クレーンでミリ単位の調整!巨大床版は1枚約20トン!?東名高速リニューアル工事の裏側
全国の道に特化した番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は特別企画!NEXCO中日本全面協力のもと、高速道路リニューアル工事の裏側を見学しました。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)
東名高速道路リニューアル工事
1968年に開通してから50年以上経過した東名高速道路。長い年月を経て老朽化した道路を甦らせるため、2016年から現在にかけてリニューアル工事が行われています。
中でもアスファルト舗装の下にある鉄筋コンクリートの“床版”は、橋を造る上で欠かせない重要な部分。大井松田IC~御殿場IC間の所領橋では、まさにその床版の取り替え工事が行われています。
老朽化した床版の取り替え
アスファルト舗装が剥がすと、床版が剥き出しの状態に。老朽化した床版を長方形にカッターで切り取り、クレーンで吊り上げて撤去。そこへ新しい床版がはめこまれていきます。
巨大な床版1枚の重さは15~20t。2か月強くらいの期間で所領橋(170m)全ての床版が取り替えられるとのこと。新しい床版と交換することで強度が増し、安心安全に通れる高速道路に生まれ変わります。
新しい床版には長持ちさせる工夫が満載
元の床版は現場でコンクリートを流して造られていましたが、新しい床版は工場で完成させ現場まで運ばれます。床版の中に鉄筋とはまた別の鉄の棒を通すことで、コンクリートが圧縮され強度が高まります。
新しい床版は、今後100年持つように設計されているのだとか。さらに床版同士を繋げるボルトには、塩害から守る為に鉄筋を防錆するエポキシ樹脂塗装がされています。
新しい床版を設置
古い床版が取り除かれた場所には、新しい床版がクレーンではめ込まれていきます。少しのズレも許されない緊迫した現場では、床版の位置をミリ単位で厳密に調整。
床版1枚あたり、約20分かけて設置。床版の設置が全て終わったらコンクリートで固めていき、最後にアスファルト舗装して工事が完了します。所領橋だけで床版74枚、約3か月以内で取り替えられます。
VRシステムで作業向上
東名リニューアル工事に導入されたのが、最新技術がつまったVRシステム。2次元の図面より、視覚的な情報で関係者が周知できるように。計測機能などを駆使して工事の進行状況を随時3D化し、それを事前に確認してから作業をすることで安全性と効率が向上しました。
大井松田IC~御殿場IC間のリニューアル工事は、3月24日に終了予定。完成したら、多くの人が関わって維持される高速道路に思いを馳せながら走ってみてはいかがでしょうか。
2月28日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より