「慢性腎臓病」危険度チェック!…新常識「腎臓と運動の関係」とは?腎臓が衰える原因と慢性腎臓病対策
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東北大学大学院医学系研究科 腎臓内科学分野 教授 医学博士 田中哲洋先生です。
今回のテーマは『〜ポイントは“タコ足細胞”〜名医に学ぶ!慢性腎臓病対策』
腎臓の機能低下や障害が続く「慢性腎臓病」は、日本の成人の5人に1人、70歳以上の3人に1人が患っていると言われる今注目すべき病気です。腎臓の機能低下を放置すると、透析など腎臓の働きを補う治療が必要になることもあるのだとか。最新の腎臓病研究を行う東北大学の田中哲洋先生によると、慢性腎臓病を防ぐポイントは“タコ足細胞”。タコ足細胞は、腎臓内の毛細血管に張り付いて腎臓が持つ「血液のろ過機能」を支えています。しかし、血管の内側に高い圧力がかかると、タコ足細胞が剥がれ落ちて、ろ過機能が低下。慢性腎臓病につながる恐れがあるそうです。しかもタコ足細胞は元に戻ることはないのだとか。そこで今回は、タコ足細胞を守り、慢性腎臓病を防ぐ方法を教えてもらいました。
腎臓の基礎知識

<腎臓はどんな臓器?>
腎臓は、背中側に2つある握りこぶし大のサイズの臓器。主な働きは、血液をきれいにして老廃物を尿として出すろ過機能。つまり、腎臓が正常に働くことで、体内環境をバランス良く一定に保ち、健康に生きていけるのだそうです。
<腎臓の機能を示す「eGFR」とは?>
eGFRとは、血液中の必要な成分を残し、不要なものを尿として排出する腎臓のフィルター機能を表す数値。一般的な健康診断にも記載されていることが多いそうです。
<eGFR値と腎臓のはたらきの程度>
G1 eGFR値:90以上 腎臓のはたらきの程度:正常
G2 eGFR値:89〜60 腎臓のはたらきの程度:正常な腎臓の2/3くらい
G3 eGFR値:59〜30 腎臓のはたらきの程度:正常な腎臓の1/3〜2/3くらい
G4 eGFR値:29〜15 腎臓のはたらきの程度:正常な腎臓の1/6〜1/3くらい
G5 eGFR値:15未満 腎臓のはたらきの程度:正常な腎臓の1/6未満
<慢性腎臓病の定義>
eGFRの数値が「60未満の状態が3か月以上続く」と、腎機能が低下している慢性腎臓病と診断されるそうです。
キーワードはタコ足細胞!腎臓が衰える原因
<腎臓のろ過機能低下の主な原因「塩分」>
先生によると、腎臓のろ過機能が低下する主な原因は食生活。特に塩分が大きく関係しているとのこと。塩分の摂り過ぎは高血圧につながると言われますが、高血圧自体も慢性腎臓病のリスクになるそうです。
<タコ足細胞について>
腎臓には、髪の毛の10分の1ほどの毛細血管が糸玉のように絡み合った血液のろ過器官「糸球体」といわれるものがあります。その糸球体の表面を覆っているのが「タコ足細胞」です。糸球体の毛細血管は、血液が通る際に細かいすき間から不要なものを外に押し出す働きがあります。さらに、それを覆うタコ足細胞がより細かいフィルターとなって、血液から体に必要なたんぱく質など必要なものが漏れ出ないようにしています。つまり「糸球体」と「タコ足細胞」の2つのフィルターのおかげで腎臓のろ過機能が保たれているのだそうです。
<タコ足細胞と塩分の関係>
塩分を過剰に摂取すると、血液中の塩分濃度が上がります。身体はそれを薄めようと血管内に水分を溜め込みますが、増えた血液が血管壁を圧迫し、血圧の上昇につながります。糸球体の血管はとても細く血圧の影響を受けやすいため、血圧が上がることでタコ足細胞が剥がれてしまうことがあるのだとか。タコ足細胞が剥がれると、身体に必要なたんぱく質などが尿に漏れ出し、血液のろ過がうまくできない状況が続くことで慢性腎臓病につながるそうです。
<剥がれたタコ足細胞は元に戻らない!?>
先生によると、剥がれ落ちたタコ足細胞は元には戻らないとのこと。そのため、腎臓を守るには、タコ足細胞を守ることが大切だそうです。
<1日あたりの塩分摂取量の目標>
健康な人の場合、1日あたりの塩分摂取量の目標は男性7.5g未満、女性6.5g未満と言われています。eGFR60未満の人の目標は1日6g未満。例えば、塩分6gはラーメンをスープまで飲み干した時と同じくらい。他にも、梅干しには1個あたり2.2g、カレーライスには一食あたり4.2gの塩分が含まれているそうです(※いずれも商品によって異なります)。
名医オススメ!味噌半分!?激うま減塩みそ汁
通常の味噌汁より、味噌の量を約半分に減らした「激うま減塩みそ汁」の作り方とポイントをご紹介します。
<激うま減塩味噌汁の作り方>
≪材料 4人前≫
・水 400mL
・タマネギ 半玉
・ニンジン 1/2本
・舞茸 1パック
・椎茸 1パック
・豚こま肉 100g
・味噌 小さじ4
・無塩顆粒だし 小さじ2
・ごま油 適量
・万能ネギ 適量
≪工程≫
(1)タマネギは薄切り、ニンジンはいちょう切り、豚こま肉は一口大、キノコは食べやすいサイズにそれぞれ切る
(2)ごま油で肉→タマネギ・ニンジン→キノコの順で炒める
(3)火が通ったら水を入れて沸騰したら顆粒出汁を入れて煮込む
(4)味噌を溶き入れて盛り付けをし、最後に万能ネギを散らしたら完成!
