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自由の価値を問う?大阪・関西万博のウクライナブース「Not for Sale(非売品)」

自由の価値を問う?大阪・関西万博のウクライナブース「Not for Sale(非売品)」

4月28日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、パーソナリティの三浦優奈が、大阪・関西万博で訪れたウクライナ館について語りました。戦時下にありながら万博に出展したウクライナは、独特な展示手法でメッセージを発信しています。※画像はイメージです。

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「非売品」の展示スペース

現在開催中の大阪・関西万博で、ウクライナは独自のパビリオンではなく、複数の国や地域が共同で利用する「コモンズ-C館」と呼ばれる建物内にブースを設置しています。

この展示スペースは、ウクライナ国旗の「青」と「黄色」を基調とした空間デザインで、一見するとショップのような雰囲気。看板には「Not for Sale(非売品)」という文字が掲げられています。

ブースに入ると、バーコードリーダーにスマホ画面が付いた手のひらサイズの機械を渡されます。

3Dプリンターで作成されたメガホン、パソコン、地球儀、タイヤなど約20種類の品物がずらりと並び、それぞれに付いているバーコードを読み取ると、価格ではなく映像が映し出される仕掛けです。

バーコードが語る戦時下の現実

たとえばタイヤのバーコードを読み取ると、「民主主義を動かしているもの」と表示され、市民が革命に参加し、タイヤでバリケードを築く様子が映し出されます。

おもちゃのバーコードからは、血に染まったぬいぐるみが。どれだけ多くのこどもたちが、戦争で犠牲になっているのか、その現状を伝える動画が流れます。

また、「M」のオブジェのバーコードからは、学校での教育を続けるために地下鉄の中のシェルターで戦争の中、授業を受ける姿が映し出されるそうです。

石塚元章は、「M」は「メトロ」の「M」かもしれないと、想像を働かせます。

三浦は「『Not for Sale(非売品)』の意味が、ちょっとずつわかってくる。映像に映し出されたウクライナの自由、尊厳、権利は決して売り物ではないんだよ、という当たり前のことなんですけど。ウクライナが守ろうとしている価値観を改めて知ることができるブースでした」と感想を述べました。

長蛇の列が示す関心の高さ

万博といえば、パビリオンのギミックを楽しむことも多いですが、このブースに入った人たちは、バーコードを1つ1つ読み取って、動画をじっくり見る傾向があり、滞在時間が長くなっていたそうです。

三浦が訪れた際には、入場するまでに約1時間も並ぶ盛況ぶりで、「コモンズ-C館」の他のブースではあまり見られない光景だったといいます。多くの来場者が展示内容に熱心に向き合う様子から、ウクライナへの関心の高さがうかがえます。

三浦は「いろんな国の人が万博に来て、ウクライナのブースにいる。このブースにいる人たちは今、ウクライナについて気持ちがひとつになっているような、そんな空間だった」と感想を述べています。

パビリオンのディレクターを務めるウクライナ文化センターの理事長は、「戦争は今も続いている。そのことを知ってほしいし、何のために今ウクライナが頑張っているのかを伝えたい」とインタビューで語っています。

万博で世界を考えるきっかけに

小学生時代に愛知万博を体験した三浦は、「当時は、オーストラリア館の巨大カモノハシの滑り台が楽しかったな、という気づきしかなかった」と回想します。しかし、年齢によって感じ取れるものが違うことを実感し、「今の世界について考えるいいきっかけになった」と語ります。

ウクライナ館の展示、そして「Not for Sale(非売品)」の言葉は、単なる文化紹介ではなく、戦時下にある国からの切実なメッセージです。「自分たちを差し置いて、ロシアとアメリカで勝手に決めないでほしい。私たちは生きている、戦っているんだ」という声が、展示全体から感じられたといいます。

「ひとつの国を知って、世界を知る」。三浦はそう締めくくり、10月13日まで開催される大阪・関西万博の意義を改めて強調しました。
(minto)
 

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