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衝撃!中華AI「DeepSeek-R1」の低コスト革命、実は技術盗用か?

衝撃!中華AI「DeepSeek-R1」の低コスト革命、実は技術盗用か?

中国の人工知能(AI)企業「DeepSeek(ディープシーク)」の新モデル公開により、世界のAI開発に衝撃が走っています。「DeepSeek」が開発したAIは、わずか8.7億円という低コストで開発されたにもかかわらず、アメリカの主要企業のAI機能を一部上回る性能を持っているとされています。1月30日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、パーソナリティの永岡歩アナウンサーとCBC論説室の石塚元章特別解説委員が、この話題について詳しく解説しました。

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驚異的な開発コストの差

27日のニューヨーク株式市場では、AI向け半導体で圧倒的なシェアを持ち、これまでアメリカ株価上昇をリードしてきたNVIDIA(エヌビディア)の株価が、前の週と比べ17%という大幅な下落を記録。

この下落により、時価総額にして約92兆円が消失する事態となりました。

「DeepSeek」の開発コストは8.7億円。一方、GoogleのAIモデル「Gemini(ジェミニ)」は約300億円、OpenAIの「ChatGPT」は約120億円と、その開発費の差は歴然としています。

米AI投資計画と中国の衝撃発表

これを受け、トランプ大統領は「我々の産業が競争に勝つために集中する必要がある」という警鐘を鳴らしました。

トランプ大統領はバイデン前政権が導入した安全性重視のAI政策を破棄し、ソフトバンクグループとOpenAIによる最大78兆円規模のAIインフラ計画を支援すると表明していました。

しかし、その直後に中国の「DeepSeek」が、巨額の投資を必要としない高性能AIの開発成功を発表し、状況は一変することとなりました。

「蒸留」技術を使用?

30日の新聞では、「DeepSeek」によるデータの不正利用疑惑が報じられました。

同社がこれほど安価に開発できた背景には、「蒸留」と呼ばれる技術の使用があります。
「蒸留」とは、生成AIの基盤となる大規模言語モデルを開発する手法のひとつで、新たなAIを作る際に、データの学習方法や質問への答え方を既存の高性能AIから学ばせる方法です。

ゼロから学習させるのではなく、既存のモデルを活用することで、「混合物から純度の高いものを作り出す」という意味で「蒸留」と呼ばれています。

ただし、AI提供企業の多くは、第三者による蒸留への無断使用を規則で禁止しています。

技術流用疑惑の浮上

「DeepSeek」側は、誰でも利用可能なオープンソースとして公開されているAIモデルを用いたと主張していますが、外部に公開していないOpenAIのモデルを使用していたのではないかという疑惑が持ち上がっています。

米ホワイトハウスのAI担当補佐官デービッド・サックス氏は、「DeepSeekがOpenAIのモデルから知識を蒸留したという相当な証拠がある」と明言しました。

永岡「AI分野での競争も激しくなる。パクリ、パクられみたいなことになってきちゃうのかっていうところですね」

石塚「背景には『アメリカ対中国』という構図がどうしても浮かび上がってきてしまいますが、まだ証拠があるわけじゃない」

とはいえ、OpenAI側は既に「盗まれた」と主張しています。

オープンソースを巡る賛否両論

一方で、オープンソースの活用については「構わず使って、もっといい技術をみんなで開発しましょう」という前向きな考え方も存在します。

例えばMetaの関係者は、盗用の話が出る前ですが「すごい。これこそオープンソースの良さだ」と言っていたそうです。

しかし、トランプ政権としてはそうもいきません。国家安全保障会議(NSC)は「政府としても調査する」とコメントを出し、OpenAIやマイクロソフトも「政府と一緒に調査する」と表明している状況です。

低コスト開発への疑問と市場の反応

300億円、120億円という開発費をかけた企業に対し、8.7億円で同等の成果を上げたという主張に、技術者たちからも疑問の声が上がっています。

一方で、このような低コスト開発が可能だと示されたことで、巨額の投資をしてきた企業の株価が大きく下落しました。

「DeepSeek-R1」は、数学分野でOpenAIの最新モデルに匹敵する能力を持ちながらも、利用料金は30分の1から50分の1。さらに、AI開発者が自由にモデルを改変でき、独自に開発したアプリに組み込むなど、商業利用も認められているとのことです。

情報管理への懸念と今後の課題

しかし、「DeepSeek」のAIは、生年月日、メールアドレス、入力した質問内容など、利用者情報が中国国内のサーバーで保管される仕組みで、情報管理への懸念も広がっています。

石塚「TikTokと同じ方向性ですよね。便利だからみんな喜んで使うけど」

永岡「全部情報が取られてる」

石塚「本当の能力もチェックしなきゃいけないし、本当に盗んでいたかどうかも含め、調査しなきゃいけないし。アメリカ対中国っていうことも絡んでくるよね」

技術流用の疑惑から情報管理まで、問題が山積する状況で、永岡は「DeepSeekこそ、ディープにシークしていかないと。これから大事な分野になっていくので、クリアになっていけばいいと思います」と期待を込めて、コーナーを締めくくりました。
 (minto)
 

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