CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

ドラの巻【CBCドラゴンズ情報】

「機動力を活かすために」ドラゴンズ渡辺勝が語る“一本足打法”を貫いたワケ

 共有する
  • Facebookで共有する
  • LINEで送る
「機動力を活かすために」ドラゴンズ渡辺勝が語る“一本足打法”を貫いたワケ | ドラの巻【昇竜復活へ!CBC中日ドラゴンズ情報】 | CBCテレビ・CBCラジオ

唯一無二のシルエットは、なんとも美しい。
バッターが打席に入りスタジアムの主役になる瞬間、構えで、誰なのかがひと目で分かる。育成で入団してから苦節6年で、プロ初ホームランを放った渡辺勝選手の一本足打法が、まさにそれだ。

「でも、一本足打法を辞めたらと、いろいろと言われて、少しだけ思った時期もありました」

決してかたくなに貫いた訳ではなく、この男の魅力が一本足打法を続けさせ、背中を押した。彼のその魅力は、いつも周りとの“会話”から滲み出てくる。

■「一本足打法」への迷い

実は2020年夏、あの唯一無二の一本足打法を辞めようかとまで考えた時期があった。コロナ禍で開幕が遅れ、一軍でようやく守備の途中出場から掴んだ打席だが、初打席から半月に渡って、5打席全て空振り三振。6打席目はバットすら出ず、見逃し三振。直後、二軍落ちした。

その時の心境を振り返ってもらった。

「ツーストライクにすぐ追い込まれてしまって、三振や凡打が多かったので、色々と言われて、ノーステップで打ったり、先に軸足に体重を乗せてみたりしました。自分だけの考えだけじゃなくて、他の人から教わることも、その時できなくても、やってみようと思ってやりました。そこから徐々に、自分の中でやりやすい方法があるかなと。毎日勉強です」

以前にもコラムでもお伝えしたが、彼には王貞治さんらを育てた荒川道場の教えがあり、かつて王さんは日本刀で藁を切り裂いて鍛錬したと聞く。

「ボクは、荒川博さんから直接教わった最後の弟子のひとりとして、木刀をバットに見立ててご指導を受けました」

その原点に立ち返る。

「はっきり言って、自分側の構えが、全てです。相手投手は、当然それを崩そうとしてくる。構えができていれば、自分の間で捉えることができます。スパッと一点で斬るというよりも、押し出すような感覚なんですよね。それでいて、理想のタイミングでスイングができると、切れ味の良い実感が残るんです」

■「一本足打法」の理由

だが、一軍投手の一流の変化球に翻弄され、唯一無二のカタチと心理はかき乱された。しかし、彼をもがきから救い出してくれたのも“会話”だった。

「誰から教わったかと聞かれても、ひとりに絞れないほど、たくさんの方と話をしました。二軍監督、打撃コーチ、チームメイト。荒川道場の頃も、ゴルフ界のトップ、片山晋吾プロや上田桃子プロともお話しをさせていただきました。片山プロとは、名刺で割り箸を折る、斬るという秘技も、一緒にマスターしましたから」

人生の勝負どころの今回は、“会話”から何を学んだのか。なぜ一本足打法を辞めなかったのか。

「自分は、元々は足を活かす機動力の選手。そこにプラスするためにも、一本足を続けようということになったんです」

とにかく出塁するために、あえて、動きの大きな打法を貫くという決断。

それは、走り打ちのように急ぐのではなく、「一本足打法で、しっかり軸足に体重を乗せてから打つ。そこから足を活かすということ」なのだという。機動力のための一本足。

確かに、先日のCBCテレビ野球中継の中でもこんなやりとりを耳にした。

-川上憲伸さん

「投手から見るとイヤですね。右足をもっとゆっくり上げられるとなお更。足を上げて不動で待たれると、バッターのタイミングになってしまいそうで不気味です」

-井端弘和さん

「そうそう、もっと早めに、かつ、ゆっくりと上げて待つことができれば、相手ピッチャーにかわされても、手だけでのバッティングになりにくいですね」

■「一本足打法」への期待

振り返るとこの一週間、プロ初本塁打の翌々日には、犠打を二つとも決めた。初回はファーストストライクをきっちりと。二つ目の犠打は自分も生きようとセフティー気味に狙い、アウトになるもリプレー検証までもつれさせる期待感。週末土曜のタイガース戦では、機動力を活かした抜け目のない攻めで、チームの2試合連続先制に大貢献。2番打者として、四球で出塁してすぐに二盗を決めると、大島選手の安打で三塁へ。そして二保投手の一塁けん制がそれる間に本塁生還。抜け目ない攻めで、チームの2試合連続先制に繋げた。

まさに、渡辺勝選手こそが、広いバンテリンドーム野球における申し子なのではないか。機動力を活かすべきところは、きっちり抜け目なく塁に出る。そして、時に長打を秘めた魅力。やはり一本足打法のシルエットから、目が離せない。燃えよ!ドラゴンズ!

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜、テレビ・ラジオのスポーツ実況担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。早大アナ研仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。CBCアナ公式YouTube・月刊ドラゴンズでの連載中】

画像:「サンデードラゴンズ」より渡辺勝選手(C)CBCテレビ

あわせて読む

    あわせて読む

      pageup