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開幕ダッシュならず!立浪ドラゴンズ3年目にファンが抱く不安の“正体”

開幕ダッシュならず!立浪ドラゴンズ3年目にファンが抱く不安の“正体”
「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督(C)CBCテレビ

立浪竜の開幕オーダーを、例えば2月のキャンプイン時に予想できた人は、誰一人いないはずである。そんな新鮮な顔ぶれで、2024年3月29日、中日ドラゴンズはペナントレースの開幕戦を神宮球場で迎えた。(以下、敬称略)

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大抜擢の遊撃ロドリゲス

「サンデードラゴンズ」よりクリスチャン・ロドリゲス選手(C)CBCテレビ

1番センターには、春季キャンプから進境著しい4年目の三好大倫(ひろのり)。そして2番セカンドには、昨シーズンをケガからのリハビリで過ごした“立浪野球の申し子”とも言える2年目の田中幹也が入った。3番は高橋周平。石川昂弥とのサード争いに勝っての開幕スタメンである。

そして何よりも注目は「8番ショート」に入ったクリスチャン・ロドリゲスである。キューバ出身の育成選手だったロドリゲスが、開幕直前に支配下登録されて開幕スタメンなのである。高い守備力を買われての大抜擢だった。

竜の野球は変わった?

新オーダーは、いきなり初回から機能した。東京ヤクルトスワローズ先発のサイスニードから2番の田中がライト前にしぶとく運ぶプロ初打席初ヒット。続く高橋がレフト線へのツーベースで、俊足の田中が一気に先制のホームを踏んだ。この瞬間、ドラゴンズの野球が「変わった」とワクワクした。

同点に追いつかれた5回表には、新4番の中田翔が、打った瞬間にそれと分かる勝ち越しホームランを、ドラゴンズブルーに染まるレフトスタンドへ運んだ。4番の頼もしいひと振りでリード。ドラゴンズの野球が「変わった」とさらに確信した。

しかし、自信を持って送り出したはずのリリーフ陣、侍ジャパンにも選ばれた松山晋也が、8回裏にまさかの逆転を許して敗戦。ロドリゲスが内野フライを見失う手痛いエラーもあったが、勝ちたかった開幕ゲームだった。

好投の涌井で勝利ならず

「サンデードラゴンズ」より涌井秀章投手(C)CBCテレビ

翌30日の2戦目は、息詰まる投手戦となった。オープン戦から順調に仕上げてきた涌井秀章が先発し、プロ野球史上24人目となる2000奪三振の記録を達成するなど、いいムードの中で試合は進む。先制点は、この日も2番セカンドに入った田中が挙げた。嬉しいプロ初打点である。

しかし、1対0で迎えた8回裏、リリーフの松山が前日に続いて、またしても失点して同点にされた。結局、両チームが投手を8人ずつ使う総力戦で、延長12回引き分けとなった。度々のチャンスに「あと1本」が出なかったドラゴンズベンチには“敗戦ムード”が漂っていた。

やはり「あと1本が出ない」

今シーズン初白星を土産に、本拠地バンテリンドームに帰りたい3戦目だったが、先発のウンベルト・メヒアが、初回にスワローズ打線につかまり3失点。キャプテンの山田哲人や抑えの切り札である田口麗斗らを欠くスワローズ相手にハンディを背負った。さらに、この初回、立浪和義監督はリクエストを連発したがいずれも判定は覆らず、2度あるリクエスト権が、早々に消滅してしまう事態に陥ってしまった。

4回表に、4番の中田が開幕戦に続く一発で追撃に入るも、6回表は3連打で作った無死満塁の大チャンスに、併殺崩れの1点しか入らず、2対5で敗れた。そこには「あと1本が出ない」という昨シーズンまでの竜打線の姿があった。

12球団唯一の勝ち星なし

「サンデードラゴンズ」より石川昂弥選手(C)CBCテレビ

岡林勇希もいない。石川昂弥もいない。高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)もいない。そしてキャンプを1軍で完走した根尾昂もいない。“次世代ドラゴンズのヒーロー”として注目の若竜の姿がない、そんな1軍ベンチの顔ぶれに、立浪監督は「競争に勝ち抜いた顔ぶれ」と語っていた。

たしかに開幕戦では「チームが変わった」という兆しも見られた。しかし、開幕シリーズ3連戦、終わってみれば0勝2敗1分、12球団で唯一まだ勝利がないチームとして、名古屋での讀賣ジャイアンツとの3連戦に臨むことになった。

日替わりオーダーへの不安

最も気になることは、ドラゴンズが開幕3試合で、すでに3通りのスタメンオーダーであることだ。昨シーズンは143試合で114通りのスタメンだった。立浪監督周辺からは「柔軟性を持って」「やりくりで」という声が聞こえ続ける。

しかし、当コラムでも度々書いているが、「柔軟性」も「やりくり」も、基本となるスタンダードがあってこそのはずである。ましてや開幕早々である。「これが2024年の立浪野球だ!」とお披露目したオーダーによって力強い姿を見せてほしかった。毎試合スタメンが替わっては、打線も機能しづらいはず。まずは少しチームを落ち着かせて、その上で、柔軟性でもやりくりでも、勝つための積極性を見せればいい。

ペナントレースは全143試合あり「まだ143分の3が終わったばかり」と割り切りたいのだが、2年連続の最下位というチームの現実に直面すると、ファンとしては、なかなか楽観的なことも言っていられない。そんな不安を吹き飛ばすのは、本拠地での打倒ジャイアンツしかない。
                          
                      【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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