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いったんは引き上げ凍結も…高額療養費制度をあらためて学ぶ

いったんは引き上げ凍結も…高額療養費制度をあらためて学ぶ

本国会で大きな議題となったひとつが、高額療養費制度の負担上限額引き上げ。当初、今年の8月から負担が増える予定でしたが、結局、今回は見送りとなりました。ただし、引き上げの議論は続くことになり、将来引き上げられる可能性があります。3月10日放送『北野誠のズバリ』では、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナー、針田真吾さんが高額療養費制度の改正について解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と大橋麻美子、シンガーソングライターの河原崎辰也です。

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自己負担額はどれぐらい?

現状の高額療養費制度では、年齢や所得に応じて5つの階層で自己負担額の月額上限が設定されています。

最も金額が低いのは住民税非課税世帯で3万5千400円、次に年収が370万円未満の方で5万7千600円、年収770万円未満で8万100円+α、年収1,160万円未満で16万7千400円+α、それ以上の方で25万2千600円+αとなります。

この金額を超えた自己負担額について、健康保険から払い戻しを受けることができます。

今回、検討された改正はこの自己負担額の限度額を上げることであったため、患者の負担が増える予定となっていました。

昨年末に「2025年8月に施行開始」と発表されていましたが、7日にいったん凍結するという方針が発表されました。

今夏に参議院選挙が予定されているため、その結果次第では凍結が解除される可能性があります。

改正が予定されていた内容は?

では、当初予定されていた改正はどのような内容だったのでしょうか?

例えば、先程限度額が3万5千400円と紹介した方は3万6千300円、最も負担が多い25万2千600円+αの方は29万400円+αに上がる予定でした。
年収によりますが、月額で最小900円、最大3万8千円上がる想定だったのです。

ただ、実は改正内容は当面このままの予定だったわけではなく、さらに2026年8月、2027年8月に改正される予定で、かなりの増額になる内容でした。

政府が高額療養費の上限額を早く上げたかった理由は、やはり医療費の増大。
特に今年は人数の多い団塊世代が75歳を迎える「2025年問題」が控えているのが、大きな要因と言われています。

支出を抑えるために医療費を下げたいし、給付も下げたいという思惑が見えます。

北野「だから今、病院に行っても(医薬品を)ジェネリックにしてくれっていう。国の方針なんですよね」

医療費の増額が問題

医療費が増大する理由のひとつに、がんの治療薬が高額になっていることがあります。

針田さんはJCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)が実施した、がんの治療費に関する実態調査の一例を紹介。
全国38の病院で前立腺がんのステージ4と診断された患者700名への調査では、直近1年間の医療費の自己負担額は、従来型の薬は1か月あたり1万6千383円。2015年にできた新しい薬は27万2千874円から42万4千746円と一気に跳ね上がっています。

従来の薬を使ったのは14%に対し、新薬を用いた人は56%と多く、その分保険者側の負担に跳ね返ってくるため、政府としては自己負担額を上げたいわけです。

今後は高額療養費の自己負担額引き上げだけではなく、高額療養費の対象にならない自由診療が増えるかもしれないため、北野は「通常の健康保険だけではなく、別でがん保険に入っておいた方が良い」と勧めました。

また、命に関わりのない湿布薬などを病院で処方しているのも医療費の増大の原因と言われます。市販薬で対応できることは市販薬で対応しましょう。
(岡本)
 

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