知らないうちに木を内側から食い荒らし枯らしてしまう、クビアカツヤカミキリの被害が広がっています。艶のある体に赤い首。不気味な害虫の実態に迫ります。黒く艶のある細長い体に不気味な赤い首。樹木の内部を食い荒らすやっかいな害虫。それは…「クビアカツヤカミキリ」。桜や桃、そして梅などの木を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」、略してクビアカ。特定外来生物にも指定されています。中国由来といわれ、2012年に国内で初めて愛知県で確認されました。以降被害はみるみるうちに全国に広がり、今では15都府県に拡大しています。(なごや生物多様性センター能丸かおり主事)「名古屋市内は過去最悪のペースで被害が拡大している。被害樹木が776本確認されている」2019年以降、毎年のように増え続け今では名古屋市内ほぼ全域に広がっています。そして、ことしも…約1000本の桜並木一部が“クビアカ”の被害に…名古屋で最も被害が大きいという港区の戸田川緑地。約1000本の桜並木がありますが、クビアカの被害で150本が弱り一部は伐採されました。薬剤による対処も追いつかないといいます。(戸田川緑地管理センター加藤明子副所長)「枯れ枝が落ちたり倒れる危険性があるので、やむを得ず伐採することになっています」名所だった桜のトンネルも、今は変わり果てた姿に…(加藤副所長)「今はこのような状態になっています」Q.いつ伐採した?「ことしの4月に伐採した」(来園者)「きれいなトンネルみたいになっていたのに、一本一本切られていって、寂しいね」そして、隣町蟹江町のお寺でも。(法応寺大隅蓮彰副住職)「元々桜の木が6本あったんですけど、1本は完全に枯れてしまいました」5本の桜を残すため…“樹木医”に依頼毎年春に境内を彩ってきた樹齢100年のソメイヨシノは、クビアカの被害で伐採されました。現在残った5本の桜をなんとか残したい。そこで頼ったのが樹木医の前田隆司さん。(樹木医前田隆司さん)Q.クビアカは増えている?「ものすごく増えている」Q.駆除依頼も?「ここ2~3年、急激に増加している」早速現場を訪れると…(前田さん)「幼虫が(幹の中に)入っている跡がかなりある。このような所に出ている木のくずですね。これ“フラス”と呼んでいますが、カミキリムシの排せつ物と木のくずが混ざったものです。(幹の中に)幼虫がいます」「フラス」とは、木くずと幼虫のフンが混ざったもので、幼虫が幹の中で食い荒らしている証です。バラ科の樹木を好むクビアカツヤカミキリは、木の表面に卵を産み付け、幼虫は幹の中を食い荒らしながら成長。こうして空洞ができると水や養分が行き渡らなくなり木は枯れてしまうのです。多い時には一度に1000個を産卵実際の産卵映像を見てみると…メスは産卵の管から、多い時には一度に1000個近い卵を産み付け繁殖していくといいます。(前田さん)「さて、いるかどうか…」現場に来てわずか数分で…(前田さん)「(成虫が)いました。“クビアカツヤカミキリ”です。名前の通り、首の所が赤く、テカテカしている」他の木にも…(前田さん)「ここです。(動きが)意外と速いんですよ。カミキリなので、かまれると痛い。あっ!そこにも!交尾している。(クビアカは)外に出てくるとすぐ交尾するので、あっという間に卵を産むんですよね。だから成虫を見つけたら退治しないとすぐ広がってしまう」次々に成虫8匹が駆除されました。しかし、まだ幼虫が幹の中にいる可能性があります。(前田さん)「これは殺虫剤です」成虫が出てきた穴に幼虫を駆除するための薬剤を注入し、幹全体にも薬剤を吹き付け作業は完了です。(大隅副住職)「処置をすることで来年も花が咲いてくれるなら、できる限りのことをしていきたいと思っています」クビアカを寄せ付けない新技術一方、クビアカを寄せ付けないための新たな技術も。(福島大学食農学類高梨琢磨准教授・博士)「昆虫は振動を嫌がる性質があり、それを基に害虫防除の研究を始めた」クビアカの幼虫が苦手な振動を、一定間隔で木に加えると…動きが止まります。(高梨准教授・博士)「振動を与えた桜の樹木において、クビアカの観察頭数が少なくなる傾向になっている」特許もとったこの技術、実用化を目指し開発中です。今この瞬間も確実に被害が拡大している「クビアカツヤカミキリ」。いまや国全体での取り組みが求められています。