42年ぶりの外部招聘!工藤新監督が掲げる「PDCAとコミュニケーション」で竜の意識改革と常勝化に挑む

【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
42年ぶりとなる外部からの招聘

名将・工藤公康氏が36代目となる中日ドラゴンズ監督へ就任した。今回の就任要請はチームにとって生え抜きでなく、内部昇格でもない「完全なる外部からの招聘」であり、これは1984年の山内一弘さん以来、実に42年ぶり。球団創設90周年を迎えた今シーズン、なんとしてでも結果を求められていたにも関わらず無念の最下位に沈んだドラゴンズ。まさに組織を挙げて改革を断行した形となったわけで負け馴れしたチームにとって、工藤氏の監督就任は劇薬以外のなにものでもない。
地元名古屋市天白区出身、工藤新監督の球歴は輝かしいばかりだ。1982~2010年の29年間で西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)、福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)、讀賣ジャイアンツ、そして横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)など4球団に在籍し、通算224勝、最優秀防御率4回、MVP2回など素晴らしい成績を残し、また2015~2021年は福岡ソフトバンクホークス監督として5度の日本一を達成し、野球殿堂入りも果たした。まさに「優勝請負人」である工藤監督を今週のサンドラは先日行われた就任記者会見の内容を中心に人となりを含め、深堀りしていく。
PDCAで意識改革

できないとか無理とは言わない。
それの為に何をするべきか。
24時間365日、選手を考え、選手を思い、勝つために何をすれば良いかを考えていきたい。
“ボクは中間管理職”と言いきる工藤監督。
工藤監督「やりがいを持って野球をやっていく。厳しいかもしれない。現状がこの位置だから。でも選手は必ず伸びる」
中間管理職やら、やりがいやら、会社組織に携わる多くの社会人の方々なら聞きなれたフレーズではないか。
工藤監督「何が足らないのか、どうして勝てなかったのか、しっかり理解してもらった上で、じゃあどうすれば良いのか?選手たちの意識を変えていくのが大事」
まさに言わんとすることが、会社の業務改善に活用されるPDCA。PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返し、業務やプロセスを継続的に改善する管理手法。野球の世界もこの繰り返しを行うことで体力、技術のブラッシュアップが図れるわけだ。そして個々の選手が努力を積み重ねることによって、必ず強いチームが出来上がると工藤監督は持論を口にした。
コミュニケーションを一番に

工藤監督「私は名古屋出身。一番は名古屋のファンに喜んでもらえる野球をすること。そして最終的な目標はもちろん優勝」
就任会見、冒頭のあいさつでいきなり飛び出した“優勝”という言葉。ホークスで常勝軍団を率いてきた名将は6年連続Bクラスに沈むドラゴンズにどのような改革をもたらしてくれるのだろうか。今回の就任理由、リップサービスとはいえ、地元ファンが聞けばうれし涙も出よう。
工藤監督「名古屋の人に恩返しがしたい気持ちを持ってドラゴンズからの要請を引き受けた」
思い起こせば、ドラフト時、ライオンズやホークスからFAへの移籍時、その度にドラゴンズは工藤氏に熱心なアプローチを仕掛けたがその声は無念にも届かずじまい。しかしようやく熱い思いが工藤氏の心に突き刺さったわけだ。ただし工藤監督が野球をするのではなく、野球をするのは選手たち。この会見中でも選手たちの気持ちをより向上させるべく、ひとつの言葉を何度も口にした。
それは“コミュニケーション”。

工藤監督「選手やスタッフとしっかりコミュニケーションを取っていくのが大事」
ミスコミュニケーションという言葉を含め、“コミュニケーション”を18回も口に出すほど、これまたビジネスシーンでも大切とされる言葉だ。使われるその理由は今までの経験や反省から来ているようだ。
工藤監督「自分の失敗です」
時は2016年。話は10年前にさかのぼる。2015年、ホークス監督に就任し、一年目から日本一に導いた。2年目も一時2位に最大11.5ゲーム差を離しながら1位に、その後ひっくり返されリーグ2位に。CSではファイナルステージまで勝ち進むも北海道日本ハムファイターズに敗れて、日本シリーズの切符を逃がした痛い経験を持つ。1年目から勝った驕りもあったのだろう。しかし工藤監督が一番に挙げたのが、若い選手たちへのコミュニケーションの考え方、接し方に配慮が足らなかったことだ。
“若い選手たちが考えているようなことをもっと理解しなければいけない”
“なんとなくやらせていることが多かった”
自身の考えを変え、コミュニケーションを重視するようになったことで、チーム内に蔓延る不協和音は消え、気持ちよく野球ができるようになり、常勝チームが築き上がっていった。
良い経験、悪い経験を積み重ねながら組織を束ね上げることを学んでいった工藤監督。だからこそコミュニケーションという言葉は今でも工藤野球を作るための“一丁目一番地”なのである。
すべては選手のために、そして勝利のために

選手たちとしっかり言葉を交わし、正面から向き合う。その言葉通り、会見が終わるとすぐに選手たちが汗を流すナゴヤ球場へと向かった。
事前に自身の考えを綴ったA4用紙一枚を選手全員へ配布し、信条である選手ファーストの思いを語った。

工藤監督「大事なのは1年でも長くプロの世界でやっていくために何が必要なのか考えて欲しい。夢を語って下さい。どんどんアピールして下さい。一生懸命やる人は好きです。一生懸命やらない人は好きじゃない。性格で好き嫌いはしません。だからこそコミュニケーションが大事だと思っている。どんどんアピールしてもらって、どうすれば勝てるのか。どうすれば強いチームになれるのか。自分はどんな役割なのか、しっかり探して、みんなで良いチームを作りましょう」
選手が気にしなくてもよいモノはすべて取っ払う。やりやすい環境にする。だからしっかりやるべきことを考え、そして実践して欲しい。選手たちの意識改革を何よりも大事にする工藤監督らしい訓示。
この5年間で4度の最下位。きっと多くの選手は負け色に染まり切っているはず。そんな環境を打破する意味でも選手たちは新指揮官である工藤監督を信じ、限界寸前まで身体を追い込んでもらいたい。工藤監督曰く、“全員がキーマン”と言うように、支配下、育成選手全員が同じ方向にベクトルを向け、スキルアップを図れば、おのずとチーム力は向上しよう。
工藤監督「野球はチームで戦うものであって、個人で戦うものではない。24時間365日、選手のことを考え、選手のことを思い、勝つために何をするかを考えていきます」
選手と対話し、意識を変える。
そして全員で戦う。
そんな工藤監督の野球がドラゴンズに根付いた時、忘れかけていたあの素晴らしい景色がまた見えるかもしれない。
近々コーチングスタッフが出揃い、工藤ドラゴンズはスタートする。来週に迫ったドラフトはもちろん楽しみ。ただ工藤監督が選手たちに“まだ能力の半分も出していない”という言葉に奮起し、この秋、そして来春にスケールアップした姿を見せることができれば、十分に楽しめる選手・スタッフは揃っている。以前、落合博満元監督が監督就任時に“個々の力が10パーセントアップすれば優勝できる”と公言したように。
やり場のない気持ちを一気に晴らしてくれた感のある就任会見や選手に向けての訓示を聞き、期待感は膨らむばかり。
もう春まで待てない!
この気持ちをどう抑えようか。そんなドラファンは多いはず。
これから日々変化していくドラゴンズをみんなで楽しみに見守っていこう!
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内茂喜















