花粉症「目のかゆみ」原因と対策は?…疲れ目・かゆみ・目の乾き!目の不調の原因と対策
サマリーSummary
ドクター:慶應義塾大学医学部眼科学教室 非常勤講師 おおたけ眼科 つきみ野医院 院長 医学博士 綾木雅彦
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、慶應義塾大学医学部眼科学教室 非常勤講師
おおたけ眼科 つきみ野医院 院長 医学博士 綾木雅彦先生です。
今回のテーマは「〜疲れ目・かゆみ・目の乾き〜目の不調と「まばたき」の意外な関係」
「疲れ目」「かゆみ」「目の乾き」などの目の不調。直接命と関係ないからと対策をしていない人が非常に多いそうです。しかし、目の不調を放置すると、視力の低下だけでなく睡眠障害やうつにつながる事もあり、生活に大きな支障を及ぼす恐れもあるのだとか。そこで今回は、意外と知らない目の不調の原因と対策を専門医に教えてもらいました。
目の不調(1)「疲れ目」の原因と対策
<ピントが合いにくい!?疲れ目の原因は?>
疲れ目の代表的な原因は、加齢により目の「水晶体」が硬くなってしまう事が考えられるそうです。水晶体とは、カメラでいうレンズの働きをする器官。遠くを見る時は水晶体が薄くなり、近くを見る時は水晶体が厚くなる事でピントを調整。これにより、物をくっきりと見る事ができるのだとか。加齢により水晶体が硬くなると、厚さが変化しにくくなるため、ピントが合いにくくなります。すると、無理にピントを合わせようと目が酷使され、疲れ目につながってしまうそうです。
<疲れ目対策「近くと遠くを交互に見る」>
先生がオススメする疲れ目の対策は「近くと遠くを交互に見る」事。水晶体の厚みを変える「毛様体筋」という目の筋肉のストレッチになり、疲れ目の軽減につながるのだとか。例えば電車に乗った時に、つり革と外の景色を交互に見たりすると良いそうです。
目の不調(2)「目のかゆみ」の原因と対策
<花粉の時期は要注意!?「目のかゆみ」の原因は?>
先生によると、目のかゆみで多いのが花粉症によるもの。正式には「アレルギー性結膜炎」と呼ぶそうです。花粉などが目の表面に付着するとアレルギー反応でヒスタミンという物質が放出されます。これが目の知覚神経などを刺激し、強いかゆみが生まれるそうです。
<花粉症の対策は「目薬を正しく使う」>
花粉症用の目薬の正しい使い方とは、「症状が出る前から使う」事(※抗アレルギー点眼薬の場合)。症状が出る前から使う事で、比較的症状が軽くなるのだとか。抗アレルギー点眼薬の場合は、花粉症の予防・改善を目的としているものが多く、事前から使うと良い事がここ数年で分かってきたそうです。2月は花粉が気になる時期。今のうちから目薬を使ってかゆみを予防しましょう!
