「がん」「肉腫」危険な「しこり」…セルフチェックが大切!危険なしこりの見分け方
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身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東京科学大学病院 整形外科 学会認定骨・軟部腫瘍医 医学博士 佐藤信吾先生です。
今回のテーマは「〜経験談から学ぶ!〜危険なしこりの見分け方」
皮膚や皮膚の下に出来ることがある「しこり」。その多くは良性ですが、なかには悪性のものもあり、「がん」や「肉腫」と診断されることもあるそうです。そんな危険な「しこり」から身を守るには、セルフチェックが大切なのだとか。そこで今回は、危険な「しこり」の見分け方や「しこり」ができたときにどうすれば良いかなどを専門医に教えてもらいました。
しこりの基礎知識
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<しこりとは一体何?>
しこりとは、皮膚や皮膚の下にできる腫瘤(コブ・できもの・はれもの)のこと。身体の至る所にできる可能性があり、硬さ・大きさ・痛みの有無はしこりの種類によって異なるそうです。
<しこりが消えることもある?>
風邪やワクチンの注射などで周辺のリンパ節が腫れると、しこりとして触れることがあるそうです。その場合は、時間が経つとだんだん小さくなることもあるのだとか。先生によると、一時的なしこりは危険度の低い良性の場合が多いそうです。
<「腫瘍」にも良性と悪性がある>
「腫瘍」と聞くとがんをイメージしやすいですが、先生によると、腫瘍にも良性と悪性があるとのこと。良性は他の組織に転移しませんが、悪性は他の組織に転移し、放置すると命に関わることもあるそうです。
<しこりの約9割は良性>
先生によると、しこりの約9割は良性。良性のしこりには、手首などにできる「ガングリオン」、皮膚に角質などが溜まってできる「粉瘤」、脂肪細胞が大きくなってできる「脂肪腫」などがあるそうです。良性のしこりも自己判断せず、気になったら病院で受診してください。
危険なしこり(1)「悪性リンパ腫」
<「悪性リンパ腫」とは?>
悪性リンパ腫とは、免疫を司る白血球の一種「リンパ球」ががん化した「血液のがん」。
年間10万人あたり約30人が発症するといわれています。首・脇・脚の付け根などリンパ球が多いリンパ節にしこりができて発覚することが多く、原因不明の発熱が続いたり、意図しない体重減少などの症状が現れたりすることもあるそうです。
<危険なしこりの見分け方「痛みがある」>
しこりを触ったり押したりすると「痛みがある」場合は、危険なしこりの可能性があるとのこと。必ずしも痛みが生じるわけではないそうですが、悪性を疑う症状の1つだそうです。
危険なしこり(2)「ユーイング肉腫」
<「ユーイング肉腫」とは?>
ユーイング肉腫は、主に小児から若年成人に多く発症する骨軟部肉腫。肉腫とは、皮膚よりも下の組織(皮下脂肪・筋肉・骨)にできる悪性腫瘍のこと。手足にできやすいそうですが、胴体や首にもできるのだとか。放置すると、肺などの遠い組織に悪い細胞が転移して命に関わることもあるそうです。
<危険なしこりの見分け方「急に大きくなる」「触っても動きにくい」>
悪性の腫瘍は、周囲の組織の栄養を奪いながら細胞分裂を繰り返し、どんどん大きくなります。さらに、周囲の組織と癒着するので触っても動きにくいのだとか。そのため、しこりが「短期間で急に大きくなる」「触っても動きにくい」場合は、危険なしこりの可能性があるそうです。
危険なしこり(3)「耳下腺がん」
<「耳下腺がん」とは?>
耳下腺がんとは、耳の下にある耳下腺にできるがんだそうです。
<危険なしこりの見分け方「痛みや麻痺を伴う」>
悪性のしこりは、他の組織に浸潤する傾向があります。特に耳下腺の場合は、耳下腺の中を顔面神経が通っているため、顔面神経に影響が出ると「痛み」や表情筋の「麻痺」といった症状につながることがあるそうです。
しこり別 おすすめの診療科
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<皮膚の表面のしこり>
皮膚の表面にできる動くようなしこりは、「皮膚科」が専門だそうです。
<首から上の皮膚よりも深い組織にできたしこり>
皮膚よりも深い所の組織にできたしこりで、首より上の場合は「頭頸部外科」「耳鼻咽喉科」が専門だそうです。
<首から下の皮膚よりも深い組織にできたしこり>
首から下の皮膚よりも深い組織にできたしこりに関しては、「整形外科」が扱うことが多いそうです。また、整形外科医の中には「骨・軟部腫瘍医」という悪性腫瘍の専門医が全国に250名ほどいるのだとか。詳しく診てもらいたい場合は、日本整形外科学会のホームページをご確認下さい。
<早めの対応が大切>
痛みがないと放置してしまいがちですが、先生によると、しこりが大きくなればなるほど治療が難しくなってしまうとのこと。さらに、悪性の細胞が転移することもあるので、気になるしこりを見つけたら早めに病院を受診しましょう。
9人に1人!?女性に急増「乳がん」
<「乳がん」とは?>
乳がんとは、乳腺にできる悪性腫瘍のことで、乳房のしこりが主な症状。女性ホルモンの変化や遺伝的な要因で30代の後半から患者数が増え始め、閉経後70代でピークを迎えるそうです(※男性も乳がんになる可能性があります)。
<良性か悪性かを見分けることはできる?>
乳がん以外にも、良性の「線維腺腫」や「嚢胞」という水のかたまり、「乳腺症」という良性の疾患も乳房にしこりを作ることがあります。先生によると、患者自身が良性のしこりか乳がんなのかを見分けることは難しいそうです。
<乳房を意識する生活習慣「ブレスト・アウェアネス」>
乳がんは、女性の9人に1人がかかると言われています。最近は、乳がん早期発見のために、「ブレスト・アウェアネス」という乳房を意識する生活習慣が重要視されているそうです。
<全ての女性に身につけてほしい「ブレスト・アウェアネス」>
(1)自分の乳房の状態を知る
(2)乳房の変化に気をつける
(3)変化に気づいたらすぐに医師に相談する
(4)40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
≪ポイント≫
ブレスト・アウェアネスのポイントは上記4つ。まずは、入浴時や着替える時などに胸を触って普段の自分の胸の状態を知ることが大切。毎日続けることで異変があった時に気づきやすくなるそうです。チェックすべきは「しこりがないか」「左右を比べてくぼみなどがないか」「乳頭から分泌物が出ていないか」。変化に気づいたら、すぐに医師に相談しましょう。そして、40歳になったら2年に1回乳がん検診を受けることも大事だそうです。
<マンモグラフィーの痛みを軽減する方法は?>
先生によると、痛みを少なくマンモグラフィーを受けるポイントは2つ。1つ目は「月経前にマンモグラフィーを受けるのは避ける」こと。月経前は、胸が張っていてマンモグラフィーで圧迫すると痛みをより感じやすいそうです。2つ目のポイントは「力を抜く」こと。力むと痛みが強くなるそうなので、なるべくリラックスして検査を受けるようにしましょう。
(2025年2月16日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
番組紹介
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