ボカロP・ユリイ・カノンが語る、唯一無二の世界観
「おどりゃんせ」「だれかの心臓になれたなら」などの楽曲で知られるボカロPのユリイ・カノンさんが、10月6日放送のCBCラジオ『RADIO MIKU』に出演しました。バーチャルシンガ―との出会いから、自身がプロデュースするプロジェクト「月詠み」についても、清水藍が尋ねます。
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2015年にボカロPとして初投稿。11作目の「だれかの心臓になれたなら」はYouTubeで6000万回再生超えを達成したユリイ・カノンさん。
2020年からはユリイ・カノンさん主宰・プロデュースの物語と音楽を展開するプロジェクト「月詠み」の曲が海外チャートでもランクインするなど、国内外で注目を集めています。
またスマホ音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下「プロセカ」)に登場するユニット「MORE MORE JUMP!」(通称「モアジャン」)に「イフ」を描き下ろしていることでも知られています。
まず過去のラジオ出演経験についてユリイ・カノンさんに尋ねた清水。
ユリイ・カノン「恐らく記憶に存在していないですね」
清水「『プロセカ放送局』を飛び越えて、この番組で初めてをいただきました!」
著名なボカロPとは、プロセカの公式配信番組『セカイ・ステーション』『プロセカ放送局』でインタビューしている清水ですが、ユリイ・カノンさんとはこの番組が初対面。
しかも地上波ラジオも初出演とのこと。
独特の感性が曲作りにも反映
ボカロとの出会いについて。
ユリイ・カノン「こどもの頃からニコニコ動画を観ていて。初音ミクがきっかけで起きた最初の黎明期の頃は傍目に眺めていた感じだったんです。
その後1~2年経ってからハチさんの『結ンデ開イテ羅刹ト骸』を偶然ランキングか何かで見つけて、言葉を失うくらいの衝撃を受けました」
「ハチ」とは米津玄師さんのボカロPとしての名義です。
ボカロの可能性を強く感じたものの、すぐに始めたわけではなく、しばらく経ってから思い出して使い始めたというユリイ・カノンさん。
清水「ハチさんの楽曲がいろいろある中で、まさかの『羅刹ト骸』というワードに驚いたんですけど。ユリイさんの楽曲は独特の世界観が展開されていて、ニコニコ動画のコメントでも『ユリイ節』なんて書かれてますよね」
曲作りについては、曲が先でサビ等のメロディができたら歌詞をぼんやり考え、出てきたワードから世界観を考え、その上でどんな楽器を使うかを決めていって曲ができあがるとのこと。
ユリイ・カノン「最初からこういう曲を作ろうと考えるよりは、導かれるように紡いでいるというか、行き当たりばったり」
今まで何人ものボカロPの話を聞いてきた中で、曲のモチーフや世界観を決めてからメロディや歌詞を考える方の方が多いと感じていた清水。
「ユリイさんのように曲を作る方は初めて会ったかもしれない」と話します。
物語を紡いでみたかった夢を実現
ユリイ・カノンさんがプロデュースするプロジェクト「月詠み(つくよみ)」。
物語と楽曲を融合する上で、言葉が大きな鍵を握っています。
ユリイ「それに関してはかなり先まで考えておいて、点々といくつか用意しておいて、伏線ではないですけど出してきたり、いずれ繋がるようにしたりとか」
昔なりたかったものがいくつかあり、その中に物語を作る夢を抱いていたユリイさん。
アプローチは以前から試していたそうですが、連作の作品群にしたいという思いが「月詠み」につながっているそうです。
清水「2020年から『月詠み』の活動をしてみて、いかがですか?」
ユリイ・カノン「大変です(笑)」
もともと曲作りが遅い方ということですですが、物語を紡ぐのはさらに遅筆だとか。
試行錯誤して書き上げていることも明かされました。
その後も、ユリイさんの作品に多い「生と死」のモチーフの原体験など、興味深い話がたくさん語られる貴重な回となりました。
(葉月智世)