「筋トレ」はなぜ必要?…糖尿病やがんリスクを下げる!?専門家に学ぶ「簡単筋トレ」【医学博士 金子博徳】
サマリーSummary
ドクター:北里研究所病院 副院長 整形外科部長 医学博士 金子博徳
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、北里研究所病院 副院長 整形外科部長 医学博士 金子博徳先生です。
今回のテーマは「〜筋肉は何歳でもつけられる!〜コツコツできる!“貯筋術”」
筋トレを継続すると糖尿病やがんなどのリスクを下げる事が分かっているそうです。とはいえ、筋トレにはキツくてツラいイメージがあり、いざ始めてみても長続きしない…なんて方も多いのでは?そこで今回は、日常生活の中でできる「簡単筋トレ」を専門家に教えてもらいました。
筋トレはなぜ必要?
<筋肉が減るとどうなる?>
筋肉は、何もしないと30代から徐々に衰え始め、50歳を超えると歩く速度も落ちてしまうそうです。実際、年齢による筋肉量の変化を見ると男女ともに30代から徐々に減っていき、50代に差し掛かると急激に減少。放っておくと身体が弱ってしまうそうです。
<ロコモティブシンドロームに要注意!>
ロコモティブシンドロームとは、筋肉量の減少などが原因で運動機能が低下した状態の事。それが長く続くと、将来要介護や寝たきりになるリスクが高くなるそうです。
<筋肉は何歳からでもつけられる!>
筋トレには、基礎代謝を上げ脂肪燃焼や姿勢の維持を助ける効果が期待できるそうです。先生によると、筋肉は何歳からでもつけられるのだとか。最初は「本当に効果があるの?」と思うかもしれませんが、とにかく続ける事が“貯筋”のコツだそうです。
筋肉に自信のないあなたに!貯金ならぬ“貯筋”チェック
まずは、今の“貯筋額”をチェックしてみましょう。
<簡単!貯筋チェック>
▼高さ40センチ程度の椅子に座る
▼座った状態から片足で立ち上がり3秒間キープする
(※2名以上で行い安全に配慮してください)
下半身の筋肉は、身体全体の約60%を占めているため、立ち上がる事すらできない場合は、全身の筋肉が衰えている可能性が高いそうです。そして、3秒間キープできた方も油断は禁物。何もしないと筋肉は減っていくので筋トレをして“貯筋”しましょう。
自宅でできる簡単貯筋術(1)食卓筋トレ
<食事の前にできる!「食卓簡単スクワット」>
▼足全体に自重をかけながら3秒間かけて座りと立ちを繰り返す
▼朝昼晩で1セット10回行う
(※スクワットが辛い方は椅子に座り切っても効果があります)
≪ポイント≫
ゆっくり自重をかけて行うのが、スクワットのポイント!食事の前に行えば1日30回のスクワットを行う事が可能です。
<鍛えられる筋肉は「大腿四頭筋」>
この筋トレで鍛えられる筋肉は「大腿四頭筋」。ひざを伸ばすために最も必要な筋肉だそうです。この筋肉が弱っていると、歩行中にひざが自分の体重に耐えられなくなり、膝が曲がったり、身体に負荷がかかったりしてしまうのだとか。すると、ひざや身体にも痛みが出て、外出さえ億劫に…。そうなれば、さらなる筋力低下を招き、将来寝たきりになるリスクも高まってしまうそうです。
<食事中にできる簡単筋トレ>
スクワットが余裕な方は、食事中の筋トレもおすすめ。方法は「背筋をピンと伸ばして食事をする」というもの。背筋に関係するのは、肩甲骨を動かす要となる筋肉「菱形筋(りょうけいきん)」。この筋肉が弱ると、肩の可動域が狭くなり上手く腕を動かせないため、肩こりの原因につながるそうです。
自宅でできる簡単貯筋術(2)かかと落とし筋トレ
<テレビを観ながらできる「かかと落とし筋トレ」>
▼ソファの背もたれなどに手をついた状態でつま先を伸ばして立つ
▼3秒間キープした後かかとをストンと床に落とす
<鍛えられる筋肉は「ヒラメ筋」「腓腹筋(ひふくきん)」>
