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前半戦の不振を乗り越えたドラ高橋宏斗投手 本来の投球を取り戻すきっかけは、ある先輩投手の助言からだった

前半戦の不振を乗り越えたドラ高橋宏斗投手 本来の投球を取り戻すきっかけは、ある先輩投手の助言からだった
「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)

苦しみ抜いた前半戦

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

それは6月4日、バンテリンドームで行われたバファローズ戦。7イニングを投げ、5安打無失点、13奪三振。それはまさに何かから解放されたかのような快投を見せた高橋宏斗投手(「高」は、はしごだか)。本来の力を取り戻した、そう感じさせるピッチングであった。

WBC世界一に貢献、さらなる飛躍を期待した今シーズン。しかし結果がなかなか伴わず、苦しみ続けた前半戦。何に迷い、そしてどう克服したのか。今回のサンドラは若き竜の至宝・高橋宏斗投手に単独インタビューを行い、その胸中に迫った!

ブレないものを持て!

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

WBC優勝後、凱旋登板となった4月6日のスワローズ戦(バンテリンドーム)を見事白星で飾った高橋宏斗投手。それは今シーズン、ドラゴンズ投手陣の牽引を期待させる快投であった。しかしその後は7試合で6敗(交流戦前まで)。2か月勝ち星から遠のいた。

今思えば、何が良くなかったのか。高橋宏斗投手は冷静に自身のピッチングを振り返る。

高橋宏斗投手「侍JAPANで戦ったメンバーの多くがシーズンに入って勝利を挙げている中、自分は勝てていないという焦りから、“何かを変えないと”という気持ちになっていました」

勝てない焦りが、さらなる悪循環を生んだ。

ストレートを“もっと強く、強く”。しかし思いとは裏腹に結果は決して良い方向には転がらなかった。徐々に何を信じていいのか袋小路に追い込まれていった高橋宏斗投手。

そんな苦しむ若竜に手を差し伸べたのは、酸いも甘いも知り尽くす2人の先輩投手。柳裕也投手、そして小笠原慎之介投手からもらったアドバイスは、己の信条を肯定するものだった。

“投げている球自体は悪くない。だから信じてやり続けろ。勝っていないから何かを変えないといけないわけではない。ブレないものを持て!”

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

暗闇に一筋の光。それからは気持ちにもゆとりを持って試合に入ることができた。

高橋宏斗投手「それまではフォアボールが多かったり、思うような球が投げられなかったりした。ストレートでファウルが取れるというのが自分の形。それが6月頃から出始めたと思います」

実際、ストライクの割合は増え、四球も減った。そして自信を持って投じた球は打たれなかった。

エースからの助言

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

さらに戦線離脱中の大野雄大投手からエースとしての立ち居振る舞いを助言された。

それは打たれてベンチの戻った時に見せた、高橋宏斗投手の“ある行為”についてだった。悔しい思いから、思わずベンチに帽子を叩きつけた瞬間を大野投手はテレビで目撃し、その行為について質したという。

“ピッチャーが弱い姿勢を見せるとチームの士気が下がる”

その言葉は新生・高橋宏斗投手をより活性化する言葉となった。

大野投手「今、若い野手がたくさん出ていますが、取れるアウトが取れなかったりというプレーが多く見られます。ただそこで投手が踏ん張ってカバーしてこそ、初めて信頼関係が生まれるんだよと、宏斗には伝えました。我慢して、我慢して、我慢して、超一流のピッチャーになって欲しいですね」

苦しみ抜いて手にした2勝目

「サンデードラゴンズ」より高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

チームを牽引してきた先輩投手たちの言葉は未来のエースの心に響いた。そして6月に入り、迎えた交流戦。侍JAPANのチームメイト、バファローズ宮城大弥投手と投げ合った(6/4、バンテリンドーム)。勝ち星こそつかなかったものの、7回を投げ、今シーズン初となる無失点、そして自己最多となる13奪三振を奪った。続くマリーンズ戦(6/13、バンテリンドーム)は自己最多となる125球を投げ、5安打9奪三振。自身初となる完投、そして完封というオマケつきの快投を見せた。

高橋宏斗投手「(ストライクゾーンの)四隅を狙うのではなくて、ベース盤に強い球を投げることだけを意識しました」

シーズン初登板以来、約2か月ぶりとなる勝ち星。苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いてモノにした格別の白星だった。そして6/21、楽天モバイルパークで行われたイーグル戦を自責0に抑え球団史上初となる交流戦防御率0.00を記録。本来の力を取り戻した今はもう、前を見るのみだ。

なかなか勝ちきれないチーム状況の中だろうが高橋宏斗投手は上位進出を決してあきらめてはいない。自らが投手陣を引っ張る立場となって盛り上げていく意志を見せる。

高橋宏斗投手「負けられる試合は一試合もないので、全勝を目指してがんばります!」

20歳の若竜がここまで得た経験と力は計り知れないものがある。そのすべてを低迷続けるドラゴンズに捧げる覚悟を感じ受ける。昇竜復活には欠かせない右腕!次回の登板も快刀乱麻のピッチングを期待したい。

がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!

竹内 茂喜

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