2025中部・北陸実業団駅伝 直前企画「今年のチームを表す漢字一文字」各監督が語る決意と展望
11月9日、愛知県田原市で第65回中部・第55回北陸実業団駅伝が開催される。ニューイヤー駅伝への切符を懸けた戦いを前に、各チームの監督に今年のチームを漢字一文字で表現してもらった。その一文字には、各チームの現状と目標、そして選手たちへの思いが凝縮されている。
トヨタ紡織・白栁心哉監督が選んだ「飛」――大会新記録からさらなる高みへ
前回中部地区で大会新記録を樹立し優勝を飾ったトヨタ紡織。白栁監督が選んだ漢字は飛躍の「飛」だ。「ずっとニューイヤーでなかなか結果が出ず伸び悩んでいるところがありますので、今年は飛躍の年にしたいってことで、飛ぶの『飛』というところ。」と語る。中部地区では結果を残しながらも、本番であるニューイヤー駅伝で思うような成績を残せていない現状。その壁を突破し、新たなステージへ飛び立とうという強い決意が込められている。

トヨタ自動車・熊本剛監督が掲げる「調」――多様性が生むチーム力
前回中部2位のトヨタ自動車。熊本監督は調和の「調」を選んだ。「ベテランから、若手、中堅まで、非常にバランスよく調和が取れているかなと思いますし、いろんなキャラクターの選手がいたり。その中で和気あいあいとやっている部分もあるので、調和の『調』という漢字を選んでみました」。チーム内では時に「じゃれ合ったりするときもあります」という和やかな雰囲気がありながらも、「練習ではスイッチが入って真剣な表情で、やっぱり実践的な練習になればお互い競い合うといいますか、お互いがライバルと思ってやれている」と、オンオフの切り替えができているチームの姿を明かした。

トーエネック・松浦忠明監督の「再」――3位の再現を目指して
前回中部3位のトーエネック。松浦監督が選んだのは「再」だ。「再現性というのが非常に大事になってくると思います。長距離では特に地道でコツコツ積み上げる、積み重ねる種目だと思っていますので、いかにそのことが再現できるか」。いいトレーニングも試合も、それを再現できなければ意味がないという信念が伝わる。「去年、うまくたすきを繋いで3位になることができました。今年もその3位を厳しい状況ですけども再現して3位以内に入りたいと思ってます」と、具体的な目標を掲げた。
愛知製鋼・渡邉聰監督の「争」――世代を超えた競争がチームを強くする
前回中部4位の愛知製鋼。渡邉監督は「争」を選んだ。「チーム内でしっかり争って欲しいなっていうところでね。そういうふうにやっていければやっぱりチームレベルも上がってくるなと思いますので」。その背景には、若手の台頭がある。「今年は若手が結構今勢いがあったりするんで、ベテランがそれを感じている。そういうところでも争って欲しい」。若手とベテランの競争が、チーム全体のレベルアップにつながるという考えだ。
NTN・越井武吉監督が描く「成」――成功を成し遂げる決意
前回中部5位のNTN。越井監督が選んだ漢字は「成」だ。「成功したい、成し遂げたいっていう意味で『成』」と明快に語る。「やはり中部実業団駅伝で3位には入る、ニューイヤー駅伝でもベスト10に入ってくるっていう一つの成功を成し遂げたいっていう意味で漢字一文字で表すのであれば、『成』ですね」。3位以内という具体的な目標と、その先のニューイヤー駅伝でのベスト10入りという明確なビジョンが示された。
愛三工業・仲野旭彦監督の「新」――新監督と新家選手への注目
前回中部6位の愛三工業。仲野監督が選んだのは「新」だ。「新監督になりましたし、あとは新家の『新』っていうのもありますので、それをちょっとあげたいなと思っております」。新監督としての船出と、注目の新家選手の活躍に期待を込めた一文字。新しい選手の台頭とともに、チームの新たな歴史が始まろうとしている。
中央発條・佐藤雄治監督の「創」――100周年に刻む新たな歴史
前回中部7位の中央発條。佐藤監督が掲げた漢字は創造の「創」だ。「1989年から5位の壁っていうのを突破できていなくて、僕たちはそういった新しい歴史を作るという意味で『創る』というところにチャレンジをしています」。36年間破れなかった5位突破の壁への挑戦。さらに「今年中央発條は創業100周年になります。その創業100年の年にですね、新しい歴史を作るとそういったものをしっかり達成したいなということで『創る』とさせていただきました」と、会社の記念すべき年に新たな歴史を刻む決意を語った。
YKK・濱田征司監督が願う「楽」――33連覇王者の余裕と戦略
前回北陸地区で33連覇を達成したYKK。濱田監督が選んだのは「楽しむ」という漢字だ。「夏合宿とか苦しい思いしてきてるんで、レースは楽に楽しく走って欲しいなっていうので、『楽しむ』っていう漢字ですかね」。自身は「僕はあんまり追い込んだ感じはないですけど、選手は結構苦しんでたんで」と選手を追い込んできた。「できればもうちょっとやって欲しいなっていうのはありましたけど」と笑いながらも、「それがあったからこそ楽しんで、笑顔で終われるように」と選手たちへの思いを語った。

セキノ興産・松宮祐行監督の「新」――真のチャンピオンへ
前回北陸2位のセキノ興産。松宮祐行監督も「新」という漢字を選んだ。「新しい北陸でまず、真のチャンピオン、新しいチャンピオンを作りたいなという部分で、少しぐらい手応えは感じてますので、新しいチャンピオンなりたいなという部分と、やはりニューイヤーで30番以内っていう目標がありまして」。YKKの33連覇が続く北陸で、新しい歴史を作ろうとする挑戦者の意気込みが伝わる。「今まではニューイヤー出たらいいチームだったんですけど、今後はニューイヤーで上位を目指そうというチーム。去年から変わっていますので、そういう部分でも『新しい』という漢字にしました」と、チームの変革を強調した。
漢字一文字に込められた思い
各監督が選んだ漢字は、「飛」「調」「再」「争」「成」「新」「創」「楽」「新」と多彩だ。それぞれの漢字には、監督の思いとチームの現状、そして選手たちへの期待がぎゅっと凝縮されている。
11月9日の本番では、これらの漢字一文字に込められた思いが、どのような走りとなって現れるのか。ニューイヤー駅伝への切符を懸けた戦いに、大きな注目が集まる。