<ポイント(1)3つのうま味成分の相乗効果>
野菜のグルタミン酸、キノコのグアニル酸、肉類のイノシン酸のうま味成分の相乗効果でよりおいしさを感じられます。
<ポイント(2)食材をごま油で炒め満足感を高める>
ごま油で炒めることで、肉のコク・タマネギの甘み・キノコの香ばしさがアップ。味噌を減らしても物足りなさを感じにくくなるそうです。
ちょっとした工夫でおいしく減塩!

減塩を続けるには単に塩分を減らすだけでなく、レモン・酢・ポン酢などの「酸味」、ネギ・大葉・ミョウガ・ショウガ・ニンニクなどの「薬味」、カレー粉・七味唐辛子などの「香辛料」、無塩バター・ごま油などの「香りのある油」などをうまく利用し、満足感を補うことが大切だそうです。この方法は、先生の病院でも行なっているのだとか。他にも、調味料を減らす代わりにうどんにキノコを追加したり、肉じゃがのタマネギを増やしたりすることでも減塩ができるそうです。
タコ足細胞を守るレシピのポイント
(1)具だくさんにして汁を減らす
(2)野菜・肉・キノコなどから出るうま味を活かす
(3)油の香りや焦げの香りなども活かす
慢性腎臓病の危険度チェック
下記の項目に1つでも当てはまる場合は、慢性腎臓病のリスクがあるそうです。
<(1)血圧が高い>
高血圧は慢性腎臓病のリスクを高めると言われているそうです。
<(2)食事は外食や市販の弁当が多い>
家庭の料理よりも味が濃く塩分が高い傾向があるので、高血圧につながり腎臓に負担をかける恐れがあるそうです。
<(3)生活リズムが乱れている>
睡眠不足による高血圧や血糖値の乱れがタコ足細胞を剥がれやすくしてしまうそうです。
<(4)喫煙習慣があるor あった>
煙に含まれる活性酸素がタコ足細胞を傷つけ、慢性腎臓病のリスクを高めてしまうそうです。
<(5)デスクワーク中心の仕事>
運動不足は慢性腎臓病のリスクを高めてしまうそうです。
慢性腎臓病の新常識「腎臓と運動の関係」
一昔前までは慢性腎臓病の人は運動をしてはいけないと言われていました。しかし、近年では適度な運動がタコ足細胞や腎臓を守れるということがわかってきたそうです(※心臓病などの症状・持病によって運動制限のある場合は主治医にご相談ください)。
<運動がタコ足細胞を守れる理由は?>
適度な運動をすると血流が増加します。すると、血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が産生されるのだとか。一酸化窒素は、血管の内側から生み出される血管を柔らかくして広げる働きがある物質。これは、腎臓の毛細血管でも同じで一酸化窒素が生み出されることで、糸球体の毛細血管を柔らかくし広げてくれます。すると、血圧が弱まり、タコ足細胞が剥がれ落ちるのを防ぐことができるそうです。先生によると、運動はウォーキングから始めるのが良いとのこと。実際、慢性腎臓病患者が1日5000歩ほど歩いたところ、腎機能の維持・向上が見られたという報告もあるそうです。
東北大学式!自宅でできる「タコ足細胞」を守る簡単トレーニング
タコ足細胞を守るために、自宅で簡単にできるトレーニングを2つご紹介します。
<(1)ダイナミックフラミンゴ>
▼椅子や手すりにつかまり 片足立ちをして1分間キープ
▼左右1分ずつを1セットとし 1日3セット行う
※無理のない範囲で行なってください
≪ポイント≫
片足立ちを1分行うと、53分歩くのと同じ負荷が太ももの付け根の骨にかかるという研究結果もあり、短時間で骨や筋肉に刺激をしっかりと与えることができます。さらに、太ももやふくらはぎの筋肉に負荷をかけることで、下半身から上半身への血流を促し、一酸化窒素が増加。タコ足細胞を守る効果が期待できるそうです。
<(2)スタンディングバックキック>
▼両手を頭の後ろに組んで まっすぐ立つ
▼5秒かけて右ひざを腰の高さまで上げる
▼息を吸いながら5秒かけて上げた脚を後ろに蹴り出す
▼上記を3回繰り返したら逆の脚も行う
※ふらつく場合は手すりや椅子・壁に手を添え無理のない範囲で行なってください
≪ポイント≫
お尻・太ももなどの大きな筋肉を刺激し、全身の血流を増やすことで一酸化窒素を増やし、タコ足細胞を守る効果が期待できるそうです。
<慢性腎臓病対策の運動の強度は?>
先生によると、慢性腎臓病対策の運動の目安は、息切れする手前くらいの強度。激しい運動は腎臓に負担がかかり、軽すぎる運動だと効果が期待しにくいそうです。ただし、心臓病を併発している人や、生活習慣の改善や降圧薬を服用しても血圧が下がらない人などは、運動を控えたり強度を調整したりする必要があるので、医療機関でご相談ください。
(2026年9月27日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
番組紹介
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