初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」
8月8日、日向灘を震源とする震度6弱の地震が発生しました。これを受けて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されましたが、どのように過ごせばよいのでしょうか?10日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが南海トラフ地震臨時情報について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く運用開始以来初となる「臨時情報」
8日午後4時43分頃、日向灘を震源とする震度6弱、マグニチュード7.1の地震が発生し、津波も観測されました。
その後、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。
2017年の運用開始以来初めてのことで、驚いた方も多いことでしょう。
大石「我々もバタバタしてしまいました」
翌9日には神奈川県で震度5弱の地震が起きており、警戒感が高まっています。
とはいえ、この臨時情報は「確実な情報ではない」ことが前提だと大石。
大石「地震は今の科学ではまだ予知できませんから」
駿河沖から日向灘までを含む南海トラフ地震の想定域。今回の臨時情報は発生確率が相対的に高まっていることを示すものです。
大石「普通の暮らしを行ってください。普段通りの生活を行ってください」
慌てることなく、日頃の備えを再確認することが大切です。
悩ましい旅行や帰省はどうする?
臨時情報はどのように出されたのでしょうか?
地震発生後、専門家によって普段は月イチで開かれる評価検討会が臨時で行われました。
検討の結果、切迫度に応じて3種類の情報(巨大地震警戒、巨大地震注意、調査終了) が発表されます。
仮に「巨大地震警戒」が発表された場合、地域によっては事前避難が必要ですが、今回出されたのは「巨大地震注意」でした。
では、どんなことに気をつければよいのでしょうか?
名古屋大学の福和信夫名誉教授(地震工学) に話を伺った大石。
大石は以前、福和教授と能登半島地震の被災地をまわり、「どうしてこのような地震が起きてしまったのか?」「どういう対応を取ればよいのか?」「事前の備えはどうすればよいのか?」について教わったそうです。
大石「お盆休み始まるじゃないですか?旅行、帰省はいいのか?ここ、悩みません?」
臨時情報発表後、旅行のキャンセルが相次いでいますが、旅行を取りやめず、帰省先にも行くことを推奨する大石。
「予定をすでに決めているのであれば、取りやめないで」といいます。
「ただし、普段より注意深く過ごすことが大事」と続ける大石。
例えば、見知らぬ場所にはどんなリスクが潜んでいるかわかりません。海岸付近のような土地勘のない場所には近づかないのが賢明です。
避難場所の事前確認が大事!
また、液状化などのリスクを確認するのに便利なのが、各自治体が公開しているハザードマップ。どんな場所にどんなリスクがあるか、一目瞭然です。
大石「海水浴もどうぞ行ってください。ただ、注意点があります」
海水浴に行く際も「普段より情報に敏感になる必要がある」と大石。
もし揺れなどの危険を察知できた場合、高い場所に逃げることが命を守るうえで大切になります。どこに避難すればよいのか、事前に確認することが命運を分けます。
加えて大事なのが、家具の固定や備え(備蓄)。
家族の人数分の備蓄が必要な上、とりわけトイレ問題は深刻で、断水の可能性に備えて簡易トイレの備蓄は必須。屋外では、土砂災害リスクのある場所は崩れる可能性もあります。
大石「努めて冷静に過ごして頂きたい」
地震発生の可能性は高まっているものの、今回の臨時情報は「確実に地震が発生する」という情報ではありません。
パニックにならず、水や物資の買い占めは控えるよう呼びかける大石でした。
(nachtm)