不動産派より現金や金融資産が増えていく?住宅資金贈与をする場合の注意点
 
					昨今、少子高齢化で中小企業・小規模事業者の後継者難が大きな経営課題の一つとなっています。「人生100年時代」の今だからこそ、元気なうちに資産の管理やスムーズな承継について考えていく必要性が高まっているのです。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。10月22日の放送では、「住宅資金贈与」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友トラスト不動産 中部情報営業部 柴田 軒吾さんに伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く住宅資金贈与に絡む取引が増加中
今回は住宅資金贈与について。
北野「住宅資金贈与について、以前も伺いましたがあらためて教えていただけますか?」
柴田「住宅資金贈与というのは、親や祖父母などの直系尊属から、住宅の取得や増改築のために資金の贈与を受けた場合に一定額まで贈与税が非課税になる制度のことです」
国税庁のホームページによると、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となるとのこと。
現時点では期間限定ですが、今後の法令等で延長になる可能性も考えられそうです。
非課税になる金額と要件は?
例えばどのくらいの金額が非課税になるのでしょうか?
柴田「住宅の新築・取得・または増改築等の資金として贈与を受ける場合、省エネ住宅等の場合には1,000万円まで。それ以外の住宅の場合には500万円まで非課税になる制度です。なお、いくつか適用要件がありますのでご注意ください。」
例えば、受贈者(贈与を受ける人)について次の要件のすべてを満たす必要があります。主なものだけでも…
・贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
・平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)。
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
他にも様々な要件があり、住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の要件といった項目もあります。
不動産よりも現金や金融資産がいい?
この「住宅資金贈与」に絡んだお取引は、よくあるのでしょうか?
柴田「たとえば、相続が起きてからこどもたちに任せるという方もいますが、親御さんの元気なうちに、その不動産は遺したいのか、今後は使わないのかを話し合われて、使われない場合は売却して、その資金をお子さまの東京の住宅購入資金として贈与に充てるという選択肢もあります」
北野「いま不動産はかなり高騰してますよね?」
柴田「そうなんです。東京の不動産価格はいまとても高騰していて、なかなかサラリーマンには手の届かない価格になりつつあります。そういった場合にも「住宅資金贈与」の制度を活用される方が増えているんです」
こうした住宅の相続は、相続を受ける側の意見も大切ですよね?
柴田「そうですね。不動産で受けとるよりも現金や金融資産の方がいい、という方が、最近は多くなってきています。古くなった収益不動産の管理を引き継ぐ大変さや、不要な不動産の処分等を敬遠した意見だと思いますが、遠方にいるならなおさらだと思います」
今回のポイントは、不動産で受け取りたいか、現金や金融資産で受け取りたいかの確認が必要であること。今後は、不動産よりも現金のほうが良いという意見が増えていく可能性もあります。
もし、住宅資金贈与について考えている方は、まず家族との話し合いが大切だと締めくくりました。
 
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