知っていると相続も安心「死後事務委任契約」

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。4月2日の放送では、全財産を寄付する依頼人の「死後事務委任契約」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタント齋藤元紀さんに伺いました。
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今回齋藤さんは、全財産を親族に相続せず、寄付する依頼者の事例を紹介しました。
親族に相続する場合と違って、気をつけるポイントはあるのでしょうか?
齋藤「(寄付する先が)不動産の寄付を受け入れてくれるのか、使い道はどの程度指定できるのか等の条件面の確認は必要です」
ただ今回斎藤さんは、この方の遺言書についてではなく、「死後事務委任契約」について紹介したいと前置きをしました。
北野「この言葉は初めて聞きましたけど、死後事務委任契約とは何ですか?」
齋藤「死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要となる事務手続きを、あらかじめ信頼できる第三者に委任する契約のこと」
この契約を結ぶことで、葬儀の手配、役所への届出、遺品の整理、公共料金の解約など、さまざまな事務を依頼することができるそうです。
最近委任が増える傾向
北野「死後事務委任契約は、皆が準備しておく必要はないですよね?」
齋藤「そうですね。こどもや甥姪等の親族がそのような手続きをしてくれる場合には不要かもしれません」
依頼者は全財産を寄付する予定で、自身の葬儀等も親族ではなく第三者に任せたいとの意向があり死後事務委任契約を締結したとのこと。
今回の依頼者は寄付を希望していましたが、「親族に財産を残す方たちにはあまり関係のないこと?」と死後事務委任契約の必要性に疑問に感じた北野。
齋藤「決してその様なことはないんです」
自身の死後に「全部の手続きを親族に任せるのは負担が大きいかも」「家の後片付けでいろいろ見られたくない」などの考えや親族が遠くに住んでいるなどの理由で、最近は死後の事務を委任する方が多くなったのだと齋藤さん。
他にも、ペットを飼っている方であれば「ペットホームに入居させてほしい」との意向で死後事務委任契約をする方もいるそうです。
「遺言書」との大きな違い
北野「遺言書と死後事務委任契約は全く違うものですか?」
齋藤「はい。基本的に遺言書は財産の承継について、死後事務委任契約は財産の承継以外のことを記載します」
北野「どちらか一方だけでは不十分な場合もありそうですね」
齋藤「そうです」
葬儀やお墓のこと、家の中の片付けは寄付先の団体が引き受けてくれるわけではなく、死後事務委任契約だけでは財産の承継に対応できないので、遺言書とは別に準備しておく必要があると続けます。
では、どのように対応するのがよいのでしょうか?
齋藤「まずはご自身の状況について確認することが大切」
「親族に任せられるから死後事務委任契約が不要」と考える方もいるかもしれません。しかし、実際に自身に何かがあった時、葬儀やお墓のこと、親族や友人への連絡のタイミングなどを遺された方が分かるようにしておくことは大切なのだと齋藤さん。
北野「死後、誰にどうやって進めてもらうねんって、とくに一人になったら考えておいた方がいいですね。
齋藤「そちらを先に考えてもらった方がいいかもしれませんね」
最後に「終活の一環として財産承継以外のことも重要」と念押しする北野でした。
(野村)
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