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兵庫県知事選で問われる「テレビ報道のあり方」とは?

兵庫県知事選で問われる「テレビ報道のあり方」とは?

11月17日に行われた兵庫県知事選挙で斎藤元彦・前知事が再選を果たしました。今回の結果を受け、多くのマスメディア自分たちの報道に対して反省点を検証することが話題となっています。23日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが知事選で問われたテレビのあり方について考えます。

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ネットの力でひっくり返った異例の選挙

兵庫県知事選で斎藤前知事が再選を果たしました。
主に若い有権者層がSNSの情報を参考にしたことから、「SNSが旧来のメディアに勝った」と囁かれています。

大石「中盤で斎藤さんが勝つんじゃないかと思っていました。後出しジャンケンとかではなくて。私の中で確信があったんですね」

中盤の情勢報道では、前尼崎市長の稲村和美さんがトップ、二番手が斎藤前知事でした。「組織選挙は出来ていた」と分析する大石。

大石「組織の票って結構、前半に出るんですよ」

ところが後半に差し掛かると、組織票が「出がらし」状態になったためか、稲村さんが激しく追い上げられる展開に。
ネットの盛り上がりをみるにつけ、無党派層の票が相当あるのでは?と睨んだ大石。

ただ見誤ったのは、開票の夜8時時点で当確が出る、いわゆる「ゼロ打ち」の票差がついたことと言います。

大石「選挙は一線を画す新たなステージに入った。テレビ報道ではなく、ネットの力によってひっくり返った選挙戦だったなと思います」

報道陣としての反省点とは?

今回の結果を受け「報道陣として反省すべき点がいくつかある」と大石。

大石「襟を正さなければならないなと思っています」

知事のパワハラ、物品要求、県庁職員の自殺。

大石「この3つくらいが大きな争点だったと思うんですけども」

実のところ、百条委員会でも第三者委員会でも正式な調査結果はまだ出ておらず、これらの因果関係は不明でした。

また、パワハラもあくまで「疑惑」であったはずが、正式な認定が出る前にあたかも「事実」であったかのように報道されていました。
加えて、物品要求を意味する「おねだり」というキャッチーな言葉の乱用についても、反省が及びます。

大石「物事の本質が見えづらくなる。こどもでもわかるじゃないですか。『あの人、言ったんだ』と思ってしまいますよね」

「因果関係が不明」の段階にかかわらず、パワハラと職員の死を結びつけるような報道をしていなかったか、と振り返る大石。

テレビの限界とマルチメディア活用

今回の選挙は、パワハラの実態や自殺理由の真偽が不明のままだったことが、正確な報道を狂わせたのかもしれません。

また、議員全員が不信任を突きつけた県議会。
愛知県東郷町のパワハラ事例の場合、正式な調査結果が出る前だったため、議会は不信任を否決していました。
ところが、今回は不信任があっさり可決されてしまい「まるで真偽を問うような選挙になってしまっていた」と大石は指摘します。

さらに一歩、問題の核心に踏み込む大石。

大石「テレビメディアの限界はもう何年も前から感じています」

テレビの限界とは「ひとつのニュースで言えることは限られる」という尺の問題。
それゆえ大石はYoutubeやポッドキャスト、Xなど様々なメディアを活用して情報を発信しているといいます。

大石「真実を語らないメディア。それがテレビだと感じている人が多い」

続けて「テレビ報道が危機に立たされていることを教えて頂きありがとうございます」と感謝の意を表す大石。

一方で大切なのは、発信源がSNSかテレビかによらず、受け取った情報が正しいかどうかということ。
現在はこの知事選で展開された広報をめぐって、さらなる疑惑が起こっています。こうした氾濫する情報を、しっかり読み解く判断力が私達ひとりひとりにいま求められています。
(nachtm)
 

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