浴槽がステージに変身!名古屋の銭湯で「風呂フェス」開催

銭湯が音楽会場に?若者を中心に注目を集めるユニークなイベントが、名古屋の銭湯で来週開催されます。7月16日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、名古屋市北区「報徳湯」で行なわれる音楽イベント「Happy "BATH"Day!」、通称「風呂フェス」を特集。主催の打楽器演奏家・zukikoさんにお話を伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く若者が銭湯に注目する理由
愛知県浴場組合によると、コロナ禍以降、銭湯の客層に大きな変化が起きているといいます。以前は利用客の7割が高齢者、3割が若い層だったのが、施設によっては割合が逆転し、若い層が増えているそうです。
この変化の背景には、サウナブームの影響もありますが、もうひとつの大きな要因として、銭湯の代替わりを機に新しい取り組みや挑戦を行なう施設が増えてきたことが挙げられます。
例えば、休業日を利用したDJイベントや音楽ライブなど、従来とは違う切り口で若者とのつながりを作る取り組みが、各地で行なわれています。
名古屋市北区、大曽根駅近くの銭湯「報徳湯」では、7月21日(月・祝)に「Happy "BATH"Day!」が開催されます。お風呂の「BATH」をかけたネーミングの銭湯と音楽のコラボレーションイベントです。
空の浴槽がライブ会場に
今回で5回目の開催となるこのイベント、通称「風呂フェス」は、8組のアーティストが出演する本格的な音楽フェスです。
プロの演奏を間近で聞けるだけでなく、お湯の入っていない空の浴槽に服を着たまま入るという、非日常的な風景を楽しみに訪れる方も多いそうです。
主催するzukikoさんによると、このイベントのコンセプトは「街の銭湯で1日楽しめるフェス形式のイベントを開きたい」というものでした。
最初は小規模な対バンライブからスタート。2回目以降は規模を拡大し、演劇や落語なども加わったことで、音楽イベントというよりは「フェス」と呼ぶのがふさわしいイベントに成長したといいます。
銭湯の休業日とアーティストのスケジュールが合うタイミングでの開催で、今年はたまたま海の日の開催となったため、夏祭り風の演出を考えているとのことでした。
アーティストの皆さんは、「銭湯でのライブは面白そうだ」と快く引き受けてくれる方が多いそうです。
銭湯ライブのきっかけ
zukikoさんは、なぜ銭湯をライブ会場として選んだのでしょうか。
zukikoさん「これも巡り巡って来るんですが、別のアーティストの方のサポートで銭湯のイベントに出た時に、『銭湯めっちゃいいな』ってなって」
その後、自宅近くの銭湯でたまたまバイト募集があったため、「やっちゃおう、みたいなノリ」で、番台として働き始めたそうです。
その銭湯の店主も不定期でイベントを開催しており、zukikoさんが音楽活動をしていることを知って「じゃあ、うちでもライブやらない?」と声をかけてくれたのが、風呂フェスの始まりだったといいます。
過去のイベントの写真では、お風呂を囲むように服を着たままのお客さんが座って演奏を聞いているという、少し不思議な光景が広がっています。
北野は、銭湯が昔から人寄り場としての役割を果たしていた歴史に触れ、「近くで落語が開かれたり、銭湯のオーナーが若手の落語家に500円ぐらいで場所を提供したりする文化があった」と、銭湯が持つコミュニティスペースとしての歴史的な側面を指摘しました。
天然のリバーブが生む特別な音響効果
風呂フェスの魅力のひとつは、銭湯という空間が持つ独特の音響効果です。
zukikoさん「やっぱり響くから、『歌ってて気持ちがいい』『演奏してて気持ちがいい』みたいな声をたくさんいただくこともあります。『天然のリバーブ(残響)だ』っておっしゃっていただいて。お風呂で歌を歌うのはみんなやるけど、それを銭湯でやったらめっちゃ気持ちいいんです」
実際の演奏では、スピーカー1個だけや全く生音で演奏する方もいるそうです。マイクがなくてもしっかり響くので、ギターと体ひとつで歌う方もいるなど、演奏スタイルは様々とのことでした。
プロのアーティストの生歌と生のギター音を、機材を通さずに聞ける貴重な体験はなかなかありません。これは銭湯ならではの魅力といえます。
銭湯とアーティストの相乗効果
銭湯の常連客が新しいアーティストを知るきっかけになる一方で、アーティストのファンが銭湯の存在を知ることにもなります。
お互いが初めての経験をして、それぞれのファンになっていくという相乗効果が生まれるほか、出演したアーティストがその後も銭湯に通うようになるケースもあるそうです。
報徳湯の風呂フェス「Happy “BATH”Day! vol.5」は、7月21日の午後2時から夜8時まで開催されます。
事前予約は不要で、どの時間帯でもふらっと立ち寄ることができます。入場料は無料で、アーティストへの支援として投げ銭制を採用しています。
詳細なタイムスケジュールは、イベント専用のInstagramアカウント「1010(銭湯)fes」で確認してください。
(minto)
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