とにかく足の裏は必見?奈良県円成寺の国宝・大日如来坐像

毎週木曜日の『ドラ魂キング』では、CBCの佐藤楠大アナウンサーが仏像に関するトピックを紹介します。7月24日の放送で紹介したのは、奈良県奈良市にある円成寺の国宝・大日如来坐像。この仏像の見るべきポイントを佐藤が明かします。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く大日如来とは?
佐藤「国宝の理由はズバリ、みなさん名前は聞いたことがある仏師、運慶のデビュー作とされているからなんです」
仏像の種類は上から如来、菩薩、明王、天部の4つ。
大日如来は、奈良の大仏と言われる盧舎那仏と同じ句「如来」だそうです。
佐藤「盧舎那仏がさらに進化した仏。もっと広い世界、もっといろんな人、救ってくれる。宇宙そのものとも言われています。とにかくすごくスケールが大きいということだけ頭に入れてください」
如来は出家した後の釈迦をモデルとしているので質素な服装で形作られますが、大日如来だけは別なんだそうです。
豪華な装飾品を身に着け、頭には宝冠をかぶっている姿。髪の毛はポツポツとした螺髪ではなく、髪の毛を結い上げているとか。
如来の中でも姿が違うのが見るべきポイントだそうです。
リアルの時代を切り開く
これを作ったのが仏師、運慶。佐藤は運慶のすごさについて語っていきます。
佐藤「運慶が二十代の時に、この大日如来坐像を作ったと言われています。今の私ぐらいです」
ちなみに佐藤は2000年(平成12年)生まれの25歳。
この仏像は、鎌倉時代、リアリティが求められた時代を切り開いていった初期の作品、と言っても過言ではないそうです。
運慶の一番有名な作品は東大寺の南大門にある金剛力士像。筋肉を細かく再現していることが評価されている理由の一つ。
佐藤「そういう文化は鎌倉時代に入ってからなんですよ。そのスタートと言っても過言ではないのが、この大日如来です」
なぜリアルになった?
鎌倉時代の仏像には、なぜリアルが追及されていったのかを説明する佐藤。
飛鳥時代、奈良時代は、外国から仏教文化が入って来ました。
大陸から入ってきた仏像の文化は、崇拝の対象。なので人間世界とは別次元のものとして、人間離れした姿で作られることが多かったそうです。
遣唐使が廃止されると、海外からの文化がいったん入らなくなります。そのため日本固有の文化が醸成されていったそうです。
日本国内の仏教の広まりも相まって、より信仰しやすい姿、人間の形をしている仏像へと変化したとのこと。
鎌倉時代の仏像はより人間らしく描くことをモットーに制作されたそうです。それをリードしていったのが運慶の技術です。
見るべきポイント
佐藤「ぜひ横から見て欲しいんです。胡坐をかくと、腰が若干曲がるじゃないですか。首がちょっと前に出る。歳を取ったお爺さんが胡坐をかく姿、それが精巧に表現されているんです」
奈良時代、飛鳥時代の仏像は横から見るとペターンとしていたり、背中が一直線。しかし大日如来坐像は人間本来の背骨のS字カーブまで表現しているそうです。
佐藤がおススメする見るべきポイントは、胡坐をかいている大日如来の足の裏。
足の裏の母指球の膨らみや踵の柔らかそうで固い張り感。足の指が、足先にかけてくるっとカーブを描いている形。とにかく足の裏が注目ポイントだそうです。
佐藤「いろんな人の人体を研究して、写実性を追求していった運慶のデビュー作。ここからさらに運慶は進化していくわけです」
奈良県円成寺にある国宝・大日如来坐像。カリスマ仏師・運慶のデビュー作、大日如来の素晴らしさを足の裏を見て感じてみましょう。
(尾関)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。