警察官をかたり「捕まえに行きます」 “劇場型”で脅す詐欺電話も 巧妙な手口の実態に迫る

最近被害が急増している警察をかたる詐欺電話。番組スタッフにかかってきた詐欺電話に出てみると、「捕まえる」と脅されるなど巧妙な手口が明らかになりました。愛知県ではことし3月末までの特殊詐欺被害額が13億6000万円と去年の倍に達しており、国際電話を使った警察官をかたる詐欺が特に増加しています。
「岡山県警捜査二課」を名乗る男の電話

ことし3月、番組スタッフのもとに「岡山県警捜査二課のタナカ」と名乗る男から電話がありました。スタッフの名前や住所も知っており、犯罪の証拠物件からスタッフ名義のカードが見つかったと話します。
(ニセ岡山県警)
「これからこの事件について、詳しく説明していきたいと思うんですけど。お時間をつくっていただけるのは、お間違いなかったでしょうか?」
(番組スタッフ)
「どのくらいかかるんですかね?」
(ニセ岡山県警)
「だいたい1時間から1時間半くらいですかね」
(番組スタッフ)
「そんなには、ないかなぁ…」

すると相手の態度が一変し、「じゃあ捕まえに行きます」「逮捕」と脅し始めました。スタッフが「何の容疑で?その前に捜査するなら、捜査する義務があるでしょう?」と問い返すと、「その前にじゃねぇんだよ!」と激高。最終的に「岡山県警の捜査二課の電話番号を教えてください」と言うと、相手は一方的に電話を切りました。通話時間は47分41秒でした。
特殊詐欺の調査を行っている名古屋市中区の「トビラシステムズ」によると、番組スタッフが受けた電話は国際電話で、末尾が「110」となっていました。

(トビラシステムズ セキュリティリサーチャー 柘植悠孝さん)
「警察からの電話だと思わせるために、末尾に『110』を使った番号」
詐欺電話は以前は「050」から始まるIP電話が多かったものの、一昨年頃から追跡しにくい国際電話が急増しています。さらに、警察を連想させる末尾「0110」からの着信は、去年に比べ約850倍にも増えているそうです。
劇場型詐欺の巧妙な手口

トビラシステムズが記録した別の詐欺電話では、まず携帯電話会社を名乗る人物が電話をかけてきて、「この番号から迷惑メールの送信、また被害の通報を受けています」と不安をあおります。そして「福岡県警察本部捜査二課に内線番号で緊急通報としておつなぎいたします」と言って、別の人物に電話をつなぐ「劇場型」と呼ばれる手口を使っていました。
さらに警察官を名乗る男はLINEのビデオ通話で偽物の警察手帳を見せ、信用させようとします。
(トビラシステムズ セキュリティリサーチャー 柘植悠孝さん)
「偽物の警察手帳を見せるとか、偽物の逮捕状を見せて信じ込ませる。そのためにビデオ通話を悪用する手口」

最終的には「犯罪に使った銀行の通帳とキャッシュカードが200点以上押収されています」「あなたのお金の流れを調査します」などと言って、指定口座に数百万円を振り込むよう要求してきます。
別の番組スタッフが受けた詐欺電話では「岐阜県警の警察官を名乗る男が、LINEを通じて220万円の振り込みを指示。「詐欺ですよね、これ」と言うと、すぐに電話を切られました。

(トビラシステムズ セキュリティリサーチャー 柘植悠孝さん)
「話せば話すほど相手の巧妙な話術に乗せられてしまうので、接点を持たない。怪しいなと思ったらすぐ切る」
トビラシステムズでは、先月から国際電話と末尾が「0110」の番号に自動で警告文を表示したり、着信拒否したりする詐欺対策のサービスも始めています。
警察になりすまし、金をだまし取る悪質な詐欺電話。携帯電話を持っているだけで誰もが被害者になりうる状況が広がっています。
CBCテレビ「newsX」 2025年5月1日放送より
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