ふくらはぎには、ヒラメ筋と腓腹筋という2種類の筋肉があります。これらは、階段を登ったり、踏ん張ったりする時に最も必要とされる筋肉なのだとか。さらに、ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」ともいわれ、下半身の血液を心臓に勢いよく戻す働きがあります。そのため、ふくらはぎの筋肉が弱まると心臓が血液を吸い上げる負担が増え、動悸や息切れの原因につながるそうです。
<かかと落としが楽になるアドバイス>
かかと落としがツラい時は、足の下に木の板などを置いて行うとかかとが上げやすくなるそうです。
自宅でできる簡単貯筋術(3)掃除機を使った筋トレ
<掃除をしながらできる「掃除機を使った筋トレ」>
▼掃除機を押し出す時にしっかり腕を伸ばしきる
▼掃除機を引く時にひじが90度になるように腕を引く
<鍛えられる筋肉は「上腕二頭筋」「上腕三頭筋」>
この筋トレでは、上腕二頭筋と上腕三頭筋が鍛えられ、二の腕のダイエットにもなるそうです。
自宅でできる簡単貯筋術(4)寝室筋トレ
<寝る前にできる「寝ながら腹筋」>
▼頭を上げきらず へそを見る程度に上体を起こす
▼そのまま10秒間キープ
▼夜寝る前に3セット行うのが理想的
(※腰に痛みのある方は無理のない範囲で行なってください)
<鍛えられる筋肉は「腹筋」>
腹筋には、内臓を正しい位置にキープさせる役目があります。そのため、腹筋が弱まれば内蔵が下がり、胃や腸などが上手く機能せずに血流が悪化、身体の基礎代謝も下がってしまうのだとか。すると、1日の消費エネルギー量も減り、糖尿病などの生活習慣病のリスクが上がってしまうそうです。
<寝ながら腹筋が楽になるアドバイス>
寝ながら腹筋がやりづらい場合は、手を太ももに置き、手の甲を見ながら頭を持ち上げると少し楽に行えるそうです。
尿もれに悩む方へオススメ!自宅でできる簡単筋トレ
<骨盤を動かす筋トレ>
▼ベッドや床で仰向けになり両ひざを立てて脚を肩幅に開く
▼肛門を締めて息を吐きながらお尻を持ち上げて10秒間キープ
▼上記を5回繰り返す
<鍛えられる筋肉は「骨盤底筋」>
尿もれの原因は、骨盤の下にある骨盤底筋の筋力低下が原因だといわれているそうです。尿もれにお悩みの方はぜひ続けてみてください。
いつもの食事にひと工夫!筋肉が喜ぶ食材
効率よく筋肉をつけるために、筋肉が喜ぶ食材をご紹介します。先生によると筋肉は筋繊維を回復する時に大きくなるので、筋トレ後の1時間以内に食事を摂ると良いそうです。
<鮭のホイル焼きには「しいたけ」をプラス!>
しいたけには「ビタミンD」が豊富に含まれています。ビタミンDは、筋肉中のたんぱく質の合成を促進させる力を持っているため、たんぱく質を含む食材と合わせて食べれば、筋肉量アップが期待できるのだとか。そのため、たんぱく質が豊富な鮭を食べる際は、しいたけと一緒に食べるのがおすすめだそうです。
<筋肉の疲労は「味噌汁」で回復!?>
味噌汁に含まれる「うま味成分」や「アミノ酸」には、筋肉の疲労を回復させる効果が期待できるといいます。筋トレ後に傷ついた筋繊維をより丈夫にするためにも必要な栄養だそうです。
<カレーは豚肉より「鶏肉」がおすすめ>
鶏肉は豚肉と比べたんぱく質が豊富に含まれているので、カレーを食べるならチキンカレーがおすすめだそうです。
<サラダには「ブロッコリー」を追加!>
ブロッコリーは、筋トレをする人には定番の食材。さらに今年、国民生活に重要な食材として国が位置付ける「指定野菜」の一つに加わる事が決定しました。ブロッコリーがそれほど重要な野菜として扱われる理由は「ビタミンD」と「たんぱく質」の両方を豊富に含んでいるからだそうです。
(2024年3月24日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)