秋場所で「大豊時代」到来なるか?ジャーナリストが解説

9月14日に開幕した大相撲秋場所は、24日で10日目を迎えました。今場所は、横綱・豊昇龍と大の里による新たな時代“大豊時代”の到来が期待される注目の場所です。この日の『CBCラジオ #プラス!』では、スポーツジャーナリストの生島淳さんが2人の力士を解説しました。
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10日目を終えて、豊昇龍は全勝を守り、大の里は1敗でこれを追う展開となっています。
正代も久々に優勝争いに加わっており、混戦模様の様相を見せている秋場所。
大の里は前日の若元春戦で一瞬背中を見せてしまいましたが、そこから立て直して土俵下に倒れ込むほどの力強さを見せました。
素早さとパワーの両方を兼ね備えた相撲は、観客に強い印象を残しています。
優勝ラインは13勝2敗まで下がる可能性もありますが、生島さんは理想的には14勝1敗での決着を期待しているようです。
横綱同士のライバル関係
ここ数年、大相撲界は白鵬や照ノ富士といった“一人横綱”の時代が続いていました。
そのため、横綱同士のライバル関係による優勝争いが見られず、物足りなさを感じるファンも少なくありませんでした。
その点で、今場所は豊昇龍と大の里という2人の横綱が揃い、互いに切磋琢磨する構図がようやく生まれつつあります。
千秋楽での全勝対決や、1敗を挟んでの大一番は、相撲ファンが最も熱望する展開です。
実際に、大の里が優勝を決めた際、豊昇龍が「全勝で来いよ」と声をかけたというエピソードもあり、表立っては仲良しではないものの、土俵上での緊張感ある関係性が育まれているようです。
豊昇龍の強さの源とは
豊昇龍は身長188センチ、体重149キロとされていますが、生島さん曰く、最大の武器は“体のバネ”です。
土俵際に追い込まれてから逆転する力を持ち、まるでレスリング選手のような動きを見せることがあります。
豊昇龍はもともとレスリングの留学目的で来日し、日体大附属高校で競技を行なっていました。
叔父の元横綱・朝青龍の影響で相撲に転向しましたが、レスリングで培った身体感覚が現在の相撲にも活かされているようです。
特に注目すべきは腕力だけでなく、自分の膝を伸ばして相手の体を浮かせてしまう点。
体重差のある相手でも、バネを活かして懐に入り、体を軽くさせてしまう巧みさがあります。
生島さんは今後、体重をもう少し増やすことでさらなる進化も期待していますが、スピードを失うことへの懸念から、本人は現在の149キロあたりをベストと考えている可能性もあるということです。
大の里の武器は
一方の大の里は体重191キロという巨体の持ち主ですが、その取り口は非常に繊細です。
右差しから相手の懐に入り、回しを取った瞬間に強烈な右腕で相手を浮かせてしまう技術があります。
左の攻めも加えると、その威力は倍増します。
また、日体大在学中にはハードル走の授業がありましたが、そこで見せたリズム感が非常に優れていたと陸上の専門教員から高評価を受けたそうです。
大柄でありながら、運動能力の高さを証明するエピソードといえるでしょう。
注目の直接対決へ
現在25歳の大の里は、将来的に記録を次々と塗り替えていく可能性を秘めています。
豊昇龍は26歳で、2人はわずか1歳違い。
今後10年を担う存在として、大きな注目を集めています。
これまでの対戦成績では、豊昇龍が6勝2敗とリードしており、大の里の1勝は不戦勝によるもの。
お互いに得意とする形が異なるため、立ち合いから主導権を握れるかが勝負の分かれ目となりそうです。
今場所最大の焦点は、“大豊時代”が本当に始まるのかどうかという点に集約されます。
かつてない盛り上がりを見せている秋場所。千秋楽まで目が離せません。
(ランチョンマット先輩)
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