イチローが懸念。野球の魅力が薄れている理由
野球殿堂博物館が16日、2025年の殿堂入り顕彰者を4名発表しました。プレーヤー部門では日米通算で4,367安打を記録したイチローさん、中日OBでプロ最多の407セーブを記録した岩瀬仁紀さんが選ばれました。『CBCラジオ #プラス!』の「新聞ピックアップ」コーナーでは、竹地祐治アナウンサーが1週間の新聞記事の中から気になったものを解説していますが、ここでは1月17日放送の中から、日本の野球殿堂入りに関する部分を取りあげます。聞き手はプロ野球実況も担当する光山雄一朗アナウンサーです。
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殿堂入りの資格はプロ野球を引退してから5年目以降ですが、イチローさんは資格を得てから1年目での受賞となりました。松井秀喜さんや金本知憲さんなどと並んで史上7人目とのことです。
イチローさんの得票率は92.6%と75%以上の基準はクリアしましたが、惜しくも満票は逃しました。
表彰式の挨拶でイチローさんは次のように語りました。
「今は未来を担うこどもたち、主に高校生なんですけども、彼らとの出会いを通じてそれが僕の大いなる目標となっていて、モチベーションにもなっているという状況です。
さまざまな要因から今の野球が変わっていってるわけですけれども、せめてこどもたちが向き合う野球は純粋なものであってほしいと願っています。
価値で時代で変わっていくものはあると思います。
でも、やっぱり変えてはいけないものというものもあると思うんですね。
そこを僕は強く意識して、これから僕はこどもたちと接していきたいと思っています」
メジャーリーグに苦言
竹地はこの挨拶の中で、「価値が時代によって変わることは肯定しながら、変わってはいけないものもある」という箇所を重要視しました。
5日に放送された『イチローVS松井秀喜~今だから話せる本音対談~』(BS-TBS)の中でイチローさんは「今のメジャーリーグの野球は面白いと思わない」と語り、松井さんも同意しました。
その理由は、今の野球がデータに偏重しているためで、本来のびのびと野球をしたい選手からすると、「ここでは統計的にこの確率が高いため、このプレーをやって」と指示されることは、データに縛られたプレーを強いられることになります。
これが純粋な野球と言えるのか、そのような野球は面白くないのではないかという話を2人がしていたそうです。
日本の野球にも変化が
竹地はこの話が先ほど紹介した挨拶の「変えてはいけないもの」につながっているのではないかと語りました。
光山「やっぱり技術の進化によって、取れるデータが本当に幅広くかなり詳細に収集できるようになって。
例えばプロ野球でいうと、昨シーズン日本シリーズで頂点に立った横浜DeNAベイスターズは、野球経験がないデータ専門の人を入れたりするというので、確かに野球自体がデータで動いている側面もあるんだなと感じますね」
竹地「1番高木が塁に出てと、それこそドラゴンズの歌にあるじゃないですか。
4番はやっぱりスラッガーでホームランを打ってほしい、なんなら満塁ホームランを打ってほしい。
ところが大谷(翔平)選手はホームランバッターなんですけど、ドジャースは何番に起用するか。1番だったり2番だったりですよね。
データからするとそれの方がいい、打順が回ってきてヒットの確率も上がるからチームにとってそれがいい。
だけど、それって楽しんでる野球かなっていうのが、おそらくイチローさんたちにはあるなと」
データ一辺倒への警告
現在、イチローさんは高校生に野球指導を行うことがありますが、その経験の中で感じた思いと、データ偏重への危惧がつながっているのかもしれません。
竹地「気持ちとかそういうものってあるじゃない。いまこの瞬間に生徒たちが考えていること、感じていることっていうのをもっと生かした野球にしていいんじゃないっていうところを、やっぱりイチローさんが挨拶で言ってくれると、データ一辺倒になってしまう怖さってあるよなって気づかせてくれる気がして、それがいいなと思いました」
また、光山はイチローさんがアメリカでも野球殿堂入りすることに期待しました。
(岡本)