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子どもたちの体作りをサポート!「認定スクールトレーナー制度」いよいよ始動へ

子どもたちの体作りをサポート!「認定スクールトレーナー制度」いよいよ始動へ
CBCテレビ:画像『写真AC』より「運動会」

公園から次第に遊具の数が減っている。学校の運動会から危険を理由に競技が姿を消している。いずれも、2024年にWEBでの拙コラム(東西南北論説風)で取り上げたテーマである。その背景には、子どもたちの運動不足と体力低下という時代背景があるのだが、そんな中、子どもたちの体作りをサポートしようという新たな制度が産声をあげた。それが「認定スクールトレーナー制度」である。

体作りのサポートへ

「認定スクールトレーナー」は、学校現場で子どもたちに、それぞれの体に合った運動方法などを指導する“専門家”である。心のケアをする「スクールカウンセラー制度」は、1995年(平成7年)に学校に導入されたが、こちらは精神面のサポート。「認定スクールトレーナー制度」は、体作りの面でのサポートをしようという目的で、2024年(令和6年)夏に誕生した。

子どもたちのケガ増加

CBCテレビ:画像『写真AC』より「運動会・リレー」

児童や生徒が、体育の授業や放課後の部活動でケガをするケースが増えている。新型コロナ禍の3年間こそ、自宅学習などが多かったためその件数は減ったものの、再び増加する傾向だ。冒頭に触れたように、公園で遊ぶ子供たちの姿は少なくなり、運動会でも組体操や騎馬戦などの種目も減りつつある。体を使う機会が減ると共に、その一方で思わぬケガが増えてきた。

やり過ぎと運動不足の二極化

今回の「認定スクールトレーナー制度」を始めた公益財団法人「運動器の健康・日本協会」によると、最近の子どもの体は「スポーツのやり過ぎでケガや障害を負う」「運動不足によって体力や運動能力が低下して、生活習慣病にかかる」、この2つに分類されるという。「やり過ぎ」と「運動不足」どちらも極端であり、まさに“二極化”と言えよう。

新たな健康診断項目

CBCテレビ:画像『写真AC』より「鉄棒の練習」

そんな中、2016年(平成28年)に、学校で新しい健康診断項目が加わった。「運動器検診」というもので、内容は、体のバランスをチェックする「片足立ち」、下半身の柔軟性をチェックする「しゃがみ込み」、そして、上半身の柔軟性をチェックする「両腕の真上あげ」などである。しかし、従来の校医には内科や小児科の専門医が多く、こうした体についての指導は十分に行き届かなかった。そこで「認定スクールトレーナー」の出番となった。

理学療法士の資格が必要

「認定スクールトレーナー」になるには、国家試験での「理学療法士」という資格が必要となる。座る、立つ、歩くなど人間の基本となる動作、そのための体作りを指導する専門家であり、これまで主に、病院や高齢者施設で病気や高齢で体を動かすことが難しくなった人たちを支援してきた。その「理学療法士」を学校現場に派遣して、子どもたちを対象に指導しようというのが、この「認定スクールトレーナー」なのである。

初の認定試験は人気殺到

認定試験は、40単位の基礎研修カリキュラムを受講した後に行われる、学校保健指導、学校教育、解剖学、ケガの起きる場所や種類の理解など多岐にわたる。2024年の第1回認定試験の倍率は、15倍を超す“狭き門”だった。それだけ注目を集め、また、現場から求められている役割なのである。

学校保健室とスクラム

「認定スクールトレーナー」は、学校の保健室とも協力して、児童や生徒に「良い姿勢」「正しい歩き方」を教えたり、運動前後のストレッチなどを指導したりする。また、体育の教師やクラブ活動の顧問や指導者に対しては、ケガの防止や、再発を防ぐ運動プログラムなどを指導する。学校を舞台にして、総合的に「子どもたちの体作り」を支えることになる。

今後の展開について

CBCテレビ:画像『写真AC』より「かけっこ」

130人の1期生は、全国の都道府県に2~3人ずつ配置された。初年度はそれぞれの派遣先の自治体で、同じ「理学療法士」仲間を交えて勉強会を開催するなど、基盤作りを進めている。11月には、オンラインでの意見交換会も開催した。早いところでは、2024年度中に学校現場での活動スタートをめざす。しかし、その数はまだまだ足りない。

「運動器の健康・日本協会」の理事で、東京健康リハビリテーション総合研究所長の武藤芳照東京大学名誉教授は、「特別非常勤講師の資格を手にできるよう働きかけをすると共に、文部科学省の予算に組み入れて、全国の学校にくまなく配置できることをめざしたい」と今後の目標についてコメントを寄せた。

将来は現在の「スクールカウンセラー」が、新しい「認定スクールトレーナー」と共に、言わば“車の両輪”となって子どもたちの心身を支えていくことをめざす。そんなバックアップ態勢への、確かな一歩が始まった。
          

【東西南北論説風(542)  by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

(資料提供)公益財団法人「運動器の健康・日本協会」

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