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相撲、祇園祭…伝統の中に残る「女人禁制」を考える

相撲、祇園祭…伝統の中に残る「女人禁制」を考える

11月9日から大相撲九州場所が始まり、23日の千秋楽まで土俵上では熱戦が繰り広げられます。千秋楽では幕内最高優勝の力士に対し「内閣総理大臣杯」が贈られる慣例となっていますが、高市早苗首相自身は土俵に上がらない可能性が浮上しています。11月12日放送のCBCラジオ『つボイノリオの聞けば聞くほど』では、つボイノリオと小高直子アナウンサー、水分貴雅アナウンサーがこの話題を取り上げました。

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女人禁制

内閣総理大臣杯に関して、慣例では首相または首相代理として官房長官などが土俵に上がって優勝力士に直接授与していました。

今回首相自身が授与するかどうかについて、木原稔官房長官は「現時点では何ら決まっていない」とし、「総理は日本の相撲文化を大切にしたい意向を持っている」と慎重な姿勢を示しているようです。

その理由は、大相撲が伝統として土俵に女性が上がれない「女人禁制」を敷いているからです。これまでに1990年の初場所で森山真弓官房長官が、2000年代前半の春場所では大阪府の太田房江知事が表彰式で土俵に上がることを求めましたが、日本相撲協会はいずれも伝統の観点から断っています。

日本相撲協会は、相撲の起源が神事であることや伝統文化であることなどを理由として挙げており、「決して女性差別ではない」としているようです。

こんな時まで?

これまでに賜杯や挨拶などで、女性が土俵に上がることを相撲協会が認めたことはありません。しかし、この姿勢は式典時に限ったことではなかったようです。リスナーからこんな投稿が寄せられました。

「高市さんは日本の文化に対して伝統を大切にしたいと発言しているようでしたが、過去に土俵の上でとある市長が倒れた時に『女性の医療関係者は土俵から降りてください』、とアナウンスされていました」(Aさん)

つボイ「人命を重視するのか伝統を優先するのか、という例ですね」

小高「緊急時と式典の時とは分けて考えるべきであるとは思いますが、個人的にはガラスの天井を破ってくれた高市さんにはここも破って欲しかったなと思っています」

小高は「高市さんが望まないのであれば仕方ない話だけど」と付け加えつつ、実際の賜杯がどういった形で行なわれるか気になる、と今後を見守る姿勢を示しました。

ゴルフの世界では

一方「紳士のスポーツ」として、かつては男性プレイヤーが中心だったゴルフクラブでも、場所によっては女性が制限されることもありました。しかしそういった流れも現在は変わってきているようです。

水分「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブがものすごくメンバーシップが厳しくて。女性メンバーが禁止だったんですけど、最近女性メンバーもオッケーにして、女性もラウンドできるようになったんですよ」

「ゴルフの聖地」と呼ばれるアメリカのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブでは2012年から女性会員の受け入れを始め、2019年からは女子アマチュア大会も開催されるようになりました。

小高「大相撲は歴史の中で時代の変化に合わせて変えてきたものもたくさんあるのに、ここだけはものすごく頑なですよね」

伝統を重んじることと、時代に合わせて柔軟に変容していくこと。その兼ね合いが求められているのかもしれません。

伝統と革新

そしてつボイは「伝統というものは常に革新でなくてはならない」と語ります。

つボイ「歌舞伎は出雲阿国から始まっていますが、今はあの形から随分変わっています。どんどん変えて今に繋がってきている」

「変えないこと」と伝統を守ることは違うのでは、と考えている様子です。

つボイ「祇園祭の山鉾も女性が乗ってはいけなかったんです」

1150年前から京都で続く祇園祭では、山鉾に女性が乗れない、曳き手や囃子方に女性が参加できないなどの女人禁制がみられました。しかしそれらも少しずつ変化してきて、女性の参加も多様化し始めているようです。

小高「祭の担い手が減ってきて存続が危ぶまれるお祭りもある中で、そんな状況なのに『女性はダメです』なんて言っていたらどうなるのかな、とはちょっと思いますしね」

脈々と受け継がれてきた歴史の重みとともに、「伝統」とはどうあるべきなのかを考えさせられるニュースでした。
(吉村)
 

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