「完璧を目指さない」時短勤務で店長になった女性の柔軟な働き方
名古屋市東区の「マックスバリュ砂田橋店」。店内を軽やかに歩きながら、スタッフ一人ひとりに明るく声をかける女性がいます。彼女は、店長を務める南平裕子(なんぺい・ゆうこ)さんです。
名古屋市の「令和7年度女性の活躍推進企業」で優秀賞を受賞したマックスバリュ東海株式会社(以下、マックスバリュ)。その現場で南平さんは、育児中の短時間勤務のまま店長を務めるという、社内でも前例のない働き方に挑戦してきました。
「時短で店長として働く」と聞くと、特別な才能がある人の成功談のように感じるかもしれません。けれども南平さんの答えはとてもシンプルでした。
それは、頑張りすぎないこと。そして、できないことを正直に伝えること。
その積み重ねが、自分らしく働ける道を開いていきました。
身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を伝え、「今」を生きる女性たちを応援したい—— そんな思い
からCBCテレビが立ち上げた「me:tone編集部」が、南平さんの話を伺いました。
弱みを見せることで、時短勤務の店長になった
マックスバリュ砂田橋店の広い売り場は、平日の昼間でも人の流れが途切れません。その中を南平店長は笑顔で歩き、バックヤードへ顔を出してはスタッフに明るく声をかけます。

大きな店舗を統括する店長といえば、パソコンの前で数字を確認しながら、スタッフに厳しい指示を出す……そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし南平さんからは、そんな重苦しさは少しも感じられません。
me:tone編集部:「店長だからこその重圧はありませんか?」
南平さん:「私、弱みを全部スタッフに見せています。隠すことはないですね」
この一言が、南平さんの働き方を象徴しています。
南平さんが店長に抜擢されたのは、2017年。当時はお子さんがまだ小学生で、時短勤務を利用している最中でした。時短のまま店長を務めるためには、会社、そして家族の協力が必要だったといいます。
南平さんは1997年に入社し、そのキャリアは畜産(精肉)担当から始まりました。当時の畜産担当は力仕事が多く、「男性が担当するのが当たり前」という雰囲気も残っていたそうです。実際、20キロの肉を抱えて作業することもありました。それでも、厳しい環境を嘆くのではなく、「どうしたらこの環境で自分の力を発揮できるか」と前向きに考える姿勢で、周囲から信頼を得てきました。
産後5か月で職場復帰。周りに頼ることで仕事に注力
南平さんは2007年、第一子出産後わずか5か月で職場に復帰しました。
me:tone編集部:「かなり早い復帰だと思いますが、なぜ5か月で復帰したのでしょう?」
南平さん:「戻らなきゃという義務感と、早く仕事をしたい気持ち、両方あったんです」
職場を長期間離れることで周りに迷惑をかけたくないという思いと同時に、仕事が好きで早く現場に戻りたい気持ちもあったといいます。

早期復帰の背景にあったのは、保育園の入園タイミングです。出産は10月で、4月の入園時期を逃すと預け先が確保できないかもしれないという現実がありました。
さらに当時は夫の両親と同居しており、家事育児の支援を得られる環境も復帰を後押ししました。
南平さん:「頼れる家族がいたからこそ復帰できました。義母は育児に加えて、毎朝私のお弁当をつくってくれるほど、ありがたい存在でした」
もう一つ印象的だったのは、上司の言葉です。復帰を急ぐ南平さんに対し、上司はこう声をかけたといいます。
「もっと休んでもいい。あなたにとって子育てが今の最大のミッションであり、仕事復帰は二の次でいい」
早く仕事に戻るべきだという焦りを抱えていた南平さんの肩の力が、ふっと抜けた瞬間でした。この言葉があったからこそ、気負わずに復帰を迎えられたといいます。
南平さんは家族や職場の助けをありがたく受け取り、その分だけ自分の仕事に全力を注いできました。
頼れる人がいなくなり、完璧を手放した
会社や家族の協力で回っていた生活が、ある時期に一変します。2013年の本社移転に伴う引越しです。義理の両親の助けが得られない環境になり、家事と育児のすべてが夫婦の肩にのしかかりました。
「子どもが生まれた頃より、あの時期のほうがしんどかったです」と振り返ります。
me:tone編集部:「何が一番大変でしたか?」
南平さん:「たとえば保育園のお迎えの時間に間に合うかとか、今日のご飯をどうするかとか。忘れ物を届けてあげたいのに届けられないのも、もどかしかったです。一つひとつは小さなことですが、積み重なっていくと、しんどくなりますよね。」

やるべきことは山ほどあるのに、時間も気力も足りず、自分を追い込んでしまう。子育てをしながら働く人なら、身に覚えのある感覚ではないでしょうか。
そんな時、南平さんが手放したのは「毎日しっかりやらなくてはならない」という思い込みでした。
たとえば掃除は毎日やるのをやめ、代わりに「掃除の日」を決めました。その日は家族と役割分担をしながら徹底的に掃除に取り組みます。その結果、それ以外の日に家が少々汚れていても、自分を責めないようになったといいます。
完璧を目指さず、自分が心地よく過ごせる工夫を見つけていったからこそ、家事と育児の両立が少しずつ苦痛ではなくなっていきました。
完璧を目指さず、人を頼りながら働いてきた南平さん。その姿勢は、やがて会社のモデルケースへとなっていきました。
「できないことを正直に伝える」——その選択が、会社や地域にどんな変化を生んでいったのか。後半では、時短店長としてのさらなる挑戦に迫ります。
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