌詞のごとく、土田「龍空」選手が、高卒ルーキー18歳にして一軍デビューを果たした。

2021年9月3日金曜、一軍初登録直前の練習では、ショートの位置で荒木コーチのノックを受け、セカンドベース上で待つ堂上先輩へ素早い送球を見せた彼は、ルーキー初日らしからぬ落ち着きぶりを見せた。翌日の4日土曜ベイスターズ戦、守備から途中出場を命じられると一目散に二塁へ。その直後、二塁審判に帽子をとって律儀に深々と挨拶。守備機会こそなかったもののベースカバーなどを俊敏に行った。

そして迎えた日曜の三戦目、遂に代打の機会が訪れる。プロ初対戦の相手は今永投手。初球の低めを見極め、二球目を鋭いスイング、外角低めの145キロ速球を捉えかけるも痛烈なセカンドライナー。ヒットにこそならなかったものの、ベンチの田島投手ら先輩皆から拍手で迎えられた。

選手としての印象

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」より土田龍空選手©CBCテレビ

半年前、沖縄読谷キャンプでの私のファーストインパクトを、誤解を恐れず申し上げる。

”イイ意味でヤンチャだろうな”

何にでもイイ意味で!と付ければ許されるわけではないが、これに関しては確かな本音だ。
試合中の所作はもちろん、練習中の立ち振る舞い、構え、反応、とても高卒ルーキーとは思えない玄人好みの風情。それは二軍開幕後もますます感じ、決して表面的な印象だけではなく、なにか異彩を放つ空気感が彼にはあった。

もちろん私見だけではなく、できるだけ現役選手にも彼の印象を訊いてみた。すると、10歳以上の年の差がある井領選手をはじめ、球界最年長福留選手にも、礼儀正しく、かつ、大胆にアドバイスを求めているというのだ。質問自体のレベルが高いとも評判の様子。また、選手個人のインスタグラムなどSNSに、土田選手がたびたび登場していることからも、ヤンチャ愛されキャラであることがうかがえる。

仁村監督の「例外」

「サンデードラゴンズ」より土田龍空選手©CBCテレビ

そして、驚いたのは指揮官・仁村徹二軍監督の起用方法だ。
仁村監督の信念として、ウエスタンリーグ公式戦においては余程のことがない限り、送りバントのサインは“ゼロ”。ファームでは、1打席でも多くの打席機会を作ってあげたいからだという。つまり、相手がいいピッチャーであればあるほど、送りバントではなく絶好の打撃チャンス。そこで何とかできなければ、一軍ではレギュラーになれないという方針だ。ただ、この強い信念には投手ともう一人、例外があるという。

それが、ルーキー土田選手なのだ。18歳にして、主にスタメンショートを任され、かつ、打席では、一軍に上がったら求められるであろう小技を、実戦で徹底的に磨く。これが実に半年続けられて初の一軍昇格となった。
「将来を見据えて、若手をもっと使ってほしい!」と叫ばれる中、プロキャリア関係なくすべきことがファームでできた者から順番に、貴重な出番を掴み取るのだ。

そんな彼は以前、ファームの試合で堂上選手と連携し、華麗なトリプルプレーを達成している。高卒ルーキーで18歳、ヤンチャで律儀な土田選手が、次は一軍の舞台で魅せてくれることを期待して。燃えよ!ドラゴンズ!

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜、テレビ・ラジオのスポーツ実況担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。早大アナ研仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。「月刊ドラゴンズ」コラムも連載中】

関連リンク

あなたにオススメ

RECOMMENDATION

エンタメ

ENTERTAINMENT

スポーツ

SPORTS

グルメ

GOURMET

生活

LIFE