アーチ崩れと足のトラブル
サマリーSummary
ゲンキリサーチャー:中村昌也
ドクター:足のクリニック表参道 院長 形成外科 桑原靖
注目を集める足の専門病院
寝たきりになる原因の3位は、転倒による骨折。たかが足と侮っていると、自立した暮らしが出来なくなり、生活の質が著しく低下してしまうこともあるといいます。その重要性から、アメリカには足専門の医師免許があり、約1万5千人の足病医がいるそうです。
健康のキーワード “足のアーチ”
足は、かかとと親指・小指の付け根の3点を結んだ土踏まずの部分に空間があり、横から見るとアーチ状になっています。アーチがしっかりしていると、それがクッションの役割を果たし、膝や腰などへの衝撃を少なくしてくれるのだとか。しかし、足のアーチが崩れると、足のトラブルにつながったり、足首や膝、腰などにも影響を及ぼしたりするそうです。
あなたは大丈夫?「アーチ崩れセルフチェック」
下記の項目に1つでも当てはまる場合は、足のアーチが崩れている可能性があるそうです。
□眠っているとふくらはぎがつる事がある
□ズボンの裾上げをすると片方が合わない
□片足で立って靴下を履けない
□怪我をしていないのにひざや足が痛くなる
□家族・親戚に足のトラブルで悩んでいる方がいる
足のアーチ崩れが招く悪影響
・外反母趾
外反母趾とは、足の親指が「くの字」に曲がってしまう関節の病気。足のアーチが崩れると、親指の骨が身体の中心に向かって変形し、外反母趾になってしまうそうです。
・タコ、ウオノメ
タコやウオノメは、足裏の一部に強い圧力がかかり、皮膚の表面が硬く盛り上がった状態の事。アーチが崩れると骨格が歪み、一点に圧力がかかり続けるため、皮膚が硬くなりタコができてしまうそうです。
・巻き爪
そもそも足の爪には、巻く力が働いています。そこに下からの均等な圧力がかかることで、正常な状態を保っているのだとか。そのため、バランスが崩れると巻き爪になってしまうそうです。原因は、足のアーチ崩れや、浮指など。浮指とは、普通に立ったときに地面に指が接していない状態の事。下からの圧力が弱いため、巻き爪になりやすくなるそうです。
コロナ禍で急増!?「足底腱膜炎」
足底腱膜炎とは、かかとの骨から指に広がる足の裏にある腱の膜に炎症が起こる病気。朝起きて1歩目にかかとに痛みを感じ、活動を始めると徐々に痛みが和らぐという特徴があります。
<足底腱膜炎の主な原因>
・限界値を超える負荷
足は走ったり歩いたりする際の負荷に限界値があり、それを超えるような負荷を与えると痛みや炎症が起きてしまうといいます。先生によると、コロナ禍で急に運動を始めた人などに、足底腱膜炎を発症する人が多いのだとか。外出が減ると歩く機会も減り、活動限界値が低下します。その状態で、足に大きな負荷がかかる運動をすると痛みが発生。我慢して続けていると、炎症を起こし治りにくくなるそうです。下がった活動限界値は元に戻せるので、運動は痛みの出ない範囲で始めて、徐々に負荷を上げていくと良いそうです。
・室内での運動
今流行のおうちトレーニングですが、素足で運動を行うと衝撃がダイレクトに伝わるので限界値を超えやすくなってしまうそうです。怪我なく安心してトレーニングするには、面倒でも室内用の靴を履くのがオススメです。
・足のアーチ崩れ
足底腱膜には、地面からの衝撃を吸収する役目があります。しかし、アーチが崩れると膜が常に引っ張られた状態になり、衝撃を吸収しにくく、炎症が起きやすくなってしまうそうです。
あなたはどれに当てはまる!?靴のすり減り方セルフチェック
靴のすり減り方で、足の状態や今後起きるリスクが分かるそうです。
①つま先とかかとの対角がすり減っている
正しいすり減り方です。
②内側だけすり減っている
足のアーチが崩れ扁平足になっている人に多く、ひざの内側に痛みが出やすいそうです。
③外側だけすり減っている
足の甲が盛り上がった「甲高」の人に多く、O脚になりやすかったり、ひざの外側に痛みが出やすかったりするそうです。
④左右が非対称にすり減っている
足の長さに違いがある、足のアーチ崩れが非対称、股関節に傾きがあるなど、一番注意が必要なすり減り方だそうです。
⑤前側だけすり減っている
アキレス腱が硬い傾向があり、足底筋膜炎になりやすいそうです。
ドクターおすすめ!足への負担を減らすエクササイズ
足への負担を減らし、健康な生活を送るためのエクササイズをご紹介します。ひざや腰への負担軽減も期待できるそうなので、ぜひお試しください。
<①筋トレ編>
▼横になってひざを立て、お腹の上で手を組む
▼骨盤を中心にお尻を持ち上げて下ろす
▼15~20回上げ下げを繰り返す
≪ポイント≫
腰から上げると腰痛になる恐れがあるので、お尻を上げるイメージで行なってください。お尻と太ももの裏側の筋肉が鍛えられる事で歩き方を補正。足への負担軽減が期待できるそうです。体調に合わせて1日2~3セット行いましょう。
<②ストレッチ編>
▼片ひざを立ててもう片方のひざを床に立てる
▼上体を倒さずに重心を前方に移動する
▼膝をついた方の太ももの前側や股関節を伸ばす
▼片足30~45秒、反対側の足も同様に行う
≪ポイント≫
歩くときの姿勢改善や足の可動域が広がる事で、足への負担軽減が期待できるそうです。
こちらも1日2~3セット行うのがおすすめです。
ドクターおすすめ!足のアーチを守るエクササイズ
足のアーチをキープするためのエクササイズをご紹介します。
<足のアーチを守る簡単エクササイズ>
▼足の指先を曲げて5秒キープ
▼足の指先を伸ばして5秒キープ
▼10回程度を目安に1セット、1日1~2セット行う
≪ポイント≫
足のアーチ構造を作っている筋肉が鍛えられ、アーチ崩れの進行を抑える効果が期待できるそうです。