トンネルの中に木の屋根!?ジブリ感が漂う「此の木隧道」とは
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニア歴25年の鹿取茂雄さんと、石川県にある“隧道”を巡ります。※安全に留意して撮影しています
山中に眠る!崩れかけの「大平隧道」
鹿取さんと一緒に旅をするのは、プロギャルのぱにぱにぱにぱにともちんぱさん。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「これまでに見たことがないような特殊な隧道を、ともちんぱさんに見せたい」
2人は、道マニア界でもファンが多いという珍しい形をした隧道を目指します。目的の道へ行く前に…
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「以前から行ってみたいと思っていた隧道がある。ぜひ行っておきたい」
訪れたのは、能登半島にある七尾市。大自然でつづら折りの山道をしばらく歩き、現れたのは昭和41年竣工の「大平隧道」。隧道の上には「大平隧道」と書かれた扁額(へんがく)があり、入口の両脇には竣工した年月や工事に携わった人の名前が書かれています。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「入口のコンクリートを残して、内部は崩壊している」
隧道の中に入って内側から入口を見てみると、天井には大きな穴が開いています。反対側の天井にも同じように大きな穴が。
鹿取さんの考察では、崩れやすい出入口を守るために後からコンクリートで補強し、その際に電気のない隧道内に光が届くよう、あえて隙間を作ったのではないか、とのこと。「大平隧道」は、長い間使われないまま今も山の中で眠っています。
隧道の中に木製の屋根!?地域住民が造った「此の木隧道」
続いて訪れたのは、七尾市大田町。鹿取さんが、ともちんぱさんを連れて行きたかったという隧道へ。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「初めて行ったとき、こんな隧道あるんだってビックリした」
山道を歩いていると、一風変わった隧道が突如出現!道マニア界でもファンが多いという「此の木(このき)隧道」だそうで、隧道の内側が木製の屋根で覆われています。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「特徴は、なんと言ってもこの独特な造り。高さ制限の標識があるのも興奮ポイント」
隧道が崩れないよう、隧道内には天井や壁を支える「支保工(しほこう)」があり、「木の支保工が残っている隧道は珍しい」と鹿取さんは言います。
「此の木隧道」について近くの集落で聞き込みすると、この地域で生まれ育ったという81歳の男性に話を聞くことができました。
(男性)
「山の方に畑があって、そこへ行くための道。住民で割り当てして、2年くらいかけて隧道を造った」
この男性は「此の木隧道」の建設に最初から完成まで携わっていたそうで、完成したのは昭和35年のこと。隧道までの道にレールを敷き、手動のトロッコに掘った土を乗せて下まで運搬。さらにその土を利用して、隧道につながる道も造ったそう。
また隧道内の支保工は、鉄やコンクリートよりも経費のかからない木材でしっかり補強できる構造を試行錯誤した結果、あの独特な形に行き着いたのではないか、とのことでした。
この60年で劣化した木の入れ替えを3回行うなど、年々この道を使う人が減っても、地域の人たちで定期的に手入れしているそうです。
8月29日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より