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この強さは本物か?立浪ドラゴンズ3年目の逆襲へ、希望の光と変革の兆し

この強さは本物か?立浪ドラゴンズ3年目の逆襲へ、希望の光と変革の兆し
「サンデードラゴンズ」より立浪和義監督(C)CBCテレビ

強い!そして負けない。3年目を迎えた立浪ドラゴンズが、本拠地のバンテリンドームでの逆転サヨナラ勝ちで、オープン戦を締めくくった。10勝5敗5分の成績によって、同率とはいえ、2003年以来21年ぶりのオープン戦首位となった。2年連続最下位から逆襲のペナントレース開幕へ、ファンの期待は一気に高まる。

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5階席への驚愕ホームラン

「サンデードラゴンズ」より細川成也選手(C)CBCテレビ

それは逆襲への“号砲”だった。細川成也選手が放った打球は、バンテリンドームの5階席にはねた。3月16日の阪神タイガースとのオープン戦で、多くのファンが、その凄まじい打球を目の当たりにした。思えば1年前、侍ジャパンとの壮行試合前の打撃練習で、大谷翔平選手が5階席に次々と打ち込む姿を、ドラゴンズ選手もあんぐりと見つめていた。
広い本拠地球場の5階席、細川選手は練習でなく、試合で打ち込んだのだった。

驚きは続く。その4日後の3月20日、東北楽天ゴールデンイーグルスとの試合で、細川選手は再び5階席でホームランを放つ。これはフロックではなく、まぎれもなく実力である。現役ドラフトでドラゴンズにやって来て開花して2年目、竜の主砲に名乗りを挙げた。

今シーズンから背番号は「55」に変更されたが、「5」と「5」まさに「5階席」と「5階席」。背番号が3ケタや4ケタになってもいいので、ペナントレースでも特大のホームランに期待したい。

飛び出した!三好外野手

「サンデードラゴンズ」より三好大倫選手(C)CBCテレビ

打撃で好調なのは、4年目の三好大倫(ひろのり)選手である。春季キャンプを1軍で完走すると、練習試合の最初からヒットを打ち続けてきた。守備も良し、足も速い外野手である三好選手だが、過去3年間は目立った活躍はほとんどなかった。

しかし、明らかにその打撃フォームは安定度を増していた。ボールに対してブレずに自分のスイングができている。オープン戦で毎試合のようにヒットを量産し続ける三好選手は、岡林勇希選手が肩を痛めたこともあって、1番センターで起用され続けた。

後半でノーヒットが続いたが、オープン戦の最後の打席でツーベース、気持ちよく開幕を迎えることになる。立浪監督1年目には岡林選手、2年目には細川選手が“新レギュラー”として台頭した。3年目は三好選手か。その活躍から目が離せない。

二遊間は新鮮な2人

「サンデードラゴンズ」よりクリスチャン・ロドリゲス選手(C)CBCテレビ

立浪ドラゴンズの最大の課題だった二遊間は、セカンドは2年目の田中幹也選手、ショートは育成から支配下となるクリスチャン・ロドリゲス選手、この2人でいくと立浪監督は明言した。田中選手は1年前も開幕セカンドをつかみかけていたが、ケガで離脱。2年越しの夢がかなう。

注目はロドリゲス選手である。キューバ出身、若干21歳の内野手の守備は、素人目に見ても素晴らしい。この躍動感は日本人選手にはないものであり、立浪監督が早々に育成から支配下登録して抜擢する気持ちは分かる。「ロドリゲス」という同じ名前が、1年前の残念な“亡命”の記憶を消し去りそうである。

ただ、立浪監督が「作りたい」二遊間は、向こう何年か、竜のセンターラインを支え続ける“顔”であるべきもののはず。ケガなど不測の事態は仕方ないにしても、開幕しばらくの間は、落ち着いて起用し続けることをお願いしたい。このところのドラゴンズは、少しスタメンをいじり過ぎている。

高橋投手がまさかの・・・

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

希望と期待あふれる野手陣、しかし、投手陣には誤算もあった。高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)投手である。2軍での再調整が決まり、開幕ローテーションから外れた。4年目の高橋投手は、自ら開幕投手に名乗りを挙げるなど、“竜のエース道”を歩むシーズンになるはずだった。当然、周囲もそう思っていた。

しかし、ロサンゼルス・ドジャースに移籍した山本由伸投手に感化されて、左足を上げない投球フォームがしっくりせずに、キャンプ途中から調整し直しとなった。日本を代表する投手に影響されるのは理解できるが、思えば1年前も同じフォーム矯正を行った。本人にまかせるのではなく、早い段階から、投手コーチらがきちんと指導するべきだったのでは、と残念に思う。

幸い、12球団でもトップクラスに投手陣を誇るドラゴンズだけに、開幕ローテーションの目途は立っている。高橋投手には早く1軍に復帰して、投手王国をさらに加速させてもらいたい。

ようやく訪れた“競争”

そんな誤算を誤算と思わなくていいほどに、今季のドラゴンズは、投手陣も野手陣も選手層は厚い。立浪監督は「競争」と度々口にしてきたが、ついにその時が来たのかもしれない。監督が井上一樹さんに交代した2軍も、2年連続最下位から好調な滑り出しを見せていて、一気にチーム全体の底上げができつつあるように思える。

大野雄大投手や涌井秀章投手らが、2軍戦で調整登板するなど、1軍と2軍が縦横無尽に連携している現状は、これまでなかなか見られなかったことである。そんな一体感こそ、チームには必要であり、シーズンを通して、かくあってほしいと願う。

立浪ドラゴンズ、2024年オープン戦の戦いぶりを見る限り、竜党の胸は期待に膨らむ。しかし、ファン心理の中にも“負け癖”はついていて、本当に信じて大丈夫か?と臆病な気持ちも顔を出す。そんな不安を払拭してもらうためにも、ここは力強い開幕ダッシュを、是非見せてもらいたい。
                          
  
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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