目の不調(3)「目の乾き」の原因と対策
<現代人に急増中!?「目の乾き」の原因は?>
目の乾きの原因として一番考えられるのは「ドライアイ」だそうです。ドライアイとは、涙の不足などにより、目の表面が乾いて不調が起こる病気の事。潜在患者数は国内で約5000万人と非常に多いそうです。ドライアイの主な原因は、エアコンの風や空気の乾燥。他にも、まばたきなどがあるそうです。
<多くの人が陥っている!?ドライアイとまばたきの意外な関係>
まばたきには目のゴミやほこりなどを取り除いたり、目の表面に涙をまんべんなく広げて乾燥を防いだりなど大切な働きがあります。ところが近年、そのまばたきに問題が起きている人が増えているといいます。それが「不完全まばたき」。まばたきが不完全できちんとまぶたが閉じないと、涙がうまく広がりません。まばたき1回は、約0.3秒。一瞬の事でも積み重なれば目が乾燥しやすくなり、ドライアイにつながってしまうそうです。
<「不完全まばたき」はスマホなどの使い過ぎが原因!?>
先生によると、まばたきが不完全な人の多くは、スマホやパソコンといった電子機器の使い過ぎが原因だと考えられるそうです。目を開くという動作は、交感神経が優位になる事で行われています。そして、スマホなどの強い光を見続けると交感神経の働きが活発に。すると目が開き続けてしまい、不完全まばたきにつながってしまうのだとか。また、正常なまばたきは1分間に約20回といわれていますが、集中するがあまりまばたきの回数自体が減ってしまう事もあるそうです。さらに、先生が警告するスマホの使い方が「横になって使う」事。座った状態に比べて横になると、目とスマホの距離が近づき、目への負担も大きくなってしまうそうです。
<意外と知らないドライアイの恐怖>
角膜は、光が最初に入る大切な部分。涙が角膜を覆っているおかげで、光が正しく屈折してものが見えるという仕組みだそうです。しかし、ドライアイで涙がまばらになると光が正しく屈折しません。すると、ピントが合いにくくなったり、目が疲れやすくなったりなど、さまざまな目の不調につながってしまうのだとか。また、ドライアイはうつや睡眠障害につながる危険もあるそうです。
<目に優しいスマホの使い方とは?>
スマホを使う時はスマホを低い位置に持つと良いそうです。顔の正面だとまぶたが開く範囲が広くなって光が目に入りやすくなってしまいます。一方、低い位置にすると自然とまぶたが下がって目に入る光が抑えられ目の負担軽減につながるのだとか。ポイントは、目線だけ下げる事。頭も下に向けると姿勢が悪くなってしまうので、目線だけを下げるように意識してみてください。他にも、スマホの設定で光量を下げたりナイトモードを使ったりするのもオススメ。目への負担が軽減されるそうです(※文字などが認識できる範囲で設定してください)。
目の不調を招く意外な原因
近年目の不調を招く意外な原因があるそうです。それが「マイボーム腺」の詰まり。マイボーム腺は、まつ毛のすぐそばにある器官。ここから分泌される油分には、涙が蒸発するのを防ぐ働きがあります。ところが、マイボーム腺はアイメイクや目に入るゴミなどによって詰まりやすい部分。詰まると油分が十分に分泌されず、目が乾きやすくなるなどの不調につながるのだとか。まつげのそばに白いブツブツがある場合は、マイボーム腺が詰まっている可能性があるそうです。
先生オススメ!目の不調の予防・改善法
<目の不調の予防・改善法(1)「完全まばたき」>
▼まぶたをしっかり下ろしきってその状態を1秒間キープ
▼ゆっくりと目を開ける
※車や自転車などの運転中は行わないで下さい
<ポイント>
ポイントは、まぶたを下ろした時に目の周りにシワが出来るほど力まないようにする事。
いつもより少し長めに目を閉じる事で表面が涙で均等に潤います。すると、光が角膜に正しく入り、目への負担が軽くなりものが見やすくなるそうです。パソコンやスマホなど、目を長時間使った時に10回ほど行いましょう。また、朝起きた時に行うのもオススメ。眠っている間は目を閉じているため、目ヤニなどの老廃物がまぶたの下に溜まりやすくなります。起床後に完全まばたきを行う事で、これらの老廃物が涙で取り除かれやすくなるのだとか。先生の研究では、10日間完全まばたきを行うだけでもだいぶ状態が改善するそうです。
<目の不調の予防・改善法(2)「ヨコ洗顔」>
▼目を軽く閉じる
▼人差し指と中指でまつ毛の際を優しくなでるように10往復ほど動かす
<ポイント>
ヨコ洗顔を行う時は、顔を洗う前にお湯で行いましょう。(※洗顔フォームなど目の刺激にあるものは併用しないでください)。その後、全体を洗顔すると良いのだとか。マイボーム腺の詰まりが解消し、油分の分泌が増え涙の蒸発を防いでくれるそうです。また、温かいおしぼりをまぶたに乗せるのもオススメ。マイボーム腺に詰まった汚れが溶けて油分が分泌しやすくなるそうです。
(2024年2月11日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)