ゆっくり走ると曲が聞こえる!メロディーロードはなぜ鳴るの?

毎日ニュースや新聞で一度は目にする交通事故の話題。2024年度の交通事故発生件数は30万件近くに上っています。事故を少しでも減らすために、とある工夫が凝らされた道路があるそうです。6月14日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、愛知県建設業協会中部土木の小田さんがそんな不思議な道路の秘密を解説。聞き手はCBC論説室の石塚元章特別解説委員と加藤愛です。
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小田さん「メロディーロードのお話、覚えていますか?」
石塚「車で走ると音がするってやつですよね」
メロディーロードとは、車が一定の速度で走ると路面から音楽が聞こえる道路のことです。日本で発明され特許も取得しているこの道路は別名「メロディーライン」や「メロディーペーブ」とも呼ばれ、国内には37か所設置されています。
その例として、以前にもこのコーナーで触れた、神奈川県と静岡県にまたがる「芦ノ湖スカイライン」があります。
ここでは2か所にメロディーロードが設置されており、ひとつは「富士の山」、そしてもうひとつはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」を聞くことができます。
というのも、新世紀エヴァンゲリオンの舞台である「第3新東京市」は箱根周辺をモデルとしているからです。
このようにメロディーロードには、その土地ならではの特色ある音楽が設定されています。
選曲いろいろ
先日、その内のひとつ、愛知県豊田市川手町のトンネルに行ってきたという小田さん。
トンネルの中にメロディーロードが設置されているのは、日本どころか世界でも唯一ここだけだそうです。
トンネル内なので音がよく響き、メロディーが綺麗に聞こえるのが特徴です。そんな愛知県豊田市のメロディーロードで流れる曲は、一体なんでしょう。
小田「『どんぐりころころ』、『モンキー・マジック』、『乾杯』、どれだと思いますか?」
加藤「モンキーマジックはちょっとノリノリでスピード出ちゃいそう(笑)」
正解は童謡の「どんぐりころころ」。すぐそばに道の駅「どんぐりの里いなぶ」があることから、この曲が採用されたようです。
ちなみにゴダイゴの「モンキー・マジック」は栃木県日光市にある「いろは坂」の下り線で聞くことができます。日光東照宮のサルにちなんでの選曲です。
加藤「聞いてみたい!」
石塚「『乾杯』はきっと鹿児島県だよね」
シンガーソングライターの長渕剛さんの出身地である鹿児島県の「指宿スカイライン」では、名曲「乾杯」が流れます。
事故防止につながる
実はメロディーロードには秘密があって、制限速度内で走行しないと曲が奏でられないのです。
石塚「だから猛スピードで走ったりすると上手く聞こえないんですよね」
小田さん「そうなんです。逆に遅すぎてもダメですし」
メロディーロードの設置には綿密な設計と緻密な施工が必要で、通常の道路と比べて手間も費用も格段にかかります。それでもこういった工夫を凝らした道路が全国にあるのは、今述べた「スピードの抑制を促す」という目的の他にもさまざまなメリットがあるからです。
例えば居眠り防止。スピードの出やすい道路や、単調で居眠りが起こりやすい道路での事故を防ぐために設置されることも多いようです。
そして観光資源の創出。その土地にちなんだ曲をあてがうことで、観光客を楽しませる目的もあります。
音の鳴る仕組み
石塚「でもこれ、どうしたら音が出るのか不思議ですよね」
メロディーロードにはアスファルト舗装の表面に加工が施されています。深さ数ミリの溝がつけられており、その溝の深さと間隔によって通過する車両の走行音で音楽を奏でる、という仕組みのようです。
小田さん「溝の深さと間隔を変えるだけなので、基本的にはどんな音でも出せるそうです。もちろん安全にも何ら問題はないです」
石塚「むしろ道路に溝があることでスリップしないような気がします」
実際にスリップ防止目的でメロディーロードが設置されている場所もあります。路面の溝によって排水性や摩擦性が高く、凍結しやすい箇所の安全性を高めるのにも一役買っているとか。
「スピードを出し過ぎると罰則がある」というよりも、「決められた速度で走るといいことがある」という方が、何となく遵守したくなる気がします。まさに北風と太陽なメロディーロードでした。
(吉村)
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