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金丸夢斗が“竜のエース道”を走る!プロ初勝利に本拠地ドーム“大喝采”観戦記

金丸夢斗が“竜のエース道”を走る!プロ初勝利に本拠地ドーム“大喝采”観戦記
金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

「10度目の正直、勝てて良かった」と22歳のルーキー投手は嬉しそうに胸を張った。お立ち台でのヒーローインタビューに立ったのは、中日ドラゴンズのドラフト1位、金丸夢斗。本人も、家族も、チームも、そしてファンも、待ち望んでいたプロ初勝利だった。(敬称略)

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左腕ルーキー初勝利の思い出

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

購入したチケットと共にバンテリンドームへ向かいながら、ふと懐かしい試合を思い出していた。2025年(令和7年)8月7日、立秋を迎え、暦の上では秋となったが猛暑は続いている。あの日も、こんなお盆前の暑い日だった。ドラフト1位の高卒ルーキー、近藤真一(現・真市)がプロ初登板初先発でノーヒットノーランの達成した1987年(昭和62年)8月9日である。近藤も左腕、そして、これから先発する金丸も左腕。そう思った瞬間、今夜こそ待ちに待った金丸の初星に立ち会えるような予感が胸をよぎった。

打てない竜で申し訳ない

スタンドには「金丸夢斗」と書かれた応援タオル、そして背番号「21」のユニホームが目立っていた。それだけ、多くのドラゴンズファンが初勝利を待ちわびていた。5月5日のプロ初先発以降、実に3か月、9度にわたって先発マウンドに立った。打たれた試合もあったが、その多くは先発投手としてゲームを作ってきた。しかし、味方の援護点に恵まれない。ここまで0勝4敗。貧打のドラゴンズ、他の球団だったら「もう5勝くらいしているのに」と、ファンの立場ながら「打てないチームで申し訳ない」と後ろめたい日々を過ごしてきた。

ドラゴンズ打線が猛援護

「バンテリンドーム(2025年8月7日)」:筆者撮影

しかし、この日の竜打線は別物だった。首位を独走する阪神タイガースを相手に、初回いきなり1番に起用されたブライト健太のヒットから先制点を奪うと、追いつかれても突き放す、見事な攻撃を見せた。ブライトはこの日4安打、新外国人のマイケル・チェイビスも目の覚めるような弾丸ライナーの2号ホームラン、田中幹也も細川成也もジェイソン・ボスラーも加藤匠馬もタイムリー。今季最多タイの8得点を積み上げた。スタンドの竜党は歓喜し、金丸の初勝利という“その時”への期待が高まる。

8回を堂々のピッチング

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

金丸は、4年目である中川勇斗、そして4番の佐藤輝明にホームランを喫した。しかし、いずれもソロ。ランナーをためての失点ではなかったため、そのダメージは大きくなかったかもしれない。持ち味の修正能力を発揮して、後半の6回から8回までタイガース打線を三者凡退に抑えた。ルーキーらしからぬマウンドさばきに、スタンド席で酔いしれた。ひょっとしたら9回表も投げるのではないかと思ったが、8イニングで交代した。116球、6安打6三振の失点3、先発の役目を十分に果たした。そして、勝利の瞬間がやって来た。

破顔一笑!歓喜のお立ち台

「バンテリンドーム・勝利の円陣(2025年8月7日)」:筆者撮影

ゲームセットと共に、ドームは異様などよめきに包まれた。スタンドのあちこちで「おめでとう!」と叫ぶ竜党の姿がある。興奮は、恒例の“勝利の円陣”も包み込む。その中心に立って一本締めの音頭をまかされたのは金丸だった。いつも以上に大勢のファンが、ヒーローインタビューまで球場に残っていた。お立ち台に立ったのは金丸ただひとり。最近は複数選手のケースも多いが、その配慮は正解だった。この夜のヒーローは金丸だけでいい。ひと言ひと言を噛みしめるように語る金丸の言葉に、スタンドからの声援は惜しみなく続いた。毎試合観戦に訪れているご両親の姿も大型ビジョンに映し出されて、お祝いの拍手が巻き起こった。いい風景だった。

因縁のタイガース相手に

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

実は因縁めいた初勝利でもあった。相手のタイガースは、金丸の地元である関西のチーム。ドラフト会議で金丸を1位指名したが、抽選で井上一樹監督に敗れた。そして代わりに1位で獲得したのが同じく左腕の伊原陵人、この日の先発だった。さらに試合当日は伊原の誕生日で、応援団からバースデーソングも贈られていた。伊原はここまで5勝を挙げて、新人王レースのトップを走っている。金丸にとって悔しくないはずがない。初対決で見事に投げ勝って、1位で入札してくれた阪神に対しても、その実力を見せつけたのだった。

ペナントレースはいよいよ終盤戦。ようやく初勝利を挙げた金丸が勝ち続けることによって、ドラゴンズの順位は上昇する。ドームを出て夜空を見上げると、まもなく満月になる丸い月が浮かんでいた。美しい姿に、つい先ほど見た金丸夢斗の嬉しそうな笑顔がダブり、気持ちよく家路についた。
                                                          
                     【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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