体操男子種目別日本一が決定!パリ五輪団体金メダリストが集結!鉄棒では橋本大輝選手が"世界レベルの美しさ"で観客を魅了し優勝!
11月24日、三重県四日市市総合体育館で全日本体操種目別選手権が開催された。この大会は、個人総合とは異なり、種目ごとに技の完成度や難度を競うもので、選手たちはそれぞれの得意種目で頂点を目指した。
熱戦を繰り広げた男子種目
男子では、橋本大輝選手が鉄棒で優勝し、谷川翔選手はあん馬で、川上翔平選手は平行棒でそれぞれ優勝を飾った。女子では、中村遥香選手が段違い平行棒で、青田萌楓選手がゆかで、牛奥小羽選手が跳馬で、竹澤薫子選手が平均台でそれぞれ優勝を果たした。
男子種目別優勝者
種目 選手名 所属
ゆか 鈴木一太 仙台大学
あん馬 谷川翔 セントラルスポーツ
つり輪 高橋一矢 徳洲会体操クラブ
跳馬 藤井涼平 宮崎ひなたGYM
平行棒 川上翔平 徳洲会体操クラブ
鉄棒 橋本大輝 セントラルスポーツ
ゆか
仙台大学の新星、鈴木一太選手が全日本体操種目別選手権の男子ゆかで優勝を果たした。世界でも習得者の少ない超難度の技を決め切り、14.800点という高得点を記録した。東京五輪金メダリストの橋本大輝選手は、G難度のリ・ジョンソンやE難度のルドルフなど、高難度技を組み込んだ演技で挑んだ。着地も確実に決めたものの、14.700点で惜しくも2位に。岡慎之助選手は、ミスのない安定感のある演技を披露し、完成度の高さを見せつけた。しかし、14.400点に留まり、表彰台の頂点には届かなかった。
あん馬
男子あん馬は、セントラルスポーツの谷川翔選手が、圧巻の演技で15.233点をマークし、パリ五輪代表を含む強豪を退けて男子あん馬で優勝を果たした。E難度の開脚旋回を連続で決め、さらに着地技もE難度を成功させ、卓越した技術を披露した。パリ五輪日本代表で同種目6位の実力者、徳洲会体操クラブの杉野正尭選手は、完璧と思われる演技を披露するも15.200点で惜しくも及ばず。わずか0.033点差での2位となった。もう一人のパリ五輪代表、セントラルスポーツの橋本大輝選手は、E難度のウ・グォニアンやD難度のロスを組み込んだ高度な演技構成で挑んだ。着地も確実に決めたものの14.433点に終わり、谷川の高得点には遠く及ばなかった。谷川選手の圧倒的な演技は、パリ五輪代表2名を相手に譲らぬ強さを見せつけ、日本の新たなあん馬のエースとしての存在感を示した。
つり輪
徳洲会体操クラブの高橋一矢選手が、圧倒的な力強さを見せつけ、全日本体操種目別選手権の男子つり輪で2年ぶりの優勝を果たした。一つ一つの力技を丁寧に決め切り、着地まで完璧な演技で14.700点という高得点を叩き出した。昨年の覇者、相好体操クラブの金田希一選手も、得意の力技で勝負を挑んだ。安定感のある演技を披露し14.600点を記録したものの、わずか0.100点差で惜しくも連覇を逃した。今大会は、つり輪のスペシャリスト同士の真っ向勝負となった。両者ともに高い技術力を持ち味とする中、高橋選手が見せた卓越した力技の完成度が、わずかな差を生む結果となった。
跳馬
宮崎ひなたGYMの藤井涼平選手が、極めて僅差の接戦を制し、全日本体操種目別選手権の男子跳馬で優勝を果たした。1本目でヨーツーを完璧に決め、自己最高となる14.866点を記録。2本目はローチェで着地に一歩出たものの14.200点を獲得し、平均14.533点で頂点に立った。日本大学の髙久保光貴選手は、1本目でロペスを見事に決め切り、その時点での最高得点となる14.900点をマーク。しかし2本目のローチェで着地前に乱れが生じ14.133点。平均14.516点と、わずか0.017点差で惜しくも優勝を逃した。1本目では互いに自己最高・大会最高点を更新する素晴らしい演技を披露。僅差の勝負を制した藤井選手の安定感が、最後の最後で勝敗を分けた形となった。
平行棒
徳洲会体操クラブの川上翔平選手が、世界的にも珍しい「車輪マクーツ」を決めるなど、高難度技を連続で成功させ、15.400点の高得点で優勝を果たした。パリ五輪金メダリストの谷川航選手(セントラルスポーツ)は、完璧な演技で着地まで決め切ったものの14.933点。川上選手の圧巻の演技には届かず、4位に終わった。同じ徳洲会体操クラブの北園丈琉選手は、E難度の「ササキ(開脚前宙懸垂)」を成功させる高度な演技を披露。着地で一歩出たものの15.000点をマークし2位に入った。岡慎之助選手(徳洲会体操クラブ)も、演技中に若干のバランスの乱れがあったものの、着地は完璧に決め14.833点を記録。平行棒の得意種目で挑んだ三輪哲平選手(セントラルスポーツ)は、バーへの接触による減点があり12.966点に終わった。
鉄棒
パリ五輪団体金メダリストが集結した男子鉄棒決勝で、東京五輪個人総合王者の橋本大輝選手(セントラルスポーツ)が、持ち味の美しさを存分に発揮。カッシーナからコールマンを完璧に決め、着地まで極め、15.466点の高得点で優勝を飾った。昨日の団体戦で鉄棒により逆転優勝を決めた徳洲会体操クラブからは、パリ五輪金メダリストの杉野正尭選手が、コバチからコールマンという難度の高い技の組み合わせに加え、新技のマラスも披露。着地も決めたものの15.133点で、橋本選手の高得点には届かなかった。同じく徳洲会の川上翔平選手は、G難度のカッシーナを含む離れ技の連続で会場を沸かせ、着地も決めて15.233点の好スコアを記録。もう一人のパリ五輪金メダリスト、岡慎之介選手(徳洲会体操クラブ)は、得意の美しい演技を目指したものの、バランスを崩す場面があり13.300点に終わった。パリ五輪での金メダル獲得の立役者となった鉄棒。その舞台で輝きを放った選手たちによる今大会は、橋本選手が改めて日本鉄棒界の頂点に立つ結果となった。